食べ物・農法だけがオーガニックじゃない。わたし達の手でオーガニック経済を創るにはどうしたらいい?! 本来のオーガニックの意味と私たちに出来ることは?
本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
近年、すっかり「オーガニック」という言葉が世間に広まりました。
オーガニック野菜、
オーガニックコスメ、
オーがニックレストラン
時には“オーガニック女子”なんて言葉も?
(そう呼ばれた事があります。)
10年近く前、オーガニック農家さんで収穫と販売に携わっていました。
その頃は今ほど「オーガニック」の知名度もなく、
まるでお金持ちや海外帰国子女の趣味、
時にはカルト集団のような視線も感じた事あるほどです。
以前、IN YOU他記事でもあった
「今の日本では、オーガニック愛好者が極端な言い方をすれば、
まるで隠れキリシタンのように見えるときがあります。」
(引用 https://macrobiotic-daisuki.jp/oubei-organic-hikaku-nihon-19564.html)
という表現が痛いほど分かります。
それでも、当時に比べれば最近は本当に良い時代となりました。
まだ少数ではありますが、自然食品店でなくともオーガニック食品を近所のスーパーでも見かける事が増えました。
オーガニックを選ぶ人やそれらに意識のある販売者が増えた証でしょう。
しかし一方で、この「流行」に飛びつかんばかりに
盛んにオーガニックと唱う生産者やメディアがいるのも現実です。
まるでブランド品のようで、
言葉ばかり一人歩きをしているような印象を受けるのは気のせいでしょうか?
これでは、本当の心あるオーガニック生産者による涙ぐましい努力、研究と実践の成果、
そして消費者への健康や環境保全など全生物の命を配慮した暖かい想いが詰まった
オーガニック商品が他の商品に埋もれてしまいます。
今一度、ただイメージや流行だけで「オーガニック」に飛びつくのでなく
わたし達がもっとオーガニックについて知る必要があります。
そしてオーガニックな生活をもっと簡単に身近になるような
オーガニック経済を一緒に創りませんか?
そもそもオーガニックってなに?
IN YOU読者の方は勿論、
そうでない方にもとても浸透してきたのでご存知の方が多いとは思いますが、
一旦おさらいしましょう。
オーガニック(organic)とは=有機、有機化合物の意味。
オーガニックというと「有機農法/農業」、それから出来た作物、食品、日用品をさす事が一般的です。つまりオーガニック農法で作られた製品と捉えれば間違いはないようです。
ちなみに「有機農法」とは?
環境負担の少ない人工的な化学物質から出来た農薬や肥料を用いない有機物から作られた肥料を使う等の農法の事を言います。
大辞林第3版によると
—有機農業とは、農業の自然循環機能を積極的に活用し、
肥料、農業に化学製品の使用を避けて有機肥料を投入、土壌中の生態系を活用して地力を培い、安全な食糧清算を目指す農法/農業—との事です。
<写真: 著者が通っていたオーガニック農園。収穫したばかりの胡椒をすべて手作業で選別している>
オーガニックorganicの意味と語源。古来の意味は?
オーガニックの意味は、現在では有機農法をメインに使われる事が殆どです。もともとはどのような意味でこの言葉が生まれたのでしょう?
ちょっと哲学的な面から「オーガニック」について考えてみましょう。
オーガニックorganicは、元々はオリジンoriginに由来します。
オリジンorigin =生命の、本来の、根本的な
という意味です。ギリシャ語が語源です。
この単語から派生して出来た単語は他にもあります。
オルガンorgan=楽器のパイプオルガン
オルガンorgan=生物の臓器や器官
オーガナイゼーションorganization=組織、団体、協会
これらにどんな共通の意味合いがあるでしょうか?
楽器も臓器も協会も、どれも全然違う意味じゃないか?
しかしこれらを比較してみると、
どれもこのような意味を含んでいる事に気付きます。
「異なるモノ同士の集合体」
「異なるモノ同士が共に機能し合う」
それぞれの調和、共存を表す意味合いが強くありますね。
それこそがいわゆる「有機的(オーガニック)」な繫がりなのではないでしょうか?
経済エコノミーeconomyの意味と語源。
お金だけのことじゃないの?
さて、次は今回のもう一つのキーワード「経済」。
この単語を聞くと、なんだか経済学なんて分からないし…難しい。
数字はとても苦手だし、遠い分野と思っていたのが正直なところ。
しかし、現代の資本主義消費社会で生まれたわたし達に
一生涯ついて回るこの「経済」。
この意味と語源をご存知でしょうか?
経済economy=ギリシャ語が語源。
家を意味するオイコスoikosに由来します。
ここでの「家」は家族など「生活をともにする共同体」を意味しています。
わたし達が最初にイメージする「経済」はどうしても消費活動や貨幣などを連想します。
しかし、もとを辿れば、わたし達の「生活や社会での活動そのもの」を意味として含む単語が始まりなのです。
オイコスoikosから生まれたもう一つの言葉?
余談ですが、オイコス=家、共同体
という単語から生まれたもう一つの言葉があります。
それは経済とはちょっと関係のないイメージを持つこの言葉です。
生態系(エコロジー)ecology
オーガニックを意識する方なら、同時にこの生態系(エコロジー)、
また一般的によばれる「エコ」について考える事も多い事でしょう。
生態系の意味の他「環境保全活動」という意味もあります。
経済とエコが同じ単語から生まれたなんて、すこし意外な印象です。
ですが、どちらも意味や背景を掘り下げてみると
「わたし達の生き方あるいは生きる事そのもの」
の根本的な部分に意味しているように思いませんか?ちょっと言語学のお勉強のようになりましたが、
それぞれの語源、意味合いを掴めたでしょうか。
著者なりの勝手な解釈をすると、
オーガニック=他者との繫がりと、その調和
経済=繫がりのある共同体や生活全般
そんなニュアンスがあるように考えています。
提案するオーガニック経済の在り方と実践
もしかすると、すでに他の方がこの言葉を使っているかもしれません。
ですが、著者の考える「オーガニック経済」という言葉があります。
それは、
有機的な繫がりをもつ活動
様々なものと共存するお金だけじゃない豊かな生活
このような意味を考えています。
では、日々の生活でわたし達が実践出来る
「オーガニック経済」をご提案したいと思います。
すでにいくつか実践してる方が多いと思いますが
今一度、日々の暮らしの中で意識するという事が
これからもオーガニックを広める為のポイントとなる事でしょう。
皆さんに提案したいのはこのような事です。
1)オーガニック商品を選ぶ
これはすでに皆さんが行動している事でしょう。
そしてオーガニック経済を作る一番の柱になる最も比重が置かれる内容です。
なるべくオーガニックの商品を作る
なるべくオーガニックの商品を買う
わたし達の消費活動は、とても重要です。
購入したものは素直に生産者や市場に対して数字として現れます。
そして、今の時代は「売れる」ものが「売れる」のです。
生産/販売側の方々は、売り上げを伸ばしたいのです。
もしオーガニック商品の売り上げが伸び、市場に需要がある事がデータとして現れれば、今後もオーガニック商品を販売しようという戦略に繋がります。
加えて、わたし達の消費活動でオーガニック生産者の
今後の経営と生活を応援する事に繋がります。
著者は選挙の一票よりも社会に影響力があるのが
購買活動だと考えています。
オーガニックDAY運動?
趣旨は違いますが、カナダ始めアメリカなど海外では
BUY NOTHING DAY(何も買わない日)を制定して
非買運動をしている人達がいます。
現代は、必要でないのにいつも買い物ばかりをしてしまう人が多くいます。
そんな消費社会を見つめ直す活動の一環です。
このような社会運動を行うのも有効でしょう。
一定数の人々が集まり、オーガニック製品だけを買う日を制定して
オーガニックの重要性を世に発信するなんて、
ちょっとドキドキしませんか?
日本ではなかなかこういった社会活動は受け入れられない風潮がありますが
今はSNSなどで呼びかける事も出来ます。
いつか実行したい社会運動の一つです。
2)消費者である事をやめる。
みんなが生産者?消費されないわたし達。
先の提案で「消費」の在り方を提案しておきながら、不思議なテーマにきこえますね。
これは言葉遊びのようですが、
どうしても「消費」という言葉に違和感を感じます。
何かを無駄にしてしまっているようなそんな印象を受けます。
「オーガニック経済を創る」
そんな意識を持ち、健康や環境、もっと言えば社会の在り方を考えて
オーガニックを選んでいますよね?
それなら、わたし達だってある意味では同じ“生産者”ではありませんか?
消費社会の世の中で“消費者”を呼ばれるわたし達。
しかしそれは消費している者ではなく、
もはや”消費されている者”
と感じる場面が多々あります。
新商品が出る度に過度な広告に洗脳されて
シーズンが変わる度に流行の服を着るよう急かされて….
だれかが食べている健康フードだから…
メディアや起業にわたし達の生活が、消費されてしまいそうに思う事があります。
そうではなく、わたし達が主体性を持ち自らの意思で
本当に必要なもの
本当に安全なもの
本当に良いもの
それらを選び抜いて、経済活動に参加してみましょう。
それが消費者をやめる第一歩です。
目に見える行動ではありませんが、意識することが大事でしょう。
消費者でなくサポーターになる。生産者との繫がり
<写真:南インドのマーケットですっかり顔見知りになった店主と著者。
言葉葉通じずとも心が通った買い物が出来た。>
もう一つは、実際に生産者との繫がりを作ることです。
顔の見える生産者との繋がり、なんてオーガニック(有機的)なんでしょう!
時に美味しい調理法を農家さんから直接聞けちゃうような
ラッキーもあったりします。
それに「この人が作っているいるんだな!」
と思うだけで味わいが増すように感じます。
どうやったら知り合えるの?
言うのは容易いですが、日々の生活で農家さんと知り合うのは難しいとは思います。
しかも、優良な生産者さんの情報は雑誌や、インターネットの検索には引っかからないところがほとんどです。
週末にマルシェなどに足を運ぶのは良いけれど…
近所での開催がなく大根やキャベツなんて重い野菜は買って帰るのが大変…
なんてことも著者は経験しました。
しかし、最近ではネットで有機農家さんから直接お野菜を購入出来るサービスもあります。
そうです。
例えば、おなじみの
IN YOU MARKET
ですね。実物を見ることが出来ない不安と寂しさがありますが、
写真や情報も充実している農家さんも多い場合もあります。
顔が見れること、生産者との繫がりを感じること、
そういった心の面のサポートも生産者のみなさんには嬉しいものです。
これからも良いものを作ろうというモチベーションにも繋がります。
3)あなたが発信する=主体性を持った行動と発言
あなたが日々オーガニック製品を買う事、好む事。
それを人に説明できますか?
ただ何となく体に良さそうだから
美容に良いみたいだから
そんな漠然とした理由だったり。
あるいは、夢中になりすぎて、
なんだかオーガニック一神教の勧誘のような…押し売りのような…
そんな印象を相手に与える事なく、
自然でそして愛を持って発信しましょう。
情報や流行の受け身のままではいけません。
あなたが、情報源であると思って下さい。
なぜオーガニックにこだわるの?
そんな問いかけがあった時、
自然かつ明確に理由や魅力を伝えられる人であって欲しいと願います。
あなたのその答えが、出会う人の食生活や経済活動などを
変えるキッカケになるかもしれません。
それって、とってもオーガニック(有機的)な行動と思いませんか?
オーガニック経済を支える根本は、心の在り方
さて、オーガニックの農業や製品、購買活動の案内ではなかった
今回の「オーガニック経済」の提案はちょっと奇抜かもしれません。
しかし、オーガニックとは野菜や農法だけの話に限った事ではなんだ、
そう思っていただければと思います。
経済という言葉も然り。
お金のやり取りだけが経済じゃないというアプローチをしたかったのです。
(写真提供:パーマカルチャーセンター”Raksa garden” https://www.facebook.com/raksagarden/)
オーガニック(有機的)な心の在り方を意識してみて下さい。
それはオーガニック食材を食べること
食べる事で健康になること
オーガニック農法で体や環境への負担を軽減すること
オーガニック農法で自然本来の生命力を感じること
また、オーガニック(有機的)な人間関係や経済活動をすること
毎日の中で、あなたが感じる「あぁ、オーガニックだな」という瞬間を意識して
もっと増やしてみて下さい。
それは、美味しいものを食べられる楽しみや
今日も健康に生きれた事への感謝から繋がる事でしょう。
人間というのは、ある程度の他者と繫がりを持ちながら生きる生物です。
つまり、わたし達の存在自体はすでに「オーガニック(有機的)」である事を知って下さい。
オーガニック経済は、
究極をいえれば、本来のわたしたちの生活(営み)に戻る事を意味するかもしれません。
あなたとって、オーガニック経済はどんなものですか?
是非、一度考えてみて下さい。
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