そのお気に入りの化粧品は、動物たちの犠牲の上に作られたものかもしれない!|「クルエルティフリーコスメ」を選ぶことの意義とは?
そのお気に入りの化粧品は、
動物たちの犠牲の上に作られたものかもしれない!
「クルエルティフリーコスメ」を選ぶことの意義とは?
食べ物だけでなく、化粧品もオーガニックや無添加、天然由来などといった言葉を
目にすることが増え、聞き慣れなさや珍しさも感じなくなってきた近頃です。
化粧品の分野では、長年にわたり、有名ブランドや
老舗の商品が支持され、多くの人に使われてきましたが、
近年、健康志向などの高まりからその「成分」が注目され、
新たなメーカーや、その商品が次々と誕生しています。
このような風潮は、企業が届けたいと考える商品と、
消費者である私たちの使いたいものが、
「原材料や配合物の安全性や質の高さにこだわったものである」
という点で一致し、両者のニーズが近づいてきた結果でしょう。
安全かつ安心に使えて、カラダやココロに優しい商品を求める私たちは、
日々あらゆるメディアや広告、友人の紹介や口コミサイトなどから情報を得て、
ボディ用品やヘアケア用品、スキンケア用品などを購入しています。
肌や髪、身体への良い効果を期待して多くの消費者は商品を選ぶわけですが、
購入した商品がどのような過程を経て作られ、手元に届いたかということまでを
知る機会は少ないことでしょう。
そして、美しくなりたい、健康になりたいと考えて購入した商品が製造される裏側で
動物実験が行われていることを知らない方は多いのではないでしょうか。
化粧品の開発現場では、残酷な動物実験が行われている
化粧品の開発段階において動物実験が行われている理由は、
化学物質などを人間が使用する前に人間以外の動物に対してテスト的に試すことで、
危険性を確認し、安全性や信頼性を把握するのに必要だとされてきたからです。
そしてこれまで長きに渡り、ズミやウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、サルなど多数の動物が、
人間の代替としてあらゆる実験の対象になってきました。
では、そのような動物実験では、具体的にどのようなことが行われているのでしょうか。
二つの実験を例にご紹介します。
①眼刺激試験
ウサギの眼に特定の物質を点眼し、刺激の度合いを観察する試験です。点眼後、時間の経過と共にどのような反応をおこすのかを調べるため、
ウサギは何十時間も拘束されたまま、痛みと苦しみに耐え続けなくてはなりません。
そしてウサギの涙腺の機能は人間に比べて発達していないため、
涙によって刺激物が流されにくいなどの理由で実験の犠牲になることが少なくなく、
刺激物質による出血が原因で死んでしまうケースもあります。
そしてその後、実験に使われたウサギは殺処分されてしまうのです。
②急性毒性試験
マウスまたはラットに化学物質を経口投与し、投与後の状態や死亡数などを観察する試験です。毒性を確かめる検査なので、決められた量の化学物質を動物の体内に入れ、
致死量などを調べます。
投与後二週間に渡って検査をし、毒性が高いのか、低いのかを調査するといいます。
実験では無理やり毒を流し込まれるため、マウスやラットの体は、当然、異常反応を示します。
死亡することを前提として進められる、酷い試験です。
人間が使うモノの安全性実験を
動物で行うことに意味はあるのか?
ここまで、読むに耐えないような内容だったと思います。無慈悲な行いに悔しさや腹立たしさがこみ上げてきた方もいるかもしれません。
動物への実験で得られた研究結果を元に、様々な化粧品が
人間において実用化できるかどうかが判断されてきたわけですが、
ここで少し考えてみてください。
人間以外の動物である効果をもたらした化学物質が、
人間においても100%同じ効果をもたらすでしょうか。
人間である私たちと、他の動物の間には種差が存在します。
つまり、姿かたちや器官、細胞のつくりが異なるだけでなく、
イヌの嗅覚やウサギの聴力が人間よりも優れているように、
それぞれが持ち合わせる感覚機能にも違いがあります。
また、私たちの人間同士でも肌質や髪質がそれぞれ違うように、
人間以外の動物も個々それぞれ毛質や皮膚の質が異なるはずです。
それにも関わらず、人間の技術力向上やビジネスの発展のために、
多くの動物、特に哺乳類が人間の代わりにされ、
数々の実験の犠牲となってきたのです。
さらに、考えてみてください。
このような犠牲を伴う動物実験を経て開発された製品を使い続けることは、
果たして、持続的で、未来に貢献する選択だと言えるでしょうか。
ヨーロッパで起きた動物実験反対のムーヴメント
化粧品だけではなく、医薬品の開発などでも行われているこれらの動物実験に対し、
現在まで多くの倫理的批判や反対運動などが行われてきました。
たとえばヨーロッパでは、1980〜90年代を通して消費者たちが声をあげ、
大きなムーヴメントを起こしてきました。
ヨーロッパ各国の国民は動物実験廃止を求める署名を集めて各国の議会に提出し、
化粧品会社などに対して動物実験をやめるよう訴えかけました。
同時に、動物実験をしている商品の不買運動やデモ行進を行い、
動物愛護キャンペーンへの寄付をするなど、具体的なアクションを取り続けてきました。
その結果、EU域内では、化粧品の動物実験と、動物実験の過程を経て製造された
化粧品の流通が禁止されたのです。
これは市民の地道な活動の積み重ねが実を結んだ結果だと言えます。
動物実験を行わずに開発・製造されている化粧品
「クルエルティフリーコスメ」
開発・製造の過程で動物実験を行っていない商品を、“Cruelty Free(読み方:クルエルティフリー、
意味:残虐さのない、つまり動物の苦しみがない)”と呼びます。
以下の写真のように、化粧品を始め、日用品などの
容器・外箱にウサギのシンボルマークがつけられていたり、
「Cruelty Free」「NO ANIMAL TESTING」といった文字が表記されるなどして、
動物実験がされていないことがわかるようになっています。
(左画像:著者撮影)
日本では今も、動物実験が禁止されていない!
実は、日本においては、このような動物実験が禁止されていません。
そのため、2020年現在でも動物実験が続けられている実態があります。
化粧品に限らず、医療、科学、心理学、農業、日用品製造など多岐にわたる分野において、
従来通り、方法を変えることなく、動物を使った実用性の確認検査が行われているのです。
人間と動物では体内構造や精神状況、生活で加わるストレスも異なります。
このような種による明白な違いがあるにも関わらず、
「動物実験をすることは止むを得ないことであり、人間の健康と福祉に大きく貢献してきた」
とされ、容認されているのです。
動物の虐待については厳しく規制が行われている日本ですが、
こと動物実験に対しては理解を求めることはあっても、禁止はされていません。
日本の大手化粧品会社についていえば、その多くが
「動物実験をしないこと」を表向き公表してはいます。
しかし、原料の調達元メーカーでは動物実験が行われている可能性は否めず、
また一部外国に商品の輸出を行う場合には、安全性確認のための動物実験を求められることがあるため、
完全にクルエルティフリーだとは言えません。
一方、企業の理念として動物実験反対を表明しているメーカーでは、
原料調達元を含む、全工程において動物実験を行っていません。
そして、クルエルティフリー化粧品には、
とても優秀かつ使い心地の良いものがたくさん存在しているのです。
「クルエルティフリーコスメ」と
「ヴィーガンコスメ」との違い
ここまでで、クルエルティフリーコスメには動物実験は行われていないことは
おわかりいただけたかと思います。
そして、この「クルエルティフリーコスメ」と混同されてしまうことがあるのが、
「ヴィーガンコスメ」です。
その理由は、ヴィーガンには動物愛護の意味合いがあるため。
しかし、実際にはクルエルティフリーコスメが、
必ずしもヴィーガンコスメだとは限りません。
ヴィーガンコスメとは、ハチミツやミツロウやコラーゲンなどといった
動物由来の成分が一切含まれず、100%植物由来の成分のみでできた化粧品ですが、
クルエルティフリーコスメ=植物由来の化粧品という訳ではありません。
クルエルティフリー、かつヴィーガンの化粧品を選びたい方は、
購入前に動物実験の有無と、配合されている成分を十分確認してみてください。
そしてもうひとつ、このようなことはほぼないとは思いますが、
いくら動物実験をしていなくても、その化粧品が、
人体にとって安全性が疑わしい化学物質を使用したものであっては本末転倒です。
クルエルティフリーであると同時に、オーガニックでもある化粧品を選ぶように
すれば、人にとっても動物にとっても良いことは言うまでもありません。
未来のために、私たち消費者ができることは
ヨーロッパの他にも、ニュージーランドやインド、イスラエル、台湾など様々な国や地域では
動物実験の廃止が進められてきました。
しかし、世界全体で見れば、動物実験の完全撤廃にはまだ程遠い現状があります。
動物にも人間にも優しい選択をするために、私たちができることは明確。
その実現のため、私は次の三つの提案をしようと思います。
一つ目は、化粧品はクルエルティフリーコスメを選ぶこと。
「買い物は投票行動」という言葉がある通り、私たちがお金を出せば、その化粧品メーカーを支援し、動物実験の禁止に間接的な貢献が出来ます。
繰り返しますが、その際にはその化粧品がオーガニックなものかどうかも
必ずチェックするようにしてください。
二つ目は、動物実験反対の活動に署名をすること。
署名をする、というと民主的な運動のイメージがありますし、「名前を書くことで一体何かが変わるのか」と疑問に思うことがあるかもしれません。
しかし、何もしないよりははるかにまし。
国や企業にあなたの声が届き、社会を動かし、変えられる可能性があります。
また現在では、オンラインでの手軽な署名もあります。
三つ目は、動物実験のことを家族や友人、大切な人などにシェアすること。
周りの人に、動物実験のことやこの記事を読んで思ったことなどを話してみてください。その想いの共有が少しずつ広がり、皆さん自身の小さな行いが、大きな変化へと繋がるかもしれません。
例えば皆さんがイヌやネコなどペットを飼っていて、彼らと同じ種類の動物が
人間向けの化粧品のために犠牲になっているとしたら、
仕方がない、と容認することができるでしょうか。
美しくなりたい、もっと輝き、健康的な自分でありたいとのあなたの願いに、
他社の犠牲や苦しみは本来、必要ありません。
この記事が、皆さんの今後の行動を起こすきっかけになれば幸いです。
(参考):https://www.java-animal.org/animal-testing/animal-testing2/
https://www.hsi.org/news-media/about_cosmetics_animal_testing_japanese/
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