常にだるく、疲れやすい|鍼灸師が伝える東洋医学から考える甲状腺機能低下症について
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身体のだるさがひどい時は動けない。
疲れやすく常にだるさがあり、仕事が思うようにできない。
昔から体調不良に悩んでいて、原因不明で病院を転々とした。
内科ではうつ病だと言われた。
そんなことで悩んでいませんか?
実は、そんな症状は甲状腺機能低下症の可能性が疑われます。
近年、若者の間でもこのような症状を訴える人がいます。
こちらでは東洋医学から見た甲状腺機能低下症の原因と対処法についてお伝えします。
甲状腺機能低下症とは
甲状腺の機能とは代謝を促進するチロキシンというホルモンを出す事です。
この甲状腺の機能が低下すると身体全体の代謝が低下するので、疲労しやすく回復し辛い身体になってしまいます。
甲状腺の治療は始めても亢進と低下を2週間ほどのサイクルで繰り返します。
ある程度は調子が良くなってもストレスがかかったり風邪をひいたりすると体調を崩しやすく治りにくいのが特徴です。
慢性的な甲状腺の機能低下は橋本病とも呼ばれます。
甲状腺の機能が低下する橋本病では喉にある甲状腺全体が腫れて大きくなることがあります。
バセドウ病と呼ばれる甲状腺の機能亢進でも甲状腺が腫れますが、橋本病の甲状腺腫は比較的硬く表面がゴツゴツしている傾向があります。
甲状腺機能低下症は、血液中の甲状腺ホルモンが不足した状態で、
- むくみ
- 肌荒れ
- 寒がり
- 体重増加
- 無気力
- 筋力低下
- 月経異常
甲状腺機能が低下すると代謝の低下からむくみが起こりやすくなり、特に起床時に手や顔がむくみ、昼頃になると少し改善する傾向があります。
唇や舌、喉の奥の粘膜のむくむと声が低くなりしゃべりにくくなることがあるのも特徴です。
また、新陳代謝が低下するため、皮膚も乾燥してカサカサし肌荒れの原因ともなります。
そして新陳代謝の低下から全身の熱の産生が減り、
寒さに弱くなったり胃腸の働きが悪くなるため食欲が減り食べる量が少なくなるのに、むくみや新陳代謝の低下から体重が増えるのも特徴です。
新陳代謝の低下は無気力を起こし、筋力の低下や肩こりがひどくなり、月経異常も現れやすくなります。
甲状腺機能低下症と橋本病の違い
甲状腺機能低下症も橋本病も甲状腺の病気ではあります。
しかし、甲状腺機能低下症と橋本病は症状が似ているために同じ病気だと思っている人もいますが実は違います。
橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起きている病気であり、自己免疫疾患に分類されます。
対して、甲状腺機能低下症とはホルモンバランスの乱れでも起こります。
橋本病は甲状腺の病気のなかでもとくに女性の割合が多く、男女比は約1対20~30とかなりの男女差があるのが特徴です。
橋本病が悪化した結果として甲状腺機能低下症につながることも多いのです。
年齢別では20歳代後半から40歳代が多いので、若年性更年期障害と勘違いされることもあります。
病院によってはうつ病と診断されることもあるのが現状です。
甲状腺機能低下症と診断されたら,一生甲状腺ホルモンを服用するものと考えられてきた.しかし橋本病による甲状腺機能低下症の患者の中には低下症から回復し,甲状腺機能が正常化するものがいる.可逆性甲状腺機能低下症がある.
~甲状腺機能低下症の診断と治療,そして可逆性甲状腺機能低下症~ 高須 信行
甲状腺機能低下症は完治は難しいと考えられています。
一度低下した甲状腺の機能はホルモン補充療法しか選択肢はないと考えられていました。
ですが、甲状腺の炎症が原因で機能が低下していても症状が改善する例が見られます。
甲状腺に慢性の炎症が起こるのが橋本病ですが、炎症の程度が軽度であれば甲状腺機能は正常であり甲状腺機能低下症にはなりません。
つまり甲状腺が一度肥大してしまっても、その後に良い状態を保つことは可能だと考えられています。
東洋医学から見た甲状腺機能低下症
甲状腺の血液検査では甲状腺ホルモンが正常なら、甲状腺の機能低下ではなく治療の必要なしとされます。ところが甲状腺ホルモンの血液検査が正常でも、明らかに甲状腺機能低下症の人は、うつ病と診断され薬が処方されます。
人間の身体は、
- 夜更かし
- 過度の疲労
- ストレス
- 無理なダイエット
その手段として、甲状腺ホルモンが働かくなります。
病院では橋本病は治らないと言われていますが東洋医学ではそうは考えません。
現状では西洋医学では橋本病のような自己抗体が原因で起こる甲状腺の機能低下を正常化することはできません。
ですが、免疫の問題は生活養生で正常化するのです。
橋本病は自己免疫疾患です。
免疫が狂うと甲状腺を異物と勘違いして甲状腺に対する自己抗体をつくってしまいます。
この自己抗体が甲状腺の細胞を破壊していく為、徐々に甲状腺機能低下症になっていきます。
橋本病の主な症状は、
- 寒がりで疲れやすい
- 体重増加し声が低くなる
- むくみやすく喉に違和感が出る
- 物忘れが増えて無気力になる
- 肩こりや筋肉が疲れやすい
などが特徴的です。
一般的には甲状腺の代謝を促すヨウ素を含む食品を摂るのが基本ですが、
ヨウ素を多く含む昆布などをとり過ぎると、一時的に症状は改善されても長い目で見れば甲状腺機能低下を助長する危険があるので過剰な摂取は禁物です。
大切なのは甲状腺ホルモンをコントロールするために免疫を正常化することです。
免疫系が酷使され続けていると、自分と自分以外の敵を識別する力に異常をきたしてしまいます。
東洋医学から見た免疫力の高め方
免疫力が落ちている人の食事傾向
現代人で免疫力が低下している人の多くは暴飲暴食であるケースが多いようです。
そんなに食べていない、と言う人も多いかもしれませんが、では、一日にどれくらいの時間を空腹で過ごしているでしょうか?
胃が完全に回復するには12時間の空き時間が必要です。
食事の量はしれていても、食事の間の空き時間がないと胃は疲労していくのです。
さらにお腹いっぱいに食事をすれば胃は過労気味になります。
さらに食べた糖質や脂質、たんぱく質の分解や合成を担当する肝臓はフル稼働の状態です。
そして本来なら寝ている間に回復する肝臓と胃は寝る前に食事をすることで思うように回復が出来ていないのです。
暴飲暴食が続き、免疫力が低下した時には、どんな対処法がある?
昔から実践されてきた免疫力を向上する養生法として有名なのはお粥です。
薬膳の世界で言われるおかゆの十徳
- 顔色(血)を良くする
- 気(代謝)を高める
- 寿命を延ばす
- 胃を強くする
- 頭の回転が良くなる
- 津液(水分)を満たす
- 宿便の排泄
- 免疫力の向上
- 排泄力を高める
- 空腹を満たす
こちらの内容が、昔のお経には、書かれています。
これらの効能はアンチエイジングの基本にもなります。
免疫力を整える薬膳食材
- アルコールなどを解毒するセリ
- 胃腸を整えるナズナ
- 咳止めのゴギョウ
- アトピーを改善するホトケノザ
- 炎症を改善するハコベラ
- 排泄を高めるスズナ(カブ)
- 消化を促進するスズシロ(大根)
などは免疫力をアップするのに極めて効果的なのです。
またこれらの食材を選ぶ場合は、かならず無農薬のものを選ぶようにしましょう。
さらに風邪のひき始めには代謝を高めるおろしショウガを加えたり、
風邪の予防には喉の粘膜を強くするニンジンを、吸収しやすいすりおろしの状態で加えるのが昔からの薬膳の知恵です。
日頃からお腹いっぱいに食べていたり、
飲み会などで暴飲暴食が気になった時は週に一日でも良いので晩御飯をお粥のみで過ごしてみてはいかがでしょうか?
その時に、すりおろしたニンジンや大根に切った長芋やニラを加えるとさらに薬膳としてのお粥の効果は高まります。
さらに夜の7時までに食事を終えていれば胃や肝臓の機能が回復し身体の代謝が高まります。
消化にかかる負担を減らす事で身体は安心して代謝を高める指示を出せるので甲状腺の機能も高まります。
また、お粥がもつ免疫力がアップする効果とあいまって、
橋本病の人などでも無理のない範囲で代謝を上げる事が出来るので、普段から代謝が低いと感じている人には週に一日のお粥はおすすめです。
またお粥については白米の粥よりも上記のような薬膳食材を含む玄米や雑穀のお粥がオススメでしょう。
今日の記事の内容まとめ
● 食べ過ぎの方は、プチ断食なども取り入れるとGOOD● オーガニック薬膳食材を取り入れた無農薬おかゆを作ってみよう。
● ストレスがたまり過ぎている方は、心身をリラックスさせる時間を作ろう。
● 睡眠時間を確保しよう。
● ヨウ素の過剰摂取は危険。
● 免疫力の向上を目指し、お腹に良いものを腹八分目で。
甲状腺の機能が低下する原因にはホルモンバランスがあります。
それだけならヨウ素を含む食品を適度にとるだけでもある程度の改善は見られます。
ですが甲状腺の炎症が原因なら免疫力バランスをまずは整えることが必須です。
薬品に頼りすぎないためにも、思い当たる方は、すぐに生活習慣の見直しをしましょう。
免疫力の向上に大切なのは肝、そして胃腸を強くするために、ストレスをためずにリラックスし、
身体を休ませることが大切です。
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