雨の日は学校や会社に行きたくない理由｜低気圧時に心身の体調不良を改善する方法９つ

ツイッターをのぞき込むと、まだ若い10代、20代の人たちが、
学校や仕事に行きたくないという声が生じていることがあります。

それは雨の日であることが多いです。

秋は雨の多い時期が続きますが、
その時期に自殺や、事故などが増える危険性も気象病に潜んでいます。
天候変化を感じない人から見ると、覇気がないただの怠けだと言われそうですが、
実は深刻な変化が体の中で起きていることがあるのです。

どういった対処をしたらよいのか見ていきましょう。

気象によるストレスは心に大きな影響を及ぼす

ストレスは実は体の問題でもある

私が住んでいる神奈川県での平成29年度の不登校児童、生徒数は
公立の小中学校で11,710 人、高校で2,437 人 となっています。

その中でも、体の不調を訴える生徒児童も多いのですが、受診に繋がらないのが現実です。
皆様、ストレスというと、精神的なものだと思いますか？身体的なものだと思いますか？

よく具合が悪くなるのはお前のメンタルが弱いから、
休むなんてずるいという人がいますが、それは暴論です。

ストレスという言葉には、本来は、外的変化、気温、降水量、気圧なども含まれます。
もともとは、セリエという生理学者が唱えたもので、
怪我や寒冷、不和など自分の存在を脅かす外圧すべてを示します。

外側からやってくるものなので、自分ではどうにもならないことが多いです。

天候が崩れると、変化に敏感な人は
大きく体調を崩す「気象病」と呼ばれる症状が出ることがあります。
この反応は精神論だけでなんとかなるものではありません。

もし、自分やお子さんや身近な方が天候が悪化するたび、なぜ具合が悪くなるのと責めている方は
「体を維持して守るための反応」だということを認識しながら今回のお話を読んでください。

私も悪天と調子の悪化が連動する口ですが、不調を我慢していた経験があります。
「学校には行くものだ」とかなり無理に学校生活を送っていました。

結果、頭痛が増悪して検査を沢山受ける羽目になりました。
我慢で治る病気ではありませんでしたね。

不調が要因の欠席や遅刻を問い詰めても、本人はただ苦しむだけです。
生活や体質を抜本的に変えないと解決しない問題なのです。

気象ストレスとうつ

天候によって悪化しやすい病気に
神経性の疼痛、頭痛、気管支喘息、めまい、心疾患等が挙げられています。
不調を感じる人は慢性病の人、普通に生活している人を含めて約7割という統計もあります。

体の不調だけが顕在化するわけではなく、うつ病（気分障害）も気象の影響を受けやすい病気です。
うつ病の人は脳の神経伝達物質、セロトニンが出にくい状態になっていますが、
自律神経が気圧変化等で影響を受けることで心身共に状態が悪化します。
ラットを使った実験でその相関性が実証されています。

季節性感情障害という太陽光量の変化などによって起きるうつがあります。
夏場のうつは
・やせる
・なかなか眠れない
等の症状が出やすくなります。
夏バテと勘違いする人が多くうつ病という診断が遅れてしまいがちな疾患の一つです。

痛みによる恐怖の悪循環？

うつ病のなかには、頭痛や腹痛を伴うものが多いです。
逆に痛みがストレスになって、うつ病になることもあります。
うつ病患者の6割が、何らかの痛みを訴えるという統計もあり、天候によってそれが増悪します。

１　痛い

２　うつ状態、神経症になる

３　動くことが出来ない（治療に行く気力もなくなる）

４　痛みが悪化する

という最悪のモデルが形成されてしまうことも気候による不調の問題点です。
心と体が連動しているという考え方を心身相関といいます。

実際に、坐骨神経痛の中には、抗うつ剤が有効な心因性の疼痛があると研究で分かっています。

雷恐怖症？

26歳で第２子を出産した頃より次第に雷が恐くなりはじめた。
５年程前（３８歳頃）から雷に対する恐怖が非常に強くなり，雷鳴を聞くと家の雨戸を閉め，
耳栓をしたうえで消音用のヘッドフォンを装着し，布団を被って雷が過ぎ去るのを我慢するようになった．

また，一日に何度もテレビの天気予報で天候を確認し，
「大気が不安定」，「寒冷前線」，「低気圧」等の言葉に雷を連想して不安を感じ，
「大気が安定している」という言葉を聞くと安心するという．

雨が降りそうな日や，晴れていても午後は，天候の変化を恐れて外出が困難である．
子供が大きくなって自分一人で家にいる時間が増えたため，
ここ数年で雷に対する恐怖は年々増加し，雷のことが一日中頭から離れず，
日常生活が非常に阻害されていた。

「雷恐怖症の1症例」

これは雷恐怖というパニック障害に付随する恐怖症の症例です。
この事例の方がどういう原因で雷恐怖症になったかは分かりませんが、
天候による不調を気にしすぎると、一種の強迫性障害のようになることがあります。

恐怖症までいかなくとも、台風の画像を見ただけで、
不調を起こした時のことを思い出して憂鬱になる人もいます。

初期に症状を和らげてストレスが軽減すれば、神経症やうつ病に移行しにくくなります。

気象病を抱える子供はこんな不調と戦っている

学校に行きたがらない子供に隠れた起立性調節障害

朝起きられない、起きてもぼんやりして顔色が悪い、朝食をとらないなど子供のことで気がかりな変化は多くあります。
学力不振や、不登校等大きな問題につながることもあります。

起立性調節障害、これが不登校の陰によく隠れている疾患です。
晴天時も起きますが、天候が変化するときに自律神経が影響を受けて悪化することがあります。

「たかだか、低血圧」と親御さんや学校の先生は思うようですが、
私も起立性低血圧という形で持っており、何度か失神しかけたことがあります。
学校生活で一番怖かったのは、午前中の体育でした。

次のような体の変化が起きるためで、ある時平均台から見事落下して頭を打ちました。

起立性低血圧の症状

・立ちくらみやめまいが頻発する
・動悸、息切れを動くと訴える
・寝起きが悪く午前中調子が悪い
・立っていると具合が悪くなって倒れることがある
・入浴中や嫌な事を聞いた時も具合が悪くなる
・顔色が青白い
・腹痛をしばしば訴える
・乗り物酔いしやすい

午前中具合が悪い、めまいがするという症状はうつとよく似ていますが、
検査ではっきりと違いが分かります。起立したり、座ったりしたとき血圧が異なります。

ご家族も血圧が低い方が多い場合は、内科か循環器内科、
ストレス兆候を示すときには心療内科、
神経内科などで血圧や血流量を見てもらって低血圧には血圧を保つ薬がありますので、
生活に支障が出る場合は処方してもらうと良いでしょう。

頭痛で暴れたくなる？

私が寝込むと家族は、折り畳み傘を鞄に入れます。
重度の偏頭痛をもっていて、雨の前になると、目の奥がちかちか光って頭の片側が痛むようになるからです。
血管が拡張することで起きる頭痛なので気圧変化によって発作が起きます。

・前兆として光の明滅が起きる
・発作時間は2，30分ほどのことが多い。
・片側だけが痛む（時に両側が痛むこともある）
・動くと悪化する
・どくどくと脈打つように痛む
・吐き気が出る、あるいは吐く
・光、音、匂いに敏感になる

私の場合、脳腫瘍を疑われるぐらい痛みが強かったです。

他に冷やすと改善することが多いのがこの頭痛の特徴です。
他に群発頭痛も雨の前に悪化しやすい頭痛です。

片頭痛ほど知られていない頭痛なので診断基準を示します。

A. B 〜 D をみたす発作が５回以上ある

B. 未治療で一側性の重度〜極めて重度の頭痛が，
眼窩部，眼窩上部または側頭部のいずれか１つ以上の部位に， 15 〜 180 分間持続する

C. 頭痛と同側に少なくとも以下の１項目を伴う
1. 結膜充血または流涙（あるいはその両方）
2. 鼻閉または鼻漏（あるいはその両方）
3. 眼瞼浮腫
4. 前頭部および顔面の発汗
5. 縮瞳または眼瞼下垂（あるいはその両方）
6. 落ち着きがない，あるいは興奮した様子

D. 発作頻度は１回 / ２日〜 ８回 / １日である

E. その他の疾患によらない

●サイドメモ :
○群発頭痛のサブタイプ
群発頭痛は，１ヵ月以上の寛解期をはさむ「反復性群発頭痛」と
寛解期がほとんどない「慢性群発頭痛」に分けられます．
患者の約 10-15 ％ は「慢性群発頭痛」とされております．

「日本頭痛学会」


この頭痛が厄介なのは、気質まで一時的に変わってしまうことです。
イライラしたりソワソワしたりして、切れやすく、暴れだす人もいます。

心の変調が体から引き起こされることはよくあります。
心身ともに状態を改善することが生活の質を維持するために必要です。


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不調を和らげたい人が知っておくべきこと

頭痛薬は逆効果？

雨の日、とにかく頭が痛くなり鎮痛剤を連用していたので、
自分は薬物依存になるんじゃないかと思ったことが数度あります。

アスピリン系の鎮痛剤は胃粘膜を損傷しますし、体が慣れて徐々に効かなくなっていきます。
薬剤性疼痛という痛みが出る副作用もありますので、どんなに痛くとも薬は決められた時間を守りましょう。

受診が先決

よく病院に行くのが嫌、薬を飲むのが嫌という人がいます。
精神科、心療内科の領域の病気となると特にそうです。

ただ、痛みや抑うつが激しく生活に支障が出るレベルならば、医師に対症療法をしてもらいましょう。
痛みがあると、食べられなくなります。まずは症状を落ち着かせてから対策を練りましょう。
精神科の薬も作用が穏やかな漢方もあります。

専門家のサポートを受けて生活を成立させよう

食事や生活改善は効果がありますが、状態がよくなるまで時間がかかります。
その間、学校生活や、仕事をいかに問題なく進めていくかが大きなテーマとなります。

学生さんは、学校医か保健教諭、学校カウンセラー
仕事をされている方は主治医、産業医を頼ると良いでしょう。

入学時に診断書などを提出しておけば無理をしないで済みます。
万が一倒れたり搬送されたりした時の処置ができる人が側にいるだけで、心理的負担が軽くなります。
症状のことは本人だけでなく、保健医が担任や強化担当に話した方がスムーズに対応してもらえます。

食事面で私が注意されたこと

かかりつけの薬局の薬剤師が、雨の日の不調がひどくならないように、自分でできる工夫を教えてくれました。

酒はやめるべし

血圧が低い人が酒を飲んでしまうと血管が広がってしまってさらに血圧が低くなります。
危ないから絶対にお酒は飲まないでくださいと薬剤師に言われました。

片頭痛の人も痛みが悪化する原因になります。
群発頭痛がある人は、発作時に飲んでしまうと確実に頭痛が起きるのでやめましょう。

水分を多くとる

頭痛やだるさと水分量は大きく関わります。
東洋医学では耳に関わる腎が水の流れを司りめまいなどと大きな関係があります。
低血圧症の人には、水分摂取法の指導がされます。

飲むときは温かいものか、常温のものを用意しましょう。
職場や学校に水筒を持っていくことが出来る場合は、
ボトルに利尿作用のないほうじ茶等を入れておきましょう。

カフェインが多い飲料は夜眠れなくなる要因になりますし、
利尿作用が強く脱水を引き起こす要因になります。
少量を午前中に取る分には問題ありませんが、持ち歩くものはノンカフェインの品にすることをおすすめします。

消化の良い食事にする

吐き気などを伴う天候不順が引き金になる不調を持つ人は、胃に負担をかけない方がよいです。
豆腐などを使ったスープがおすすめです。

栄養失調になると体調悪化が酷くなるので、満遍なく食事を取りましょう。
医師と相談してサプリメントを使っても良いです。

出来るだけ火を通したものを食べる

生の食材で酵素を摂るのは大切ですが、生野菜は体が冷えます。
夏場、冷えを伴ってだるさがある人は、
体を冷やすトマトやキュウリなど水分の多い野菜は生のまま食べすぎないようにしましょう。

ビタミンＢ群を多くとる

ビタミンＢ1：　疲れて不安感が増す　食欲がない
玄米、豚肉などに多く含まれる

ビタミンＢ２：　ストレスが多い時
納豆、卵などに多く含まれる


ビタミンＢ6：　イライラやだるさがあるとき
レバー、カツオ、マグロなどに多い

トリプトファンを摂る

神経伝達物質のセロトニンが頭痛やうつ病には大きく関わっています。
トリプトファンという物質が、このセロトニンの生成に役に立つのです。

ナッツ、乳製品、豆乳などに多く含まれます。

食事面の他に、遅い時間までゲームなど脳を興奮させることをしない、
寝すぎないことが血圧や気分を安定させることになります。
最低限、朝の決まった時間に水を一杯飲むことから改善を始めましょう。

天気のせいで学校や仕事に行けないなんてもったいない

高校生ぐらいから片頭痛が始まって、保健室で過ごすことが多かったので、少し青春時代を損した気がします。
親が教師をしておりますが、不登校の問題を解消せずに転校や退学をさせてしまうと教師はかなり後悔します。
理由が天候による不調ならば、徐々に改善していくことが出来ます。

社会人になると、頭痛がしようがうつになろうがしなければいけない生活というものが待っていますから、
ゆっくりであっても不調を解消しましょう。
はつらつと学んだり、働いたりできることが一番です。

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参考「日本頭痛学会」
「愛知薬剤師会」
「平成28年度 神奈川県児童・生徒の問題行動等調査〔確定値〕 調査結果」
「起立性低血圧　産業医科大学病院循環器内科河野 律子 荻ノ沢泰司 渡部 太一」
「天候変化と気分障害 – J-Stage」
「ストレス小論」