膨大なプラスチックごみで出来た「世界で7つ目の大陸」!汚染対策活動が進むヨーロッパと遅れを取る日本との大きな差
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膨大なプラスチックごみで出来た「世界で7つ目の大陸」!汚染対策活動が進むヨーロッパと遅れを取る日本との大きな差
私が「プラスチック汚染」のことを知ったのは、2010年頃からでした。
当時、フランスのメディアはプラスチックなどのゴミが集まり、まるで島のようになって海に浮かんでいる様子を「7つ目の大陸」だと取り上げ始めていました。
フランスでは、世界を「アジア、アフリカ、南北アメリカ、南極、ヨーロッパ、オセアニア」の6つの大陸があると学びます。
(日本では、ユーラシア、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、南極の6つに区分されていますね)
残念ながら、「7つ目の大陸」が、なんと ”プラスチックで汚染された大陸” であるとは、その当時、誰もがショックを受けたニュースでした。
1997年、ナビゲーターのチャールズ・ムーアが、プラスチックで出来た「7つ目の大陸」を偶然発見!
海流の流れの影響を受けて「7つ目の大陸」ができた場所
image : classe-internationale.2011
1997年、ナビゲーターでアメリカ人のチャールズ・ムーアは、ロサンゼルス―ホノルルのヨットレースに参加、その帰りに、日本とカリフォルニア間の太平洋北部に、プラスチックなどの廃棄物が集まった島「7つ目の大陸」を偶然に発見します。
彼は、その光景について、“来る日も来る日も、イルカもクジラも魚も見えず、プラスチックだけだった”と語っています。
日本とカリフォルニアの間の北太平洋は、日本から強い黒潮の暖流が流れ込む、亜熱帯の海流で、海流が時計回りに回転し無限の渦巻きを生み出しています。
何年もの間、亜熱帯の北太平洋の渦は、海岸や河川からプラスチック廃棄物を蓄積し、それを自転しながら引きずり、求心力によって徐々に「7つ目の大陸」を形成したのです。
この「7つ目の大陸」の面積は、すでに約340万キロ平方メートル、フランスの約6倍の広さがありました。
今まで発見する事ができなかった理由は、プラスチックの廃棄物は、半透明であるため、人工衛星で撮影した写真には写らなかったためです。
この「7つ目の大陸」の汚染された光景は、船の甲板からしか見ることができない光景で、”人工衛星で見ることのできない汚染” だったのです。
海洋プラスチック汚染に対する、数々のヨーロッパの科学ミッションと活動と普及
(現在、地球上の5カ所で「プラスチック汚染」が発見されています。)
image : Agence France-Presse
フランスの科学ミッション「第7大陸探検隊」の活動
2013年フランスは、ナビゲーターのパトリック・ディクソンヌ率いる「第7大陸探検隊」をフランスの科学ミッションとして、海中のプラスチック(浮遊物、粒子)の存在の調査、測定のために北太平洋へ遠征しました。パトリック・ディクソンヌ自身、2009年に、手漕ぎボートで大西洋を単独で横断した時に、大量のプラスチック汚染の漂流物の存在を目の当たりにしました。
その時から、「海流についてもっと知りたいと思いミッションを開始した。」と語っています。
その後、北太平洋だけでなく、南太平洋、北大西洋、南大西洋、インド洋の5カ所で同じ現象が見られることがわかっています。
現在も、これらの場所へ定期的に遠征し、調査、測定を続けています。
また、科学ミッションの報告講演、展示会を行いながら改善活動も行っています。
出典 : septiemecontinent
オランダの団体「The Ocean Cleanup」が主導する海のゴミ回収プロジェクト
image : hitek.fr
オランダの発明家ボヤン・スラットが2013年に設立した「The Ocean Cleanup」は、世界中の海からプラスチックなどのゴミを取り除くための自動回収システムを設計、開発しました。
現在、汚染された海は「プラスチック・スープ」状態で、汚染でできた「7つ目の大陸」は、プラスチック層の厚さが30メートルにもなります。
そこで、このオランダの団体「The Ocean Cleanup」は、汚染された「7つ目の大陸」のプラスチックなどの浮遊ゴミの半分を5年以内に回収することを目標に作業に取り組んでいます。
初期段階では、自動回収システムがうまく作動されず機能停止していましたが、2019年から再活動しています。
新しい設計によってパフォーマンスが改善され、大きなプラスチックゴミや、商業漁業で破棄された漁獲網に加え、大きさ1mmのマイクロプラスチックを捕らえるのに成功しています。
出典 : theoceancleanup
agnès b.(アニエスベー)のタラ・オセアン財団は、海洋プラスチック汚染の発生源を突き止める調査を開始
フランスの医師で探検家のジャン=ルイ・エティエンヌは、造船技術者リュック・ブヴェとオリヴィエ・プティの設計で、1989年に帆船を建造します。
当初「アンタークティカ」と命名されたこの帆船は、1996年まで地球上に存在する全ての海を航海した帆船です。
その後、いろいろな歴史をたどりながら持ち主が変わり、2003年、日本でも知られているフランス服のブランドagnès b.(アニエスベー)のデザイナーの息子、エティエンヌ・ブルゴワが船を買い取り、「タラ」と改名します。
それと同時に、環境汚染について啓発するためにタラ海洋探査プロジェクトを立ち上げます。
様々な探査活動を行う中、2010年より、海の至るところ存在するマイクロプラスチック(直径0.2mmから5mm未満のプラスチック破片)を収集し検査を始めました。
これらのプラスチックの小さな破片は、非常にゆっくりと分解され、それが食物連鎖に入り込み、海洋生態系や人間の健康を脅かす可能性があることが明らかにされたのです。
そこで、2019年より、科学分野のフランス国立科学研究センター(CNRS)などが参加し、タラ号で海洋プラスチック汚染の発生源を突き止めるため、河川の探査を開始しました。
タラ号の探査結果は、みんなに知ってもらう為に定期的に報告し、国連連合を通して情報普及する活動も行っています。
タラ号の探査の結果『プラスチックなどの海のごみ問題の解決策は陸上にある!』
出典 : 国連連合広告センター
海に散らばった大量のマイクロプラスチックを回収することは困難です。
しかし、今、この状況を解決しなければなりません。
その対策として、大陸から来る廃棄物の流れを止めることが重要になると言うのです。
最近の研究によると、海で見つかるプラスチック廃棄物(ゴミ)の80%は陸上で発生していることがわかっています。
そうなのです。
私たち一人一人が責任を持って気をつけていかなければならない問題なのです。
タラ · オセアン財団では、「プラスチック汚染」や「環境汚染」について、若い世代の意識を高めるために、教育を通して共有する活動を行っています。
日本語で定期的に新聞も発行しています。
★ダウンロードはこちらから↓
『こどもタラ新聞第3号』pdfファイル
ジョン=イヴ・デュオのイラストが描かれた第3号は、8~14歳の子どもたちが「プラスチック汚染」などの環境問題に取り組むタラ号の航海や船上での科学探査について学べる新聞です。
是非、読んでみて下さい。
(出典)
agnès b.タラ号
oceans.taraexpeditions
「プラスチック汚染」対策が進むフランスの取り組み
フランスの私の住む地区では、今まで、市から指定されたビニール袋でプラスチックや紙などのリサイクルできるゴミを出していました。(上記写真)
しかし、先日大きなリサイクル用のゴミ箱が市から無料で届き、4月から一戸建ての持ち主は、このゴミ箱を使用する事になります。
(学校、マンション、アパートなど、既にゴミ箱の使用が実施されています)
フランスでは、2016年から少しずつ、プラスチックの使用量を減らしてきました。
2017年には、買い物で使用されていた使い捨てビニール袋は、完全に廃止されています。
現在では、マイバックで買い物する事が当たり前になり、定着しています。
計り売りで買わなければならない野菜や果物など入れるビニール袋が店に置かれていますが、このビニール袋はバイオマスプラスチックから作られた袋です。
今まで使用していたビニール袋とは違い、とても柔らかく、薄いので、気をつけないと破れてしまいます。
汚染をなくすために、このトウモロコシやサツマイモなどから得られるデンプン原料を利用したポリ乳酸から作られるビニール袋を使用しています。
2020年~2021年からは、使い捨てのプラスチックの食器類、テイクアウト用の発泡スチロールの容器、ストロー、めん棒のプラスチックの軸やプラスチック製の風船の棒などが使用禁止製品の対象となります。
今後、2年間をめどに完全に使用禁止となります。
先日、いつものチョコレートスプレッドを買った時に気がついたのですが、瓶のプラスチックの蓋がメタルになっていました。
企業も、プラスチック汚染に協力していると実感しました。
タバコのフィルターはプラスチックで出来ており、タバコは有害物質を含むので、2025年までに50%、2030年までに80%削減になります。
このようにフランスでは、国をあげてプラスチック汚染対策を進めています。
出典 : economie.gouv.fr
日本に行って感じた「ゆるプラ汚染対策」の実行と現実
2019年に、久しぶりに日本へ行きました。
日本に入国して直ぐに、苺大福を買って食べた時の事です。
店員さんに「今、食べるから包まなくてもいいです。」と言ったのですが、苺大福一個を、大きな箱に詰め、手提げ袋に入れてくれたのです。
時差ボケで、強く断る気力もなく…その後、粉などが手に付かないように丁寧にビニールで包まれた苺大福は、アッと言う間にお腹の中へ、そして、手荷物が多かった為、箱と手提げ袋はゴミ箱へすぐに捨てました。
今思えば、これこそ、日本の文化である”過剰包装”だったのです。
その後、滞在中に、フランスとは違って「プラスチック汚染」対策が厳しく実施されていないことを痛感させられました。
日本では、罰金などを課される事もなく、規制が”ゆるい”と思いました。
この事が「プラスチック汚染」がなかなか改善されない現在の状況に繋がっているのではないでしょうか。
買い物で使用するビニールの袋は、完全には廃止されておらず、プラスチックのスプーンやフォークも頼めば、いくらでも無料で貰えました。
しかも、「マイクロプラスチックビーズ」については、”自主規制を要請”で禁止されていないのです !
なので、日本で製品化された、コスメや歯磨き粉にはスクラブビーズなどが含有されており、衛生用品や紙おむつなどの高吸水性樹脂を含む製品にも「マイクロプラスチックビーズ」が現在でも使用されているのです。
日本製品に信頼を寄せている消費者は、この事を知っているのでしょうか?
2018年「海洋プラスチック憲章」に署名しなかった日本
2018年、カナダで開催されたG7シャルルボワ・サミットでは、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダの5カ国とEUは、自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」に署名しました。
一方、日本と米国は署名しなかったのです。
ヨーロッパでは「プラスチック汚染」対策が進む中、日本国民の改善意識は薄く、浸透していないのが現実です。
この状態であれば、他国から指摘、非難されて当然です。
その上、日本は、プラスチック容器包装の廃棄量は、米国に次いで2位なのです。この事は、「プラスチック汚染」だけでなく、「地球温暖化」にも影響しています。
現在、「プラスチック汚染」で重要視されている、『マイクロプラスチックやナノプラスチックによる中毒』について、日々、研究が重ねられています。この事を、ご存知でしょうか?
プラスチックは環境中での経年変化に強いのですが、太陽光や酸化、海水中での擦り傷などの作用で劣化して小さくなってしまいます。
そして、5mm未満のマイクロプラスチックやナノプラスチックになります。これらのプラスチックの粒はスポンジのように働き、多くの毒素を固定します。
この毒素は、海洋生物が摂取し蓄積されるため、植物連鎖の関係で動物や人間の健康に影響を及ぼす可能性があるのです。
世界が健康である為にも、日本でも「プラスチック汚染」の取り組みを強化してもらいたいと、願うばかりです。
出典 : env.go.jp
脱プラスチックの進むフランスでも話題!日本伝統の風呂敷
日本は、風呂敷や箸、そして弁当箱という伝統の”エコ製品”を古くから使用しており、フランスから見るとあこがれの国です。
この日本のエコ製品がフランスでは、話題を呼んでいます。
昔の絵巻物や浮世絵でも、献上品を包んだり、行商が商品を包んだ風呂敷を背負って商いに出る姿など、様々な目的に合わせて風呂敷を使う姿を見ることができます。
風呂敷は、いろいろな物を包んで運ぶ事が出来る、丈夫で万能な”エコ製品”なのです。
また、風呂敷は袋になるので、プラスチック袋の代用になります。
用途に合わせて七変化する風呂敷は、おしゃれで、便利なアイテムとしてカバンに一枚入れておけば、いざと言う時に役立つお勧めな商品です。
★一点一点手間を惜しまず真摯に作り上げた、杉の木のお弁当箱 一段(大)
プラスチックごみは減らせる!日本政府の取り組み『3R』をご存知ですか?
『3R』とは、日本政府の取り組みで
「リデュース(Reduce)」
「リユース(Reuse)」
「リサイクル(Recycle)」
のことです。
「リデュース」とは、マイバックやマイ箸の持参によるレジ袋や使い捨て食器の削減すること。
「リユース」とは、詰め替えの使用によるボトルの再利用と廃棄ボトルの削減など。
「リサイクル」とは、プラスチックを分別回収し原料として再利用を行う方法です。
具体的に、海洋プラスチックごみを減らすために私たちができる行動を10項目掲げています。
1. レジ袋をもらわなくていいようにマイバックを持参する
2. 小分けにするポリ袋の使用を控える
3. タンブラーなどマイボトルを持参し、プラスチック容器の使用を減らす
4. プラスチック製のスプーンやフォークをもらわず、マイ箸やマイスプーンなどを常備する
5. プラスチック製ストローの使用を控える
6. 繰り返し使える詰め替え用ボトルなどを購入する
7. ラップの使用を減らすためにも、タッパーやふた付きの容器などに食品を保存する。
8. レジャーや屋外などで出るごみは分別して、必ず持ち帰る
9. ごみが溜まりやすい河川敷や海岸などの清掃活動に参加する
10. ごみのポイ捨てや不法投棄はせず、所定の場所や時間に分別して捨てる
この「プラスチック汚染」は地球規模の問題なのです。
みんなさんに関心をもってもらい、私たちの健康のため、そして、将来のために、各自出来る事から実行しましょう。
また、”エコ製品”豊かな日本の伝統文化を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
(出典)
gooddo.jp
unic.or.jp
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