【緊急レポート】欧州パンデミックの中心地イタリアから日本へのメッセージ2:今できることは今日を生きること
【緊急レポート】
欧州パンデミックの中心地イタリアから
日本へのメッセージ2:
今できることは今日を生きること
日本でも一部地域に「緊急事態宣言」が出されました。
皆さん、「ようやく」という気持ちと同時に、不安な心持ちでもいらっしゃるの
ではないでしょうか。
イタリアでも隔離措置が取られた当初は、「この先どうなるのだろうか」
という暗い雰囲気に包まれていました。
この非常時に、感染拡大の抑制と同様に大事なことは、各個人が心と体の健康を保つこと。
すでに1ヶ月にもおよぶ厳しい隔離生活を過ごしてきたイタリア人にとっても、これは重要な課題です。
彼らは、この状況をどうやってここまで乗り越えてきたのでしょうか。
今回は前回の記事に引き続き、まずは現地での日常の生活から見ていきましょう。
☆前回の記事はこちら
【緊急レポート】欧州パンデミックの中心地イタリアからのメッセージ1:共に生きるために今伝えたいこと
いざ買い出しへ!物流は通常通りで在庫も十分
“買い占めで棚が空っぽ”はイタリアでも起こった?
実は、イタリアで買い占めが起ったのは、ロンバルディア州の一部自治体に対して、イタリアで初めて封鎖措置がとられた時のみ。
全国に隔離措置が出された日でも買い占めが起こることはなく、
我が家の近所のスーパーにはパスタ、オリーブオイル、トマトなどの生鮮食品の
いずれもが豊富にありました。トイレットペーパーも同様に在庫は十分。
意外なことにお肉と小麦粉は品薄でしたが、それも翌日にはいつも通りの品揃えに戻りました。
店の前で静かに並ぶイタリア人の姿に衝撃を受ける
しかし、一点いつもと大きく違ったのは、入店に際して人数制限が課されていること。各自が1メートルの距離を保つ必要があるため、お店や薬局、郵便局の前に列ができています。
普段であれば1メートルの距離も何のその。道を挟んでいても大声で会話を始めるイタリア人が
静かに並んでいる光景に、事態の深刻さを感じたものです。
我が家の近所のスーパーの場合、入店の際は待っても10分ほど。
比較的空いているお昼時に行けば待つことはありません。
しかし、都市部ではスーパーに入るために1時間以上並ぶこともあるようです。
そこで、高齢者や健康上大きなリスクを抱える人、小さな子どもがいる家庭などのために
無償で買い物を引き受けるボランティアが現れました。
買い物代行を申し出たのは、同じアパートに住む隣人やNPO団体など。
世代を超えて皆で支えあうことで日々を乗り越えています。
休校によって、教育の平等にゆがみが
イタリアは現在、幼稚園から大学まで全てが休校中です。「明日から休校」と突然発表されたものの、実は6月から3ヶ月間の夏休みがあるイタリアでは、
祖父母など親が仕事中に子どもの見て面倒を見てくれる人的リソースが揃っているため、
さほどの混乱は起きませんでした。
しかし、自宅での学習となると話は別です。
保護者のITリテラシーが子どもの学力格差に直結
遠隔学習の形態は地域や学校によって様々。オンライン授業に対応している学校もあれば、
私の息子が通う学校のようにポータルサイトを通じて先生と課題のやり取りをする学校もあります。
息子のクラスは、先生から出された課題をダウンロードし、指定された期日までに終えて提出。
課題はノートに記入するものや、短い動画(YouTubeや先生自作のもの)を視聴する場合がほとんどです。
イタリアの学校は、クリスマスや父の日、復活祭などイベントごとに詩の暗唱をよくさせるので、
遠隔授業といえども暗唱の課題もあります。
これはスマホのレコーダーで録音したものを先生に送付します。
使い慣れている人にとってそう難しいことではありませんが、
アプリを使いこなすことができず四苦八苦する親御さんも少なくないようです。
親同士が助け合っているとはいえ、課題に遅れが出ている家庭も実際にあります。
ところが休校は、今年度が終わる6月までとの噂も...。
子どもが平等に教育を受けることができない現状に、多くの課題が残されています。
人生にかかわる「高等学校卒業試験」はどうなる?
イタリアでは、通常6月から7月にかけて「高等学校卒業試験」が行われます。これをパスすれば高校卒業となり、基本的に無試験で大学に入れます。
逆を言えば、不合格の場合は留年。
人生にも影響を与えうる非常に重要な試験です。
平常時であれば、3~4日をかけて筆記試験(イタリア語と専門科目の小論文、
1科目につき6時間)が行われ、さらに口頭試験が1日行われますが、
今年はどうなるか不透明なまま。
このような状況ゆえ、口頭試験だけにするかどうかを検討中とのことですが、
高校5年生とその親御さんにとっては大きなストレスになっていること間違いなし。
固唾を飲んで今後の発表を待っていることでしょう。
イタリア人の底力を見た!
落ち着きと明るさでサバイバル
正直に言うと、いい加減な言動やプロ意識のない態度にうんざりすることが多々あるイタリア生活。それゆえ、第二次世界大戦以来の危機に当初は、
「パニックでヒステリックになったイタリア人があふれるのでは?」と想像していました。
しかし、実際目にしたのは、落ち着きを保ち、努めて明るく過ごそうとするイタリア人の強さでした。
他者を励ますために絵を描き、歌い、奏で、踊るイタリア人
3人のマンマ(母親)によって始められたAndrà Tutto Bene運動をご存知でしょうか?子どもたちが虹の絵に「Andrà tutto bene(全て上手くいくよ)」と書き添えて、
自宅などのバルコニーに飾り、互いに励ましあう運動が全国に広まりました。
また、家から出られないため、バルコニーでは様々な「フラッシュモブ」
が繰り広げられました。
楽器に親しむ人たちは決められた時間に決まった曲を奏で、
歌を歌える人は美声(だけではありませんでしたが)を披露し、
同じアパートに住む人同士がダンスをして元気を出し合う。
残酷な現実の中で息子の笑顔を守りぬく父親を描いた映画『ライフ・イズ・ビューティフル』を
思い起こした人もいることでしょう。
また、医療従事者に向けて一斉に拍手を送る映像は世界中に配信されて、多くの人々の心を打ちました。
持てる人は置き、持たざる者は持っていく
そして、スーパーの入り口や街角には食材が積み重ねられている光景が見られるようになりました。これらは生活に困窮している人が食事に困らないよう置かれています。
大きな額の寄付はできなくとも、パスタ1箱、トマト缶1缶なら寄付できる人は大勢います。
これは、もともとナポリのバール(カフェバーのような店舗)で
エスプレッソコーヒーを注文する際に行われれている
思いやりにあふれる習慣から発生したものだと思われます。
どの家庭も少なからず経済的な打撃を受けている中で、
さらに苦しい生活を送る人々を思いやる気持ちがあふれ、こちらの心も温まります。
それでもコロナ疲れで心が苦しい時には
親しい人の命が奪われ、新規の感染率が日々上昇し続ける中で移動が制限された隔離生活を過ごし、さらに現在もこの先も、金銭的な大きな不安を抱えている‥‥‥。
いくらポジティブ思考のイタリア人でも、こうした日々は当然ながら心に大きなダメージを与えます。
戦争とまで言われる新型ウイルスが相手ですから、不安になってもそれはごく当たり前の反応。
イタリア人でも日本人でも一緒です。
地域に根差して日常的に心に寄り添う教会と、心の回復をサポートする臨床心理士は、
この非常時にどのような対応をしているのでしょうか。
ミサをライブ配信!教会もSNSをフル活用
ローマ教皇・フランシスコが全国の聖職者に向けた発言「コロナウイルスの感染者に会いに行く勇気を持ちなさい」は、イタリアでも物議を醸しました。
言葉通り受け止めて「医療従事者の負担を増やすのか」と非難する人もいましたが、
その一方で「感染し絶望を抱いているであろう人々に寄り添いなさい」という意味だと捉えた人もいます。
イタリアは聖職者といえども移動制限下にあり、人が集まるミサは禁止。
教会の中には文字通り扉を開けているところもあるようですが、市民が簡単に訪れることはできません。
そこで、SNSが活用されています。
我が家の地区の教会では、グループチャットや教会のFacebookページに毎日、神父様が5分ほどの動画を投稿。
話す内容は、キリスト教に限らず、禅のお坊さんの逸話など多岐にわたります。
日曜日のミサもライブ配信をしています。
ネットにアクセスできない人々、特に高齢の信者には、買い物代行などを請け負い、
その際にメッセージのやり取りをしているそうです。
心理のプロからアドバイス「情報のインプットを減らして」
私が住む市では、臨床心理士と無料(カウンセリング料なし)で話せるサービスを提供しています。誰でも電話できますが、年齢的にハイリスクで一人暮らしの高齢者を対象にしているとのこと。
誰かと不安を共有するだけで心は軽くなるものです。
おしゃべり好きのイタリア人にとってはなおさらのことでしょう。
知人である臨床心理士のイタリア人は、この局面を乗り切るために、一時的な対応ではあるものの、
アウトプット(誰かに話しかけること)が難しい環境にある場合、
インプット(情報の入手)を制限するようにアドバイスをしています。
メディアは人目を引くような、衝撃的な数字や映像を伝えがち。
これはお年寄りのみならず、あらゆる媒体からあふれでる情報を目にする若い世代にも
おすすめしたい心のケアの方法です。
パンデミックがイタリア人にもたらしたもの
イタリア人がこの隔離生活から何かを得たとすれば、より強い家族の結びつきと、イタリア人であることの誇り。それにつきるでしょう。
これ以上の幸せがあるものか
普段は自撮り写真ばかりを投稿している知人も、この期間にアップした写真の9割がたはお料理。グループチャットに投稿される写真や動画も、お料理が圧倒的多数を占めています。
スーパーで小麦粉が品薄だったのも、ピッツァやパン、パスタなど
普段はなかなか作れない手の込んだ料理を準備するため。
家族みなが家にいて、一緒に料理をし、美味しいものを食べる。これ以上の幸せがあるものか。
心塞ぐニュースを目にした後は特に、写真がこう訴えかけてきます。
イタリア人であることが誇り
アルマーニやプラダといったトップブランドが医療従事者用の防護服を作り、イタリア最大の自動車会社フィアット(FIAT)が人工呼吸器製造を支援。
北部に派遣される医療ボランティア500人の募集に4900人以上の応募が殺到しました。
このようなニュースを話題にする時、彼らの目にはイタリア人であることを誇りに思う、
前向きな気持ちがあふれ出ています。
こうした気持ちが優しさとなって、別の誰かへの親切に繋がっていくのでしょう。
今できることは今日を生きること
イタリア国内の状況はかなり改善し、収束に向かうわずかな光が見えてきました。そこで、安堵感から一致団結していたイタリア人に不協和音が出始め、
新たな現実の問題-今後のビジネスや経済面での不安に人々の関心が移っています。
しかし、この感染力の強いウイルスが消えたわけではなく、気を緩めた途端に再び拡大する可能性も。
経済力で劣る南部地域でパンデミックが起ったら、今回以上の惨事になりかねません。
今はまだ、皆の健康だけを願い、今日を生きる。
「Andrà tutto bene(全て上手くいくよ)」の言葉を祈りを込めて唱えながら
日々を過ごしていくしかないようです。
一歩ずつ一歩ずつ。これほどの苦境を乗り越えたイタリアなら上手くやれる。
そう強く信じて、私は今日も家に籠っています。
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