「オーガニック」は一体、誰のためのもの? 日本人が知らない、真のオーガニックの4原則とは
「オーガニック」は一体、誰のためのもの?
日本人が知らない、真のオーガニックの4原則とは
オーガニックと聞いて、あなたは何をイメージしますか?・安心安全だが価格が高い
・残留農薬の心配がなく健康にいい
・オシャレ、ナチュラルでかっこいい
・オーガニックシャンプーやオーガニックコットン
思い浮かぶものは、人それぞれですよね。これらは、みんな正解です。・残留農薬の心配がなく健康にいい
・オシャレ、ナチュラルでかっこいい
・オーガニックシャンプーやオーガニックコットン
ただ、これらはオーガニックのほんの一部分にしか過ぎません。
この記事を読んでくれるあなたは、他の方よりオーガニックリテラシーが高い方だと思います。
そんなあなたに、もう一歩進んだ、広い意味でのオーガニックを知って欲しいと思い、
この記事を書いています。
多くの日本人が勘違いしている「オーガニック」について、
5分間でもっと詳しくなってみませんか。
日本の「オーガニック」は自己中心的!?
結論から言えば、日本人のオーガニックは、ある意味で自己中心的なものだと言えるかもしれません。
なぜなら、その主な主役が「私」や「私の家族」だからです。
そもそもオーガニックとは? 色々あるオーガニック製品
・意味は同じ「オーガニック=有機=ビオ」
まずは、オーガニックについて、簡単に解説しますね。日本では、「オーガニック」=「有機」として使われます。
つまり、オーガニック野菜と有機野菜は同じ意味ですね。
また、ヨーロッパでは、オーガニックのことを「ビオ」と言います。
ちなみに、東京を中心に出店しているオーガニックスーパー
「ビオ・セボン」のビオとはオーガニックや有機という意味です。
ちょっとした豆知識です。
・農産物に限らないオーガニック製品
オーガニック製品と言っても、実に様々な製品があります。有名なものが有機農産物。
つまり、お野菜やお米等ですね。
農薬や化学肥料を使わない安全な農産物であることは、
意識の高いあなたなら既にご存知でしょう。
さらに、その有機農産物を主原料として作られた、
お茶やコーヒー、ケチャップ等の有機加工食品もあります。
他にも、お肉や卵などの有機畜産物があります。
これは、タイムリーな話題で、2020年7月に日本でも有機畜産物の認証制度が開始され、
スーパー等にも日本国のオーガニック基準をクリアしたお肉や卵が並ぶようになりました。
参考:農林水産省 有機畜産食品パンフレット
食品以外にも、化学物質を使用せず環境にも配慮したオーガニックコットンもありますね。
最近では、化粧品やペットフードにまでオーガニック製品が誕生しています。
「私」が主役のオーガニックは真のオーガニックとは言えない!?
ここからが、本記事の本題です。以下の質問に対する答えをちょっぴり考えてみて下さい。
恐らく、多くの日本人が、冒頭にあげたイメージだと思います。
例えば、有機野菜の宅配セットを頼んでいる方がいるとしましょう。
恐らくこの方が、有機野菜の宅配を頼む一番の理由は、
「自分と家族にとって、身体にいいお野菜を食べたい」なのではないでしょうか。
オーガニックコーヒーを飲む理由、
オーガニックコットンを購入する理由なども同じで、
「私が」健康になるために、「私が」輝くために、
「私が」心地よくなるために、「私が」満足するために、、、、
全て主役が「私」や「私の家族」ですよね。
これ、オーガニックの本質ではない、と私は考えています。
知っておこう!
本物のオーガニックの4つの原則とは
それでは、何がオーガニックの本質なのでしょう?
オーガニック関係者の多くが加盟している、
国際的な団体にIFOAM(国際有機農業運動連盟)があります。
IFOAMはオーガニックの原則として
「健康の原理」、「生態的原理」、「公正の原理」、「配慮の原理」
の4つを掲げています。
以下、具体例を交えて見ていきましょう。
ちなみに、この記事を書いている私は、有機JAS認証農家であり、
オーガニックレストランの経営者でもあります。
私の経験も織り交ぜながら、分かりやすく具体的に解説していきますね。
原則1:「健康の原理」について考える
IFOAMが掲げる健康とは、人間の健康だけではありません。
人間の健康は、最終的なゴールであってそのゴールにたどり着くためには、
✔作物を作る土が健康でなくてはなりません
✔お肉や卵になる家畜が健康でなくてはなりません
もっと具体的にお話しします。
私は有機JAS認証農家であるため、農薬や化学肥料は使用しません。
理由は、お客様の健康が一番ですが、
農薬や化学肥料を使うことによって、土壌微生物や、
その他の昆虫や鳥にまでダメージ(影響)を与えてしまうからです。
農薬や化学肥料は、これらの生き物を不健康にします。
つまり、オーガニック(有機)野菜は、
生産環境を含めた生態系全体が健康であることが重要です。
お肉や卵でも同じです。
放牧などで、ストレスなく伸び伸びと飼育された家畜は健康です。
残念ですが、日本のお肉や卵は、オーガニックとは言えない環境で生産されています。
この記事では割愛しますが、ご自身で「日本 アニマルウェルフェア」と
とインターネットの検索窓に打ち込んで調べて見てください。
きっと、あなたが知らない日本の畜産の現実を知るはずです。
要するに、あなたが「オーガニック食品を選ぶ」という行為は、
その原料となる農産物や家畜、そしてそれを取り巻く全ての動植物や環境も健康であることを支持する
ということです。
原則2:「生態的原理」について考える
IFOAMが掲げる生態的原理とは、上記の「健康」とも密接に関係しています。
つまり、健全な生態系の中から良質な農畜産物が生産されるためには、
生態系のバランスが重要であるという考えです。
例えば、有機JASでは、JAS規格第2条で「有機農産物の生産の原理」が定められていて、
その目的は以下のように書かれています。
・農業の自然循環機能の維持増進を図る
引用:有機農産物の日本農林規格 第2条
ちょっと難しいですよね。もっと簡単に言っちゃえば、
ということです。
例えば、農家が農薬を使うとどうなるでしょう?
ターゲットとなる害虫は防除できますが、関係ない他の虫も殺してしまいます。
そうすると、その害虫を食べていたカエルやトカゲがいなくなります。
カエルやトカゲを食べていた、蛇や鳥もいなくなります。
このように、農家が農薬を散布するだけで、
農業に関係する生態系バランスは簡単に破壊されます。
このような理由で、オーガニックでは農薬や化学肥料が禁止されています。
決して、人間の健康のためだけでなく、生態系を守るためでもあるのです。
原則3:「公正の原理」について考える
IFOAMが掲げる「公正」とは、農業者(生産者)、労働者、流通業者、販売者、
そして私たち消費者がみんな公正であることを意味しています。
あなたは、海外から輸入されてくる農産物や加工食品が、
劣悪な環境下で労働させられ搾取された物であることを知っていますか?
例えば、チョコレート問題が有名ですよね。
小学校にも行けない貧しい家庭の子供達が、
チョコレートの原料となるカカオ農園で強制労働を強いられています。
私たち日本人が食べている激安チョコレートの多くは、
児童搾取の結果、生産されたものです。
これは、オーガニックが望む姿ではありません。
なので、もしあなたがフェアトレードや正規のオーガニックチョコレートを選べば、
搾取をせずに公正に流れた農産物や加工食品を支持したことになるのです。
私は飲食店を経営しているのでオーガニックのコーヒー豆を仕入れるのですが、
これも同じ理由からです。
コーヒー豆も森林破壊による生態系の崩壊や、不公平な取引、農薬の多用など問題が多い食品です。
確かに、激安コーヒー豆を購入して、お客様に提供すれば利益は上がります。
でも、そのような粗悪な豆を仕入れて得られた利益は正しいのでしょうか?
現地の労働者を搾取して、安いコーヒー豆を使う自分が正しいとは思えません。
このように、オーガニック製品を選ぶということは、
単に、健康にいいだけでなく、誰も搾取しない公正な取引に一票を入れるということです。
オーガニックは、全てが幸せである必要があるのです。
原則4:「配慮の原理」について考える
IFOAMが掲げる「配慮」とは、
「今だけでなく次世代も見据えた未来の健康や環境にも配慮しよう」という意味です。
ちょっと漠然としていますね。もう少し深掘りします。
オーガニックでは遺伝子組み換えを排除しています。
例えば、遺伝子組み換えを使用した種や肥料の原料などを使うことの禁止です。
なぜなら、遺伝子組み換え技術は予測不能であって、
今はよくても次世代に大きな禍根を残す恐れがあるからです。
「次世代への大きな禍根」とは、人間への健康への影響は勿論、
遺伝組み換え作物や動物による生態系への影響も含まれています。
不確定な最新技術に飛びつかず、昔から引き継がれてきた確かな技術を大切に残し、
自分の子供達の未来を思いやる。
これが、オーガニックの「配慮」の本質です。
実は繋がっている、オーガニックとエシカル消費
芸能人の影響もあり、最近ではエシカル消費という言葉が日本でも大分定着してきました。
食のリテラシーが高いあなたであればご存知だと思いますが、
「倫理的な消費」という意味ですね。
あなたが手に取る製品はどこで、だれが、どのような環境で作り、どのように運ばれてきて、
今あなたの目の前にあるのか?
ただ、価格や機能性だけに目を向けるのではなく、
この辺りをしっかり考えるのがエシカル消費です。
ここまで読み進めてくれた、勘のいい方ならもうお分かりだと思います。
エシカル消費で私たちができることは、オーガニック製品を買うことです。
難しく考える必要はありません。
「健康の原理」、「生態的原理」、「公正の原理」、「配慮の原理」の4つが掲げられた
正規のオーガニック製品の購入と、エシカル消費は同じ意味を持つのです。
私は、ファッション感覚のエシカル消費から始めてもいいと思います。
でも、オーガニックの深い意味まで知ると、あなたの生活や考え方、
そして地球全体は、確実に変わります。
オーガニックとは地球の問題を解決する手段
結局、オーガニックとは、「地球の問題を解決する手段」だと私は思っています。
貧困や環境破壊、食料不足の問題など、今、地球上で起きている問題の多くは、
オーガニックの4原則と密接に関係しているとは思いませんか?
つまり、私たちがオーガニック製品を購入することは、
地球で起きている諸問題を解決するために行動するのと同じ意味を持つのです。
私たちの小さな消費活動の積み重ねが、現在と未来の地球に明るい未来に繋がる。
オーガニックはあなたが思っている以上に、とても素晴らしいものだと思いませんか?
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