【現役有機農家が解説!】先行き不透明な時代、日本で販売される野菜は今後どうなるの?今だからこそ再検討したい、将来も安泰で安心な野菜の購入方法とは
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【現役有機農家が解説!】先行き不透明な時代、日本で販売される野菜は今後どうなるの?今だからこそ再検討したい、将来も安泰で安心な野菜の購入方法とは
突然ですが、あなたは、農家が消費者のニーズに合わせて野菜の作り方を変えていることをご存じですか?
この記事を書いている私は、九州は宮崎県の山奥で有機農業を営み、有機JASの検査官もしている有機野菜オタクです。
コロナや鳥インフルエンザなどの影響は、確実に日本の食にも大きな影響を与えています。
本記事ではその中でも野菜に特化して、日本で販売される野菜の今後について考えてみました。
✓安心できる野菜を購入するにはどうしたらいいの?
✓どんな野菜が安全な野菜と言えるのかを知りたい
本記事は、このようなことを考えているあなたにとってきっと参考になるはずです。
そして、記事を読み終わる頃には、あなたもきっと本物の野菜を求めて行動する気になっているはずです。
前半では、コロナで影響を受けた農家についてお話しします。
なぜなら、農家の種類を知ることが安全な野菜を選ぶ上で重要だからです。
中盤で近年の消費者の動向を、後半で安全な野菜の選び方をお伝えします。
コロナ禍で影響を受ける農家は確実にいた!脚光を浴びる有機野菜の宅配
◆自身が有機野菜を作る生産者であることから、知り合いにも色んな農家がいます
◆自身が有機JASの検査官をしているので、たくさんの農家とお話します
こんな経歴の私から見て、消費者の消費活動の変化は勿論ですが、生産者自身も新型コロナウイルスによる影響を受けていると感じます。
日々、どのような農業経営をしているかで明暗が分かれることになったのです。
農業はコロナによる影響をどのように受けたのか【パターン別に紹介】
ザックリ考えると、私の周りで農業を営む農家には、概ね以下の3つに分類されます。
1、JA(農協)などの組織に加入して、組合員の一員として野菜を生産する農家
2、レストランや学校給食など、個人で大口の取引先に野菜を販売する農家
3、組織に入らず個人でお客様を見つけて家庭に野菜の宅配をしている農家
2、レストランや学校給食など、個人で大口の取引先に野菜を販売する農家
3、組織に入らず個人でお客様を見つけて家庭に野菜の宅配をしている農家
当然、直売所などに自分の作った野菜を持っていったり、マルシェ等に出店して販売したりと他にも色々パターンはあります。
しかし、経営として成り立つという観点からみると、私の周りでは概ね1~3のどれかに当てはまります。
そして、どの分類に属していたかで新型コロナウイルスによる影響の受け方が違っていたのです。
『組織に加入して農業をする農家』はあまり影響を受けなかった
農業をしていて一番難しいのは、お客様を探すことです。世間的には集客とも言いますよね。
個人で集客できない農家のためにあるのが、JAや出荷組合のような組織です。
組織力で販売するため、農家は生産だけに集中して、自分で野菜を売る必要がありません。
新型コロナウイルスで最も影響を受けなかったのは、この組織に属している農家でしょう。
これらの農家は、自分で作った野菜の個性がありません。
つまり、自分で作った野菜はJA○○(地域名)「小松菜」のように、他の組合員の野菜とごちゃまぜになって出荷されます。
しかし、コロナ禍であっても個人では考えられない組織力で全国のあちこちに野菜をさばいてくれます。
農家にとっては、組織に指示された量の野菜を出荷するだけでいいので、多少の出荷量の減少はあっても、経営的にそれほど影響はなかったとように感じます。
『大口に取引先を持つ個人農家』は大打撃を受けた
一方、組織に加入せず、自分で営業をかけてレストランや学校給食などと取引きする農家もいます。生産活動に加え、自分で顧客を見つけて販売もする必要があるのでかなり難易度が高いです。
家族や友達を集めて組織化している方もいらっしゃいますね。
集客の苦労も多いですが、以下のようなメリットがあります。
✓取引先が大きく、継続的に取引してくれるため経営が安定する
✓自分で野菜の値段を決めることができ、中間マージンが引かれないため利益率が高い
しかし、コロナ禍においては、このメリットが命取りになりました。
ご存知のようにコロナで飲食店にはお客様が来ず、営業自粛や閉店に追い込まれました。
学校給食も非常事態宣言等によって全国的に休校になりました。
これらの大口取引からある日突然「野菜はもういらない」と宣告されるのです。
私の知り合いの農家は、レストランに出荷予定だった野菜を全て畑の横に捨てていました。
取引先が大口であったために、いや、取引先がコロナで影響を受けやすい産業であったがために、連鎖的に影響を受けたのです。
『個人でコツコツと一般消費者を見つけた農家』は追い風が吹いた
組織に加入せず、自分でお客様を探す点は上記と同じですが、ここに分類される農家の顧客は企業のような大口取引先ではなく、一般消費者です。この手の農家は、自分で多品目のこだわり野菜を作りセットにして個人のお客様にセットを届けます。
新型コロナウイルスがいよいよ大変になり、国として非常事態宣言が出された去年の春以降、私のもとには例年では考えられない「有機野菜の宅配」の注文が全国から舞い込むようになりました。
個人で宅配をしている同じ有機農家の知人に聞いてみると、知人も同様の傾向のようでした。
非常事態宣言によって、外出をしなくなったOLや主婦のような個人のお客様からの新規の注文、既存のお客様でも宅配の回数を月1回から月2回に増やして欲しいなど、コロナ以降明らかに風向きが変わったのです。
外出せず免疫力を上げる食べ物を・・消費者の心を掴む有機野菜の宅配ニーズ
消費者の心理としては、できるだけ外出(買い物)を避けて感染を避けたいという心理が間違いなくあります。さらに、免疫を高めておけばコロナには感染しにくい(私には真意は分かりませんが)みたいな風潮もあるようです。
そんな中で、今伸びているのが有機野菜の宅配でしょう。
先ほど、私の有機野菜も「問合せが全国からたくさんきた」と自慢するかのように書きましたが、これは私だけではなく、全国どこの有機野菜を宅配している組織や個人も同じだったのです。
ご存知かもしれませんが、有機野菜の宅配を手掛ける大手「坂ノ途中」もFB上で、以下のような投稿をしていました。
【お試しセット 一時ご注文停止のお知らせ】
いつも坂ノ途中Online Shopをご利用いただき、
まことにありがとうございます。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、
非常に多くのご注文が集中したため、
「お試しセット」の販売を一時的に休止しています。
ご購入を検討されているお客さまに
ご迷惑をお掛けしますことを、
心よりお詫び申し上げます。
(引用:2020.3.31 株式会社 坂ノ途中 FB投稿より)
周りの農家や会社、自身の体験から、今後、コロナ禍の日本において伸びていく分野の一つに有機野菜の宅配があることは間違いないようです。
消費者の2極化は広がる一方。そして、農家はそれに合わせて野菜を作る
さて、ここからは、消費者の動向についてスポットを当てていきます。
実は、私はレストランも経営しておりまして、日々お客様と接する中で感じることがあります。
それは、信じられないくらい広がり続ける「食」についての知識の差です。
そしてこれは、声を大にして言いたいことです。
消費者の2極化は広がる一方です。
また、
農家は2極化した消費者のニーズに合わせて野菜を作ります。
消費者の動向1:価格重視で中身を気にしない
とにかく、安い価格でたくさん食べたいと思っている消費者です。いわゆる、コスパ重視ですね。
✓野菜や果物の詰め放題で得した気分になる
✓できるだけ小さい野菜より大きな野菜を選ぶ
✓セール時の安い野菜しか購入しない
などなど、とにかく世間が進む方向と同じ道を選択している消費者で、後述する消費者よりも圧倒的多数派です。
先に断っておきますが、私はこの方達が悪いとは思っていません。
なぜなら、消費活動は個人の自由であり他者から強制や干渉されるものでないからです。
この方達の特徴は、日々の消費活動で「なぜ?」を追求しないこと。
・なぜ、野菜や果物が詰め放題なんだろう?農家や店は恩恵があるのかな?
・なぜ、大きな白菜と小さい白菜があるのだろう?
・野菜がこんなに安くなって、農家の人は困らないのかな?
後述の消費者がこのような目には見えない些細なことに疑問を抱く一方、多くの消費者は目に見える野菜の値段や形、大きさに注目しています。
【農家の本音】価格重視の消費者にはそれなりの野菜の作り方がある!
そして、そんな消費者をターゲットにしている農家は、店頭で販売される野菜が出来るだけ安くなるように、自身も生産コストを抑えた作り方をします。具体的に書くと、
✓早く成長させ、畑の回転を早めるためにたくさんの化学肥料を使用する
✓できるだけ大きく、できるだけ葉の色を濃くして消費者に選んでもらうため化学肥料を使用する
✓害虫などに被害を受けると、消費者に選んでもらえなくなるので農薬を使用する
などです。
価格の安い野菜には、必ず上記のように何らかの理由があるものなのです。
化学肥料や農薬を使うと、楽に低コストで野菜を害虫や病気から守り大きく立派な野菜を作ることが可能になります。
化学肥料や農薬についての詳細は、過去に私が解説した記事がありますので、興味のある方はご覧ください。
★なぜ、化学肥料はいけないの? 意外と知られていない化学肥料の害|その使い過ぎは土や生物、野菜や人の体に悪影響を及ぼします
★日本での農薬使用は絶対になくならない!消費者までもが無意識的に農薬を求める驚愕の事実
消費者の動向2:品質重視で食の情報収集に長ける消費者
一方、こちらは、日本ではごくまれな珍しい消費者です。上記の価格重視の方とはまるっきり正反対ですね。
✓値段よりも先に、自分や家族の身体にとって安全な野菜とは?を考えている
✓メディアの主張をそのまま受け入れず、自分で積極的に様々な情報収集をしている
このような方は、野菜に限らず食に関するリテラシーの高い方が多く、お肉や卵など様々な食の情報を調べることを避けません。
今回は、公平な視点で記事を書いていますので、この方達が素晴らしいと言う気はありません。
この方達のデメリットは、周りの情報を素直に受け入れることができないので、日々、自分なりの情報週に多くの時間を割かれています。
そして、私もそうなのですが、知人からいただくお菓子を口に出来ない、友人と外食に行くことが出来ないなど、日常生活に支障をきたしている方もいらっしゃいます。
【農家の本音】価格重視の消費者は一切無視。信用を失わないように野菜を作る
このような消費者を相手に野菜を作る農家は、前者とは全く違う作り方で野菜を作って販売します。具体的には以下のような感じです。
・成長スピードやほ場の回転を重視しないため化学肥料は使用しない
・人に危険だけでなく、自然界の生き物にとって危険な農薬は使用しない
※そもそも、害虫で壊滅的な被害を受ける畑の管理をしていないので農薬が必要ない
私も含めて、これらの農家は上記に書いた価格重視の消費者のためには野菜を作らないのです。
なぜなら、そのような消費者(市場)を相手にする農家は、他にもたくさんいるからです。
つまり、自分の作る有機野菜を価格重視の消費者の前に差し出しても、見向きもされないとが分かっているのです。
結局、消費者も二極化が激しいように、生産者である農家も二極化していることを覚えておきましょう。
安全な野菜に関して言えば、世間の常識は有機の世界では非常識だったりします。
興味のある方は、以下の記事もご覧になって下さい。
※ここまで読み進めてくれた、リテラシーの高いあなたは既にご存じかもですね。
★現役有機農家が教える、本当に安全で美味しい野菜の選び方|野菜は“小さくて色が薄いもの”こそを選ぶべき理由。世間の常識は有機農家の非常識だった!?
自然栽培でも有機JASでもない?!世界一安全な野菜はあなたが納得するかどうかです
「じゃあ、どんな野菜が最も安全で、私たち消費者は何を買えばいいの?」と思った方が多いと思います。
結論から言えば、世界で一番安全な野菜は、あなたが「この生産者の野菜は間違いない」と信じた野菜です。
ぶっちゃけ農法と安全性は関係ない
私は、有機JAS認証を取得している農家でもあるし、有機JASの検査官もしています。そんな私が、このようなことを言っちゃいけないかもしれません。
しかし、私の経験上、有機JAS認証の野菜だから安全とは決して言い切れないのです。
確かに有機JASは国家規格でかなり厳しく、取得できる農家は少ないです。
でも、堆肥(肥料)を入れすぎたりして不健康な野菜を作る農家もいれば、有機JAS規格で認められる生物由来の農薬を使用する農家もいます。
じゃあ、自然栽培や自然農などが良いかと言われれば、あくまでも「自称」であり有機JASのように第三者が、毎年、ほ場を検査して自然農であることを証明してくれる訳でもありません。
また、本人が自然農を主張しても、隣の畑が農薬を散布して、自然農畑に農薬がかかっているかもしれません。
このような理由から、農法を比較して安全な野菜を選ぶことはナンセンスだと思います。
★北海道の広い大自然で収穫された絶品野菜!野菜5種類+加工品
結局、生産者(農家)を知らない以上、安全性を語れない
結論として、色んな農家に興味を持ち、メールや電話(今では難しいかもしれませんが、会いに行く)など、より多くの農家とコンタクトをとるように動いている消費者が、安全性の高い野菜に出会えます。そして、彼ら彼女らは、生産者(農家)に対して色んな疑問をぶつけます。
例えば、私が、今まで消費者から受けた相談や質問を以下に列挙しておきますね。
✓なぜ、有機JAS認証を取得しているのですか?
✓なぜ、化学肥料や農薬を使用しないのですか?
✓あなたの作る野菜と市販の野菜の違いは何ですか?
✓有機野菜は味に違いがあるのですか?他と比べて何が安全なのですか?
✓なぜ、市販のタマネギと比較して小さいのですか?
このような質問の答えにあなたが納得すれば、その方が作る野菜があなたにとって世界で一番安全性の高い野菜になります。
要するに、安全性が高い野菜は世の中に無数にあって、消費者であるあなたが、生産者の生き方や思想、農業に対する想いなどに共感すればいいだけなのです。
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あなたはスーパーや農家に試されている
しつこいようですが、大事なことなのでもう一度言いますね。✓農家は、消費者ニーズに合わせて野菜の作り方を変えることができる
✓消費者が二極化しているように、農家の生産方法も二極化している
✓安全な野菜は、あなた自身が納得したり、農家に共感したりするかにかかっていて、人によって異なる
✓たくさんの農家にコンタクトをとる中で、あなたにとって安全な野菜に巡り合う可能性が高くなる
結局、消費者は野菜を生産する農家、そしてそれを販売するスーパーに試されているのです。
価格重視、コスパ重視の消費者が多ければ、世の中には自ずとそのような野菜が増えますし、品質重視の消費者が増えれば、そのような野菜が多く販売されます。
今の日本は、どちらが多いでしょうか?答えは簡単ですよね。
あなたの日々の消費活動は、生産者である農家やスーパーに試されています。
日本でオーガニックや自然農などのこだわり野菜が少ない理由は、彼らに試されて消費者が選んだ答えなのです。
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