国内の約三倍の農地を海外に頼り、世界中の資源を消費する日本。9人に1人が栄養不足、1/3の食料が捨てられる深刻な食料事情。
秋は◯◯を食べるといい、体調が悪くなったら◯◯をするといい、◯◯をすると元気になる
本当に幸せな毎日だなぁと思います。
何でもある、何でも選べる。
家も、食事も、服も、仕事も、全部、選べる。
全部に、感謝もできるし、不満も漏らせる。
本当に有難いです。
こんな、日本にいたら当たり前とも言えることが、当たり前ではない国や地域もあります。
10月16日は「世界食料デー」です。
日本の現状と、世界の現状を知って、食べ物の食べ方を考え直してみませんか?
世界食料デーとは?
国連が制定した世界の食料問題を考える日です。1979年の第20回国連食糧農業機関(FAO)総会の決議に基づき、1981年から世界共通の日として制定されました。
世界の一人一人が協力しあい、最も重要な基本的人権である
「すべての人に食料を」
を現実のものにし、世界に広がる栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決していくことを目的としています。世界では9人に一人が栄養不足
世界で1年間に生産される穀物の量は25億トン。世界中のすべての人が十分に食べられるだけの食料は生産されています。
それにもかかわらず、国連食料農業機関(FAO)によると、
世界では7億9500万人、9人に一人が十分に食べられていません。
南アジアとサハラ以南のアフリカが特に深刻です。
1/3が捨てられる食料
冷蔵庫の奥で賞味期限が切れた食ベ物、外食先での食べ残し……。これだけ多くの人が飢えで苦しんでいる中、先進国を中心に
世界では生産された食料の1/3、毎年13億トンが破棄されています。
この量を半分に減らすだけで、世界中のすべての人に食事が行き渡るという報告もあります。
中でも、日本の食品廃棄料は1位2位を争う多さです。
年間の食料廃棄量 2797万トン
(2013年推計値 農林水産省(2016年))このなかには、食べ残しや賞味期限切れなど、
食べられたはずの食べ物「食品ロス」が632万トンも含まれています。
日本人一人当たりに換算すると、毎日おにぎり1コ分を捨てている計算になるそうです。
「ごはん粒を捨てるとアリに食われるよ。きれいに食べなさい。」
と言われていた時代は、もう遠い過去のようです。
食品ロスのうち、
事業者からが330万トン(規格代品、返品、売れ残し、食べ残し)
家庭からが 302万トン(食べ残し、過剰除去、直接破棄)
想像以上に、家庭からの破棄が多いと感じるのは私だけでしょうか?
In You 読者の方には「私はそんなことしない」と思う方も多いかもしれません。
でも、誰にでも1度や2度はあると思います。
もったいないと思いつつも、「食べ切れなくて」「おいしくないから」とムダにしてしまった経験。
美味しく食べられる部分も、大きくカットして調理していることも想定できます。
世界に頼る日本の食。食生活の変化がもたらした影。
世界最低水準の自給率4割
日本の食料自給率は39%(カロリーベース)で、61%の食料を海外から輸入しています。※ 農林水産省(2014年)
すでに周知されていますが、
便利な私たちの食生活は、もはや海外とつながらずには成り立たちません。
戦前の日本の食生活は、自給率の高い主食の米を中心とし、魚や野菜などのおかずが添えてある質素なスタイルでした。
1965年、食料自給率は73%(カロリーベース)。
しかし、戦後は食卓の欧米化、女性の社会進出、外食産業のめざましい成長などの影響が食生活に大きな変化をもたらし、食料自給率はどんどん低下していきました。
輸入の割合が高い肉や乳製品の常食、油製品の多用化、便利なパンや冷凍・加工食品の消費の増加、コストダウンのための海外生産、、、。
食べ物をムダにする仕組み
また、事業者の食品ロスも私たち消費者が関係しています。
私たちが、見た目のよさや安さを求めるから、容器にへこみがある商品などは、事業者が処分します。
運搬にムダが出る不揃いなサイズの農産物などは事業者に売れないため、生産者が処分しています。
24時間いつでも買いたいというニーズに応じるため、はじめから廃棄を想定したうえで、大量仕入れや生産がされている場合もあります。
他にも、次々と発売される新商品や季節限定商品によって、古い商品が撤去・処分されていきます。
このように、ほとんどの人にとって食べられることが当たり前の日本では、
「お腹がすいた」という食欲以外の欲求によって、
食べ物が扱われ、ムダになっているのです。
国内の2.6倍の農地を海外に頼り、世界中の資源を消費する日本。
日本が海外に頼っているのは、食べ物だけではありません。
農業や畜産には、土地や水が大量に必要になるため、私たちはそれらの資源も海外に頼っていることになります。
食べ物を捨てるということは貴重な資源もムダにすることになります。
第一に、「土地」です。
日本が輸入している農産物を生産するために必要な海外の農地面積を試算すると、
約1245万ヘクタールになるそうです。
日本国内の田畑の面積は、合わせると約465万ヘクタールです。
2倍以上もの土地が海外で使われていることになります。
その内訳は、穀物や家畜のエサがほとんどです。
※ 農林水産省「食料需給表」、「耕地及び作付面積統計」、財務省「貿易統計」、FAO「FAOSTAT」等をもとに農林水産省が試算(2007年)
牛ステーキ1人前=お風呂20杯の水!?
次に「水」です。
世界で使われている水の約7割が農業に使われています。
特に、穀物の生産にはたくさんの水が必要です。
そして、
穀物は主食としてだけではなく、家畜や魚を育てるためのエサとしても大量に消費されています。
たとえば、私たちが200gの牛ステーキを食べる場合、
その牛肉のために必要なエサ(穀物)の生産には、約4000L=風呂約20杯分もの水が使われるという研究結果があります。
日本で消費されている家畜のエサ(穀物)は、そのほとんどが輸入です。
私たちの食生活は、海外の貴重な資源によって成り立っています。一人ひとりの行動が変える食の未来
約8億人が飢えに喘ぐ一方で、8億人以上が肥満など食に起因する生活習慣病に苦しんでいます。
いま、私たちの毎日の生活は、国境を越えて世界の食料問題そして、健康問題、環境問題にも影響を与えています。もし、私たちが、輸入を一切やめて、
「国産のものだけで食べていこう!」
と決めたら、日本に輸出していた国では生きられる人が増え、日本では、肥満や糖尿病が減るかもしれません。
もし、私たちが、輸入飼料をやめて、
「国内で生産できるだけの飼料だけで畜産業や漁業を賄おう!」
と決めたら、海外で飼料を育てていた子供が学校に行くようになり、日本では、農を楽しむ人が増えるかもしれません。。
もし、私たちが、
「24時間買うことを望まない!」
と決めたら、過剰生産が減り、保存料や消毒などの添加物も減り、丁寧に生産される食べ物が増えるかもしれません。
もし、私たちが、、、、考え出したらきりがありません。
日本では、私たち消費者が安心・安全な食を求めたことで、産地の表示が当たり前になり、生産者の顔が見える商品が多く並ぶようになってきました。
私たちが、世界中のすべての人が安心した食生活を送れるような食のあり方を考え、
消費を変えていけば、食料の現場も変わっていくはずです。
いまできること。その第一歩が世界を変える。
世界の食料問題と日本の健康問題のためにできることの中には、
共通点がたくさんあります。
・食べる量を食べられる分に減らす。
・食べきれる量だけ買い、食べ残しをしない。
・賞味期限を正しく理解し、万が一期限が切れても、五感で食べられるかどうかを判断する。
・できるだけ地元の食材を選ぶ。
・機会があれば、農家さんに直接買いに行き、形の不揃いなものをいただく。
・主食には、多くを輸入に頼る小麦製品でなく、米を中心にした和食中心の食生活にする。
・皮もまるごといただく、マクロビオティックの料理法を学ぶ。
・肉を食べる量を減らす。
・外食では、輸入食材ではなく、出来る限り国産のものを使用しているところを選ぶ。
・保存料の入ったものの購入を控える。
・輸入飼料に頼りがちな肉食や養殖魚の消費を控える。
私たちの食、そして世界の食の未来を左右するのは、一人ひとりの行動です。
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