本場ヨーロッパで大注目される「ヴィーガンワイン」とは?|その素晴らしさや選び方をフランス在住ライターが伝授します!
本場ヨーロッパで大注目される
「ヴィーガンワイン」とは?
その素晴らしさや選び方を
フランス在住ライターが伝授します!
ボジョレー・ヌーヴォーが、2020年11月19日に解禁されましたね。ボジョレー・ヌーヴォーの解禁は、毎年11月の第3木曜日午前0時と定められています。
また、日本では、日付変更線の関係上、ボジョレーヌーボーの本場フランスよりも
8時間早く楽しむ事が出来ます。
ボジョレー・ヌーヴォーとは、フランス中部のローヌ県(ローヌ·アルプ)の一部と
ソーヌ·エ·ロワール県(ブルゴーニュ)の一部のボジョレー地区でその年に収穫された、
赤ワイン用のぶどうの品種「ガメ」という、ぶどうから造られる新酒ワインのことです。
この新酒ワインを祝って、「ボジョレー・ヌーヴォー解禁祭」が各世界で開かれますが、
そこで気になるのが、今年のボジョレー・ヌーヴォーの出来です。
本格的な果実の成熟はまだまだこれからなので、品質については断言できませんが、
去年の冬は穏やかで春は温かかったため、ブドウの芽吹きが早く、フランス各地で早めの収穫となりました。
例年同様、十分な生産時間を確保できたため、ワインの品質は保証できると言われています。
現時点では、美味しいワインがいただけそうです。
ワインと言えば、「オーガニック ワイン」、「ビオディナミワイン」や「自然派 ワイン」など、
製造方法にこだわった様々なワインを簡単に購入できます。
ところで皆さんの、そんなこだわりワインのひとつ、「ヴィーガンワイン」って聞いたこと、ありますか?
そしてフランスのワイン市場で今注目されているのが、この「ヴィーガンワイン」なのです。
「ヴィーガンワイン」とは?
最近、ヴィーガンと言う言葉をよく聞きます。
ヴィーガンは今、世界的なトレンドワードなのです。
ヴィーガンの定義は、
『動物に苦みを与えることへの嫌悪から、動物の肉(鳥肉・魚肉・その他の魚介類)と卵・乳製品を食べず、
また動物製品(皮製品・シルク・ウール・羊毛油・ゼラチンなど)を身につけたりしない人たち』。
なので、「ヴィーガンワイン」とは、動物性の成分を一切使用していないワインで、
「ヴィーガンワイン」は、100%植物性の成分で作られています。
出典 : certification-vegan
出典 : 認定NPO 法人日本ベジタリアン協会
「ヴィーガンワイン」は、どのように作られるの?
ワイン醸造の最終段階では、赤ワインの成分であるタンニンやポリフェノール、
たんぱく質などが熟成中に結合して澱(おり)となって沈殿します。
そこで、自然沈殿しない微量な浮遊固形物を取り出し、濁りを除いて透明度の高いワインにする、
「清澄(せいちょう)」化作業をしなければなりません。
澱を吸着させ、取り除くための清澄(せいちょう)剤として一般のワインは、
動物性のゼラチンや卵白、魚の糊、牛乳から抽出されるカゼインなどで沈殿した澱を取り除いています。
一方のヴィーガンワインでは、これらの動物性の原料の代替として、
鉱物性の粘土ベントナイト(天然粘土)、植物性のエンドウ豆の粉、ジャガイモの粉などを使用したり、
または、あえて無清澄で出荷されたものが、「ヴィーガンワイン」となるのです。
とはいえ「ヴィーガンワイン」の味わいは誰もが楽しめるもので、
そうでないワインと比べて味や匂いの違いはありません。
出典 : wikipedia Collage (boisson)
かつて、通常のワインの清澄化には
牛の血液が使用されていた
前項で少しご紹介したように「ヴィーガンワイン」以外のワインの醸造には、動物性の原料が使用されています。
フランスでは以前、清澄化の段階で牛の血液の粉末を使用することが許されていました。
桶の底に沈殿する澱と凝集し、ワインの不純物をとりのぞき、
ワインをより透明感のある明るい仕上がりにする効果があるからです。
しかし、狂牛病(牛海綿状脳症)の影響により、1997年12月2日以降、
欧州連合(EU)でこの習慣は廃止されています。
そこで現在は、動物性の原料はワインを清澄化するために
卵白、魚の糊、カゼインやゼラチンなどが使用されています。
その後、通常の生産者は、浮遊粒子(酵母、バクテリアなど)の痕跡を濾過しますが、
「オーガニック ワイン」の生産者の多くは濾過を行わないため、
見た目には輝きが少なく、濁って見えるようなワインもあります。
また、濾過を行わないと、香りが強く(ビオ臭)、特徴的な味わいのワインが出来上がります。
通常のワインはアレルギーを引き起こすことも
食物アレルギーの中で最も多いものは卵アレル ギーで、次いで牛乳アレルギーです。
両方とも、6歳くら いまでのお子さんに多く、
年齢が上がるにつれて抵抗性を獲得して少なくなります。
通常のワインは清澄化の工程で卵白やカゼイン(牛乳に含まれるタンパク質のひとつ)を使用することから
卵、牛乳アレルギーを引き起こす可能性があるため、そのリスクを少しでも防ぐことは、
生産者して大切なことです。
そのため、欧州の規則では、生産者がアレルギーの成分を系統的に検索し、
表示を行うことが求められています。
その結果、2012年6月以降、ワインは小麦、卵、乳由来の成分、
つまりアレルギーを引き起こす可能性があると考えられる成分の容量が表示されるようになりました。
ちなみに、現在ワイン生産で使用されているそれらの容量は非常に低く、
カゼインでは5g/hl、卵白では10~20g程度です。
さらに、ワインの保存は非常に難しいため、酸化やバクテリアの発生を防ぐ為に
亜硫酸塩が使用されています。
この亜硫酸塩は、重症のアレルギー患者には大敵といわれています。
人によっては、亜硫酸塩を使用したワインを飲むと頭痛の症状がでる人もいるくらいです。
ワインに使用できる亜硫酸塩の量は350ppm以下となっています。
(0.35g/kg 以下、350mg/L 以下とも表記されています)
そこで最近、「オーガニック ワイン」の中でも、亜硫酸塩を添加していないワインが販売されていますので、
心配な方は、購入の際に必ず表示を見てアレルギー成分の容量を確認しましょう。
出典 : france-info
出典 : 薬局新聞
「ヴィーガンワイン」と「オーガニックワイン」の違いは?
「ヴィーガンワイン」と「オーガニック ワイン」は、
どちらも環境に配慮して生産されているという共通点はありますが、全くの別物です。
「オーガニックワイン」が、その製造過程で農薬や化学肥料を使用していないワインのことですので
「オーガニック ワイン」はオーガニック由来の成分であれば、動物性の原料を使用してよいことになります。
「オーガニック ワイン」の醸造に関しては、 フランス伝統的な手法で製造され、
ぶどうの果皮や醸造所に自生する酵母(自生酵母・土着酵母)でアルコール発酵をおこない、
亜硫酸塩の使用を最小限に押さえて生産されています。
一方の「ヴィーガンワイン」は、全ての製造過程において植物性成分で製造されていますが、
それらの植物性成分の製造に農薬や化学肥料を使用しない規定はないため、
「オーガニック ワイン」であるとは限りません。
つまり「ヴィーガンワイン」=「オーガニックワイン」では必ずしもないのですが、
「ヴィーガンワイン」と「オーガニックワイン」双方の条件を満たしたワインはもちろん存在します。
そこで私は、「ヴィーガンワイン」を購入する場合、
ヴィーガン、オーガニック、亜鉛酸塩無添加の3のラベルが付いているワインを購入しています。
さらにここで気をつけたいことは、「ビオディナミ・ワイン」です。
このワインは、ブドウ畑に牛の堆肥を使用したり、馬で畑を耕したりと動物と一緒にブドウ造りを行っています。
そして、ブドウの生育期以外は、畑に動物を放し飼いにして自然なサイクルを生み出している製法なので、
「ヴィーガンワイン」ではありません。
さらに注意しなければならないのは、「ヴィーガンワイン」は、市場にあまり出回っていないため、
販売者の知識不足により、ただ単に亜硫酸塩を添加していないワインを「ヴィーガンワイン」として
売っている店があるのです !
(このワインは、清澄化の過程で動物性の成分が使われている可能性があります)
繰り返しお伝えしますが、必ず、ラベルを確認しましょう。
ラベルを見分けられれば、あなたはワイン購入の上級者!
「ヴィーガンワイン」のラベル一覧ラベルについて、生産者は、異なるラベルを商品に合わせて選択することができます。
このラベルはワインに動物性の成分が含まれていないことを保証するだけでなく、
生産や醸造のすべての段階で動物性の成分が含まれていないことを保証しています。
下の2種類のラベル、イタリアの「クオリタ・ベジタリアナ(Qualità Vegetariana)」は、
ラベルの糊付けに至るまで、動物性由来の原料を一切使用していません。
また以下の、ヨーロッパ認証マーク「E.V.E ヴィーガン(eve VEGAN)」は、
ワインを100%植物由来の製品であることを証明するラベルとして2017年に登場しました。
今後、「ヴィーガンワイン」愛好者が欧州全体、そして増えていくことへの貢献が期待されるラベルです。
出典 : vinibee.com
フランスではいつ、「ヴィーガンワイン」は生産され始めたのか?
最初のヴィーガンワインは、
1953年に設立された協同組合 「Les vignerons de Buzet レ·ビニューロン·ド·ブュゼ」が
2017年に発売した”ヴィーガン”のロゴが入ったワインです。
実は、「ヴィーガンワイン」はフランスにおいて、まだ歴史がとても浅いワインなのです。
同協同組合のワイン生産者達は、2016年から全てのワインにおいて
「ヴィーガンワイン」を生産そのものは行なっています。しかし、それだけではありません。
組合員のワインのラベルを見ると、「AB(有機農法)」、環境保護「H.V.E」や「亜硫酸塩無添加」など、
一本のワインにたくさんの素晴らしいラベルが貼られています。
認証ラベル「Haute Valeur Environnementale(H.V.E)」
このワイン認証ラベルを取得出来ると言うことは、
環境(空気、気候、水、土壌、景観、生物多様性(ミツバチなど))を尊重しながら農作業を行い、
生産されているワインということなのです。
亜硫酸塩無添加のラベル
出典 : les vignerons de buzet(協同組合)
出典 : Buzet rouge 2019
レベルアップを続ける「ヴィーガンワイン」
1944年、イギリスにおいてヴィーガン協会が発足して以来、
ヨーロッパでは、ヴィーガン的なライフスタイルが少しずつ浸透していきました。
その後、2010年に欧州議会は、ヴィーガン向けの食品ラベルのための指針を採択し、
2015年から関連する法律が発効しています。
これに伴って、ヨーロッパ各地では、消費者のニーズに応えるため、
「ヴィーガンワイン」が生産されるようになりました。
現在、ヨーロッパの生産者達は、より良い品質の「ヴィーガンワイン」を生産し続けています。
そんな高品質ワインのひとつがイタリアの「le vin bio-végan ビオ · ベーガン ワイン」ですが、
これは土に養分を与えるために、藻類と腐植酸を使用しています。
スペイン、ドイツでも「ヴィーガンワイン」は簡単に購入できます。
その価格は、一般に約10€前後(1€=123円11月現在)程度です。
出典 : Wikipedia ヴィーガニズム
出典 : Domaine Agriverde
大切な方とのひと時を「ヴィーガンワイン」で
さらに素晴らしいものに!
「ヴィーガンワイン」と言っても、いろいろな種類があります。
そして最近のヴィーガンブームに乗って、「ヴィーガンワイン」は
何処でも購入しやすくなりました。
日本でも、「ヴィーガンワイン」は実店舗やオンライ通販で購入可能です。
しかし、ヴィーガン認定ラベルに似たような、
紛らわしいラベルがワインのボトルに付いているのも見かけることも事実です。
先ほどご紹介したような正式な認定ラベルを見分け、成分表を確認し、
お好みの本物のワインを見つけて、お楽み下さい。
お歳暮や、クリスマスのプレゼント、年末年始をお祝いする時にも、
お勧めの「ヴィーガンワイン」。
珍しさもあいまって喜ばれること、間違いなし ! みんなで乾杯しましょう!
オーガニック食品やコスメをお得に買えるオーガニックストアIN YOU Market
IN YOU Marketワインと合わせていただきたい、オススメ・オーガニックフード
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