ティーバッグから検出される大量のマイクロプラスチック、悪影響はあるの?溶け始める前にじわじわ分子が壊れ始める「ガラス転移点」の脅威とは
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ティーバッグから検出される大量のマイクロプラスチック、悪影響はあるの?溶け始める前にじわじわ分子が壊れ始める「ガラス転移点」の脅威とは
紅茶を淹れる時におなじみのティーバッグ。
皆さんは、このティーバッグについてどんなイメージをお持ちでしょうか?
「すぐに紅茶を楽しめて便利」という方もいらっしゃれば「安全性が気になっている」という方も多いのではないでしょうか。
「熱湯に浸したティーバッグから大量のマイクロプラスチックが検出された」という最近の研究は衝撃的でしたよね。
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それからというもの、私は
「そもそもティーバッグはどんな素材が使われていて、どんな危険性が潜んでいるのか?」
「安心して飲む方法はないのか?」
と疑問を持つようになりました。
今回は研究データを元にしながら、ティーバッグの安全な素材はあるのかを解説いたします。
安全な素材を知りたい方、そして安心してお茶を飲みたい方が、正しい知識を元に選択できるきっかけとなれば幸いです。
衝撃!ティーバッグから大量のマイクロプラスチックが検出
まずは私がティーバッグの安全性を考えるようになった事実を、簡単にお伝えします。
カナダ・ケベック州にあるマギル大学の研究チームの論文によると、
プラスチック製のティーバッグを熱湯に浸したところ、
・約116億個のマイクロプラスチック(5m以下のサイズ)
・約31億個のナノプラスチック(1億分の1のサイズ)
・約31億個のナノプラスチック(1億分の1のサイズ)
が検出されたことが明らかになりました。
醸造温度(95°C)で単一のプラスチックティーバッグを浸すと、飲料の1つのカップに約116億個のマイクロプラスチックと31億個のナノプラスチックが放出されることを示しています。
ティーバッグのパッケージから放出されるナイロンおよびポリエチレンテレフタレート粒子のレベルは、他の食品で以前に報告されたプラスチックの負荷よりも数桁高くなっています。
最初の急性無脊椎動物毒性評価は、ティーバッグから放出された粒子のみへの曝露が用量依存的な行動および発達への影響を引き起こしたことを示しています。
引用:カナダ・ケベック州にあるマギル大学の研究チームの論文
上記の通り、マイクロプラスチックが大量に放出されただけでなく、
・他の食品よりもプラスチック粒子レベルが高い
・ミジンコに投与したところ、異常行動・身体への悪影響が見られた
ことが分かったということです。
人体への影響は定かではないのですが、少なからず生物に悪影響を与えたことは確かです。
もし影響がないにしても、私はプラスチック粒子を体内に取り込むことに少し抵抗を感じました。
この衝撃的な研究結果を知り「ティーバッグの安全性を考える必要がある」と、私を含めて多くの人が思ったことでしょう。
それでは、どんな素材が使われてどんな危険があるのかや、安全なティーバッグはあるのか、安心して飲む方法などを、チェックしていきましょう。
ティーバッグの一般的な素材とは?危険性は?
ティーバッグの製造で使われる素材は、以下のものが一般的です。
・ポリプロピレン
・ポリエステル
・ナイロン
・生分解性プラスチック
・不織布
・ポリエステル
・ナイロン
・生分解性プラスチック
・不織布
具体的にどんな成り立ちや性質、危険性があるのかを簡単にまとめました。
ポリプロピレン
成り立ち:炭素や水素からなるプラスチック。性質:水より軽い・薬品に強い・耐熱性がある。
危険性:胃の中でほとんど分解されず、食品や飲み物に使用しても安全なプラスチックと一般的には言われている。
しかし酸化しやすいので、ビスフェノールAなどの酸化防止剤や、その他熱や紫外線による劣化を防ぐために安定剤や、柔らかくするために可塑剤などが添加される場合あり。
参考:REXtac、国立医学図書館
ポリエステル
成り立ち:石油から作られる素材性質:耐久性に優れている。とても水に強く、濡れても乾きやすい特性。<
危険性:食品や飲み物に使用しても安全なプラスチックと一般的には言われている。
しかしポリプロピレンに比べると、微量が分解されて体内に吸収される可能性もある。
参考:i-Maker
ナイロン
成り立ち:主に石油を原料とする「ポリアミド」という合成樹脂から作られる。特製:摩擦に強く、耐薬品性に優れる。ポリエステルより吸水性が高く、繰り返し変形に強いので、強度が非常に高い。
危険性:食品や飲み物に使用しても安全なプラスチックと一般的には言われている。
海洋生物にナイロンを投与した研究では、脂質蓄積・早期脱皮を引き起こしたことから、毒性に影響を与える可能性もあるとした。
参考:ダンボールワン、研究データ
生分解性プラスチック
成り立ち:生物資源由来と石油由来の2種類がある。「生物資源由来(バイオマスプラスチック)」のものは、糖やデンプンの原料が多い。
ただし全てのバイオマス由来が生分解性をもつわけではない。(例:バイオPET)
「石油由来(石油合成プラスチック)」のものは、石油が原料。
特性:自然に分解されるもの(非酵素的に加水分解される)と、酵素によって分解されるものがある。
半永久的に分解されずに残る従来のプラスチックより自然環境への負荷が少ないとされている。
海洋では分解されない・原料によっては分解がされないなどの欠点あり。
危険性:日本バイオプラスチック協会は毒性の上限を定めているので、一般的に心配することはないと言われている。
参考:Wikipedea
不織布
成り立ち:名の通り「織っていない布」のこと。普通の布は、糸や繊維を織る。不織布は、繊維を化学処理や熱処理で絡ませ接着して作る。
特性:不織布は通気性・ろ過性・保温性がある。
原料の種類は、天然素材から化学繊維まで非常に豊富。
他の原料や製法の組み合わせによって布状・レザー状・綿状・紙状などいろいろな形状にできる。
危険性:原料によって安全性は異なる。
「ノーバインダー」と表記があれば比較的安全だが、用途により接着剤が使われるものもある。
参考:日本バイリーン、株式会社アサクラ
安全と言われるプラスチックはホントに安全?ほとんど知られることのない「ガラス転移点」
各素材の危険性に関しては、一般的には人体に影響はないとされています。
しかし本当はどうなのか。
まだまだ解明されていないことは多いので一概には言えませんが、「安全と一括りには言えない」という気がしているのは私だけでしょうか。
調べていくうちに、私が非常に気になったのは、
「ガラス転移点」
の存在です。
ガラス転移点とは、物質が実際に目に見えてドロドロと溶ける融点ではなく、目には見えないけど成分の分子が壊れ始める融点のこと。
ドロドロと溶ける前に、成分の分子が壊れるのが普通なので、「溶けないから安心だ」というのではなく「溶け始める前にじわじわと分子が溶け出している」ということになります。
【各素材のガラス転移点】
・ポリプロピレン 0度
・ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート) 69度
・ナイロン(ポリアミド)50度
・生分解性プラスチック 原料による。ポリ乳酸:60度付近、ポリブチレンアジペートテレフタレートなど:常温以下
・ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート) 69度
・ナイロン(ポリアミド)50度
・生分解性プラスチック 原料による。ポリ乳酸:60度付近、ポリブチレンアジペートテレフタレートなど:常温以下
参考:MiSuMi VONA、プラスチック材料の特性の理解、生分解性プラスチック
上記の結果をご覧になってどう思われますでしょうか?
個人的に思ったことは、
「ティーバッグに使われる各素材は、一般的には安全とは言われているが、安全性は確かではない」
ということです。
そしてどんな素材の物、たとえ生分解性プラスチックであっても、ティーバッグの使用はできる限り避けていきたいと思うようになりました。
では、どうやって安心して紅茶やお茶を飲めばいいのか。
そのアイデアを紹介していきます。
マイクロプラスチックを気にせず、安心して紅茶やお茶を楽しむ方法
1、ティーバッグやお茶パックを買うときは素材をチェック
「ティーバッグを使いたい」という方も多いと思います。
その場合、買い物時はできる限り「ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、不織布」と書かれているものは避けたいところです。
生分解性プラスチックも、石油由来のものや、完全な天然由来でないものは安全性が確かでない気がします。
最も良さそうなのは「オーガニックコットン」の素材のティーバッグ。
オーガニックコットンは、農薬や肥料の基準を守った認証機関に認められた農地で育てられたコットンのことです。
通常のコットンは、殺虫剤や農薬が使われているので、人体に影響が出ないと言われていても少々安心できません。
オーガニックコットン のティーバッグ は、ボール型やスクエア型が多い傾向で、世界的に有名な紅茶会社も取り入れ始めています。
2、量り売りで茶葉を買って、ガラス製のポットや急須で入れる
最もおすすめしたいのは、専門店で量り売りにて茶葉を購入し、ガラス製のポットや急須などで淹れることです。
自分で瓶などの容器を持参すれば、プラスチックを使わずに、ゴミも出ずに済むので一石二鳥。
できれば茶葉にもこだわって、オーガニックの茶葉を取り入れたいものです。
ポットや急須は、ガラス製やステンレス製にすればさらに安心できそう。
茶こし部分までガラス素材のポットは、茶葉がお湯と混ざり合う様子を見るのが楽しいですし、おしゃれですよね。
茶こし部分だけの、ティーバッグの代替アイテムもあります。
ステンレス製のものなら安心です。
3、すでにティーバッグがある場合は切って中身だけ取り出す
家にティーバッグ のストックがあるという方は、まずティーバッグの素材をチェックすることから始めてみましょう。
気になる素材が使われていたり、無表記ものだったりした場合は、ティーバッグを切って中身の茶葉だけ取り出して淹れると安心できそうです。
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4、自家製のお茶づくり
家庭菜園で育てたハーブや茶葉を使えば、農薬を使わず育てたのであれば安心です。
お茶であれば、ゴボウや玉ねぎ、ブロッコリーなどの野菜の皮からも作れます。
刻んだり煎ったり乾燥させたりと手間はかかりますが、手作りで淹れる一杯は格別。
お茶の木は自宅の庭でも育てることができるようなので、家庭菜園がお好きな方はトライしてみてはいかがでしょうか。
マイクロプラスチックの是非。どうしていくかは自分で決めていい
今回は「熱湯にティーバッグを浸すと、膨大なマイクロプラスチックが放出される」
というところから始まり、
「ティーバッグに使われる各素材は、一般的には安全だ」と言われる反面「安全性は確かではない」とも言えるのではないかと提案し、
手間はかかるけど「ティーバッグなしでも茶を楽しめる方法がある」ことで、解決できる道はあるのだということをお伝えしました。
ですが、紹介した情報を鑑み、どう感じてどう行動するかは自分次第。
「それでも便利さを求めたい」と思う方や「できるだけティーバッグ利用は避けたい」と思う方など色々とご意見はあるでしょう。
そしてそれでOK。
どんな選択をするかは、自分で選んでいいと思うのです。
逆に自分自身の意見にそむいて行動をしてストレスがたまっては、プラスチック分子よりももっと体に悪影響が出る気がしています。
ただ、今回お伝えしたティーバッグの素材については、現時点では大きな健康被害が起こるという確証がないにしても、ちりも積もれば山となる可能性もなきにしもあらず。
ぜひ1つの知恵として知っていただければ幸いです。
知識をふまえ、自分自身はどうしたいか。
その答えこそが気持ちよく安心して生活してゆくヒントとなるのではないでしょうか。
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