超カンタン!日本人の暮らしの知恵、天日干し「乾燥野菜」の作り方|栄養価も旨味もアップして災害備蓄食にもぴったり
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超カンタン!
日本人の暮らしの知恵、
天日干し「乾燥野菜」の作り方
栄養価も旨味もアップして
災害備蓄食にもぴったり
こんにちは。9月に入って、ようやく猛暑も少しずつ落ち着いてきたといった感じですね。
夏から秋へ移ろっていく時季は、空気も徐々に乾燥し始めます。
夏のじめっとした湿気から解放され、カラッと爽やかな空気を
思い切り楽しめるのも、もう間も無くです。
そこで今回は、秋の乾燥した空気を活用して作る「天日干し野菜」について、
ご紹介してみたいと思います。
作り方はとてもシンプル。多少のコツはいりますが、そのコツも驚くほど簡単です。
この秋冬にかけて、自然の恵みがたっぷりで、
栄養価も高い天日干しの乾燥野菜を作ってみませんか?
野菜の価格高騰。困りますよね?
今は徐々に落ち着きを見せつつありますが、
8月以来、店頭に並ぶ野菜の値段は、しばらく高騰続きでした。
私が住む九州地方でもキャベツやレタスが1玉398円だったり、
ブロッコリーが1房299円だったりと、スーパーの店内を歩く度に
あまりの高値に目を見張るような日々。
この野菜の価格高騰は全国的な現象で、
ネット上でも「スーパーの野菜売り場が高級食材売り場と化している」とか、
「野菜がお肉より高い」などという悲鳴のような声が上がりました。
農林水産省による食品価格の動向調査の平年比でも、
今年は主な野菜のほぼ全てが値上がりしたことがわかり、
タマネギ8%、トマト17%、ねぎ29%、バレイショ(ジャガイモ)62%、
ナス44%、キュウリ40%、キャベツ84%、
レタスに至っては142%という高い値上げ率となりました。
その原因は7月の長雨と日照不足に伴い野菜の生産量の深刻な減少。
具体的な数字を見てみると、東京の7月の天気はほぼ毎日雨で、
雨が降らなかったのは19日のただ1日だけだったということです。
9月に入ってからもすぐ、台風9号・10号と立て続けに2つの台風が日本列島に近づき、
再び、農作物の被害も出ています。
そういったことからも、野菜の価格は簡単に高騰してしまうのです。
安い時にまとめ買いして保存食に。
天日干し野菜のメリット
昔から日本には、乾燥トウガラシや切り干し大根など、ポピュラーな乾燥野菜があります。
干し椎茸も、日持ちがして栄養価が増し、風味も良くなるということで重宝されてきました。
海外でも、例えばイタリアでは、乾燥野菜のドライ・トマトが有名ですよね。
イタリアのドライ・トマトは”サンドライトマト”と呼ばれ、
たっぷりの太陽の陽射しの下で乾燥させることで、
栄養価が上がり、甘みも増すといわれています。
ちなみに現代では、乾燥機や電子レンジなど、便利な機器を使うと、
天気に左右されることなく、水分が完璧に抜けた乾燥野菜を作ることが
技術的には可能です。
ところが、こういった電子機器が無かった時代の製法である
「天日干し」で作られる乾燥野菜には、他の製法では得られない
栄養上のメリットが沢山あることがわかってきました。
太陽の下で乾燥させる(日に干す)ことによって、
野菜には相当にプラスなメリットがプラスされます。
例えば、太陽光の熱で野菜が温められると、酵素や微生物が活性化して
旨味成分が生成されます。
野菜に含まれる酵素のアミラーゼが活性化されるとデンプンを分解し、
ブドウ糖や麦芽糖などの糖を作ります。
さらに、温められたり、乾燥によって野菜の表面が変化して歯ざわりが良くなり、
風味も増して、より美味しく感じられるようになるということもあります。
天日干しで野菜の栄養価がアップする
天日で野菜を干すと、野菜本来に含まれる栄養価がグッと高まることが科学的な研究でわかっています。
野菜のビタミンD、ビタミンB群、カルシウム、鉄分、ナイアシンといった成分の
含有量が増えることが報告されているのです。
先ほど例に挙げた野菜の栄養価も、天日干し乾燥によって以下のようにアップします。
・トウガラシ:
新陳代謝を促すカプサイシンや皮膚や粘膜、視力の維持に必要なβカロテン、ビタミンEなどの栄養素が濃縮される。
その結果、同じ量でも生で摂取するよりの摂取出来る栄養素の量が増えるのです。
・大根:
生と比べ、エネルギーは約15倍、カルシウムは約23倍に増加。食物繊維の量も増える。
・シイタケ:
もともと豊富に含まれているエルゴステリンという成分が紫外線を浴びることでビタミンDに変化し、生しいたけの約2倍にもなる。
*ビタミンDは腸管においてカルシウムの吸収率を20倍にも高め、血中のカルシウム濃度を高める働きを持っている
・トマト:
トマトに含まれるリコピン(悪玉コレステロールを抑える役割を持つ)やオキソODA(中性脂肪を抑える役割がある)、GABA(鎮静作用が期待出来る)などの
栄養素が濃縮される。
その結果、同じ量でも生のトマトを食べるより多量の栄養素を摂取出来るようになる。
このように、生のまま食べるよりも体に有用な栄養素の量がグッと増え、
また濃縮されて、少量でも多くの栄養を摂ることができるようになるメリットがあります。
天日干しで水分が抜け、
長期保存が出来るようになる
一般に、野菜を干すと青臭さが抜けて、甘みが増します。これまで伝統的に干し野菜が作られてきた背景には、
先人達の経験に基づいた知恵が生かされているのでしょう。
そして、天日干しの乾燥野菜で一番有り難く感じられるのは、
やはり、保存出来る期間が長くなることではないでしょうか。
野菜はもちろんですが、食品が腐敗するほとんどの原因は水分です。
食品に含まれる水分の中には分子が自由に動き回れる「自由水」がありますが、
この自由水が、時間が経つにつれて周囲の細菌に汚染されたり、
カビの浸食を受けたりすることで食べ物の腐敗は進みます。
食品に塩をまぶしたり、砂糖に漬け込んだりすると腐りにくくなったり、
カビがつきにくくなって長く保存が出来るようになるのは、
この自由水を塩や砂糖がつかまえて、その分子の動きを制限してくれるから。
野菜などの食品は乾燥をさせると、この自由水の量がぐっと減るため、
それによって保存期間も長くなるというわけです。
天日干しで保存期間が長くなると、
無駄な食品ロスが減る
スーパーなどに行って、値下がりしている野菜を見つけると、つい、大量買いしてしまいたくなりますよね。
ところが、沢山買っても上手く使い切るのはなかなか難しいもので、
現実的には冷蔵庫の中で鮮度が落ちてしまったり、
腐らせてしまったりしがちです…。
告白しますと、我が家もそんな食品ロスに悩まされてきた家庭のひとつでした。
「食材を一種類たりとも無駄にしたくない」という気持ちはあるものの、
どうしても使い切れずに傷ませてしまって、仕方なく廃棄しなければならないというのは、
いつも大きなジレンマ…。
ですが、余った野菜を天日干しにして乾燥させ、保存するというアイデアを得てからは、
その悩みにも解決の光が差したような気がしています。
これまで罪悪感を感じながらも廃棄処分していた野菜を無駄にせず、
しかも栄養価をアップさせて効率的に摂取出来るというのは、大きな喜びです。
また、日頃から天日干し乾燥野菜を常備しておけば、例えば、今の時期のように
キャベツが高くてなかなか買えない…という事態になっても、
うちには天日干しのストック野菜があるから大丈夫…などと、
野菜の価格高騰を上手に乗り越えることも出来ると思います。
天日干し野菜は、
災害時の非常食・備蓄食にも最適
さらに近年は、地球上のあらゆる地域での気候変動が激しくなり、異常気象が頻発しています。
日本もその例外ではなく、温暖化による気温上昇を始め、
夏場の豪雨や台風による被害も、昔より厳しく、
規模も巨大化していますよね。
気象庁が発表する自然災害に対する警戒の呼びかけにも、
「今までに経験したことのない」とか「命を守る行動を」など
という強い文言が頻繁に見られるようになりました。
今年、九州では豪雨と2つの台風の被害を受けました。
幸いなことに我が家ではまだ一度も避難所にお世話になったことはないのですが、
近頃の自然災害の状況を見るにつけ、
「避難」という文字は、もはやもう他人事ではなく、
すぐ目の前にまで迫った現実になりつつあると思います。
そんな中で知ったのが、災害時への備えに活用出来る天日干し野菜の存在。
カップラーメンや缶詰などといった、よくある定番の備蓄食では、
避難生活が長引いた場合、栄養不良を引き起こす心配があります。
命を繋ぐためには、最低限の水と米(炭水化物)の確保は必須です。
さらにその上で、ビタミンやミネラルが豊富な野菜、
発酵食品などがあれば、最低限の健康を保つことが出来ます。
ですが災害時には、インフラが破壊され物流が滞り、農作物も大規模な被害を被る可能性があり、
新鮮な野菜を入手することは恐らく困難になることでしょう。
もしそんな時に、乾燥野菜のストックがあれば、どうでしょう?
野菜の栄養素を、たとえ少量でも効率的に摂取出来る乾燥野菜を活用すれば、
避難生活が長引いた場合の栄養不足を、かなり補うことが出来るのではないでしょうか?
しかも天日干し野菜は水分が抜けることによってかさが減っているため、
自宅等から持ち出す場合もかさばったり、重量が負担になることがありません。
こういった観点からも、日ごろから天日干し野菜を沢山作ってストックしておくことは、
災害に備える効果的な方法のひとつだといえるのではないかと思います。
天日干し野菜の作り方
2種類の乾燥方式:セミドライとフルドライ
天日干し野菜には、乾燥する長さによって、2種類があります。①セミドライ:半日~1日間ほど天日干しにして乾燥させたもの。
生野菜の水分が抜けてシナシナになったものと捉えるとわかりやすいかと思います。
水分が抜けた分、生野菜よりも味がしっかりとしていることが多いのが特徴ですが、
長期保存には向かず、保存期間は生野菜とほぼ同じです。
②フルドライ:数日~1週間ほど天日に干してしっかり乾燥させたもの。
天気予報をチェックして、数日間晴れの日が続く期間を選んで作りましょう。
生野菜よりも腐りにくく、野菜の種類によっては半年以上保存することが可能です。
どんな野菜を天日干しにするとよいのか
天日干し野菜は、基本的にどんな野菜でも作ることが出来ます。初めての場合は、キュウリ、大根、白菜などで作ってみると、
生野菜との味のギャップが大きくて意外な味わいを発見出来、楽しめます。
ポピュラーなトマトは切る厚さを変えて、味わいの違いを比べてみるのも面白いと思います。
その他にもナスやカボチャは風味や甘みが増しますし、
パプリカなら干しても赤や黄色やオレンジなど鮮やかな色が保たれるので、
料理の彩りにもひと役かってくれるはず。
レンコン、にんじん、ゴボウなどの根菜類は特に、天日干しに向いている野菜です。
なるべく薄く切って、フルドライで乾燥すると、美味しい手作りの野菜チップスが出来上がります。
天日干し野菜を作るコツ
野菜の切り方
天日干し野菜を上手に作るには、野菜の切り方に工夫をしましょう。特に「こうでなければならない」という決まりはないのですが、
用途によって切り方を変えるのがオススメです。
短時間で完成させたい場合には、出来るだけ薄く切るのがポイント。
野菜を切るときには、皮と身の間に栄養が多く含まれていますので、
皮をむかずにそのまま切りたいところです。
そして、皮つきのまま干すためには、残留農薬などの心配のない有機野菜を使うと安心ですね。
わずかに水分が残るセミドライのものを、その日の晩ご飯に使うなどの場合には、
野菜を肉厚に切ることで、その野菜ならではの旨味と食感をより楽しむことが出来ます。
また、トウガラシやネギなどのように薬味として長期保存することが目的なら、
細かく刻んでフルドライにすれば、普段使いの調味料として使い勝手もさらに良くなります。
※注意点:野菜の切り口などに水分が残っていると、そこから細菌やカビが繁殖して傷んでしまうこともありますので、
天日干し野菜を作る時は、キッチンペーパーなどで水気をあらかじめよく拭き取るようにしましょう。
野菜の干し方
天日干し野菜を作る基本的な方法は、通気性の良いザルや網の上に野菜を乗せて、お日さまの下に置いておくことだけです。
野菜を干す時は、野菜が重なってしまわないように並べましょう。
小松菜やホウレンソウなどの葉もの野菜はそのまま切って干すと乾きにくいという特徴がありますので、
干す前に一度さっと茹でて水気を切ってから干すと乾きが早くなります。
干す時間帯は、1日の間で日光が強くなる、午前10時から午後3時までの間が最適です。
天日干しは屋外になりますので、鳥や虫などが野菜を狙いに来ることがありますが、
ホームセンターなどで売っている天日干し用のネットを使うと、その心配は無用に。
天候の変化によって上手く乾燥が出来なかった場合や、出来るだけ長持ちさせたい場合などには、
仕上げに電子レンジを使って完全に乾燥させ、保存容器や袋に乾燥剤を入れて保存する方法もあります。
*その際電子レンジの出力に注意しましょう。あまり強い出力で電子レンジにかけると、黒く焦げてしまう恐れがあります。
干し野菜の保存方法
干し野菜の保存方法は、ワカメや海苔などのような一般的な乾物の保存のやり方と同じです。保存容器には、密閉出来るタイプのものやジップロックなどを使い、
直射日光が当たらない場所や冷蔵庫で保存すると長持ちします。
特に数日間じっくりと天日干ししてフルドライにしたものは、
常温でも数週間~半年ほど保存が可能です。
きゅうりを天日干しにしてみた
今回は、試しに、きゅうりの天日干しを作ってみました。天日干し野菜といえば、大根やゴボウ、ニンジンやトマトなどが思い浮かぶかと思いますが、
あまりイメージがない、野菜の中でも水分を多く含むきゅうりを天日干しにするとどうなるのか、
実践で調べてみることにしました。
午前8時頃。一日中天気の良い日を選んで、2~3ミリ幅に輪切りにしたきゅうりを
重ならないようにキッチンペーパーを敷いたバットに並べて天日に晒しました。
その日は用事があって出かけていたのですが、夕方4時頃家に戻ってから見てみると、
朝見た時より半分以下に縮んで乾燥しているきゅうり達がいました。
半日の乾燥でしたので、これでもセミドライのものが出来上がったことになります。
ちょっと可哀想になるくらい、シワシワに縮んでしまっていたのですが、
ひとまず天日干しは成功!ということで、早速手に取って食べてみました。
味は、乾燥する前のきゅうりに比べて甘みが増して、香りも強くなっているように感じました。
シャキシャキする歯ごたえも残っていて美味しかったです。
この大きさに縮んでもまだ水分が残っているのを感じましたので、もっと長い時間乾燥すれば、
より水分が抜けて、また別の味わいになりそうな予感もしました。
ただ、写真を見ていただいてもわかると思いますが、きゅうりは元々の水分が多い野菜ですので、
乾燥すると体積がかなり減ってしまいます。
ですので、例えばポテトサラダなどを作るならばこれだけの量では全然足りず、
この2~3倍の量は必要かなと思いました。
野菜高騰の今を乗り切り、災害の備えにもなる
天日干し野菜を活用しよう
今回は、味変も楽しめる、天日干し野菜についてご紹介しました。
いつも何気なく食べている野菜が、太陽のエネルギーを浴びて栄養価が高まり、
水気が抜けることによって長期保存に耐え、その上食品ロスの削減や災害用の備えにまでなるだなんて、
私達の生活にとって多くのメリットがあるように思えますね。
昔の人達が、野菜の採れない冬場の保存食として始めたのであろう乾燥野菜。
その昔はまだ知られていなかった天日干しによる栄養価の上昇が、現代の研究によって発見され、
今再び、干し野菜は日の目を見ようとしています。
私も、これからは食生活にどんどん天日干し野菜を取り入れていきたいと思います。
健康のため、食品ロスを減らして食べ物を粗末にしないため、野菜高騰の今を乗り切る知恵として…。
更に、頻繁に天候悪化や自然災害の被害を受けるようになったこの時代、
自然からの恩恵とも言える天日干し野菜は、気候変動や災害の危険から生活と健康を守る
一助にもなると思います。
今年の秋は、まずは試しにお好きな野菜を天日干しにして食べてみませんか?
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