あまり報道されませんが先日、日本近海で史上最悪の原油流出事故が発生しました。今後私たちはどうなるの?健康被害、海洋生物への被害、生活に多大な影響が生じる可能性も。今こそ環境問題と真剣に向き合う時です。
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上記画像はあくまでイメージ画像です。
史上最悪の原油流出事故が発生。計り知れない周辺海域への影響
![tanker-1242111_640](https://macrobiotic-daisuki.jp/cms/wp-content/uploads/tanker-1242111_640-450x338.jpg)
2018年1月6日に、中国沖で貨物船と石油タンカーの衝突事故が発生し、
1週間後の同月14日に沈没しました。
ことの重大性から、CNNやAFP通信など海外のメディアで大きく取り上げられ、多くの専門家が石油流出による多大なる影響に懸念を示していますが、
何故か日本では大きなニュースとして取り上げられていません。
13万6000トンもの石油を積載していたタンカーは、
約1週間にわたり爆発・炎上、その後沈没しました。
当時、現場海域では最大約130万平方キロに渡って石油が流出したと報じられましたが、
事故状況の凄まじさから、原油・燃料の全てが流出したと考えられる、
という見解もなされています。
以下、1月15日付のAFPの記事です。
【1月15日 AFP】中国沖で6日に貨物船と衝突・炎上し、
14日に沈没したイラン企業所有の石油タンカー事故について、
中国国営メディアは15日、現場海域で最大約130平方キロにわたって油が流出したと報じた。
環境専門家らは、海洋生物に深刻な被害を与える恐れがあると警鐘を鳴らしている。
沈没した同タンカーは、軽質原油13万6000トンを積載していた。
米アラスカ州を拠点とする石油流出対策の専門家、
リチャード・スタイナー(Richard Steiner)氏はAFPに対し、
「1週間にわたって爆発・炎上が続いた船体の損傷を考慮すると、
貨物倉や燃料油貯蔵タンクのうち無傷で残っているものはなく、
従ってコンデンセート(超軽質原油)と燃料のすべてが流出したというのが私の推察だ」と語り、
1回で海洋流出したコンデンセートの量としては史上最多と指摘している。
引用:中国沖タンカー事故、深刻影響の恐れ 前代未聞の油流出量との指摘も
一度流れ出た石油は元には戻らない。
![sunset-3147944_640](https://macrobiotic-daisuki.jp/cms/wp-content/uploads/sunset-3147944_640-450x252.jpg)
当たり前ですが、一度流出した石油は元には戻りません。
また、液体に溶け込んだ物質を抽出することが困難であるように、
大海原へ流出した石油を簡単に回収することもできないのです。
この事故により、周辺海域に生息する海洋生物への影響は避けられません。
海洋生物の生態系を大きく乱すどころか、生息することができない水質になり、その影響は計り知れないものとなります。
原油流出の影響は確実に日本の海域にも及びます
原油流出事故を受けて、イギリスの海洋センターがその後の流出の拡大を予測した、驚愕のデータを発表しました。
正直なところ、私自身もこれを見て、ただただ絶句し茫然としてしまいました。
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Sanchi Oil Spill Has Already Caused ‘Serious Ecological Injury’
冒頭で「中国沖で発生した」と記載しましたが、地図でご覧頂ける通り、
「日本に限りなく近い中国沖」でこの事故は発生しています。
日本周辺には大きな海流が流れており、
流出した原油は、まず黒潮に乗って太平洋沿岸部の九州・四国・紀伊半島へ流れて行きます。
また、もうひとつの対馬海流によって、原油は日本海側へも流れ込みます。
このような状態は、
原油が流出し始めてから約100日(3ヶ月)程度かかって広がるとされています。
つまり、2018年4月中旬頃には、
日本の周辺海域で大きな影響が出ている可能性が高いのです。
これは、遠い海で起こっていることではありません。
日本の海で、現在起こっていることなのです。
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奄美地方では既に流出した原油が沿岸部に到達しています
2018年2月1日、鹿児島県奄美市の朝仁海岸に、
黒色の油状のものが漂着してるという通報がありました。
2月1日午前11時20分ごろ、
鹿児島県名瀬保健所より「一般の方から朝仁海岸に油状のものが漂着している」と通報がありました。
奄美海上保安部によりますと、
通報のあった現場付近の状況確認を行なったところ、
朝仁海岸の広い範囲に黒色の油状のものが漂着している状況を確認しました。
近所の人によりますと、
発見したのは昨日の15時ごろとのことです。原因については調査中とのことです。
そしてその後も、奄美市の多くの海岸にて油状物が次々と確認されています。
これを受けて、各関係機関が集まり対策を協議したり、
奄美市の職員の方が除去作業を行っていますが、
原油は次々と漂着し、除去作業は困難を極めているそうです。
2月9日の除去作業では、約3時間の間に1950kgもの漂着油が除去されました。
~漂着油、1950kg除去~
奄美大島などの海岸に漂着したC重油または原油の問題について、
奄美市は本日2月9日午後1時30分からおよそ3時間、朝仁海岸で油の除去作業をしました。
本日は防護対策をした職員総勢50名がマニュアルに沿って揃えた、装備や分別方法、
作業手順を確認して2班編成で除去、回収作業をしました。
本日回収した油はおよそ1950キロということです。
来週以降、行われる除去作業に一般からの参加は受け入れる方針であるとして、
手袋、長ぐつ、くつ用のビニール袋などの防護対策は揃えてきてほしいと呼び掛けています。
現在までにわかっている、油が漂着した場所は
十島村の宝島、喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、
与路島、徳之島、沖永良部島、さらに与論島、屋久島でも確認されています。
また、2月6日に奄美大島の海岸で油を吸いこんで窒息死したと考えられる、
絶滅危惧種のアオウミガメが打ち上げらたことなどを受けて、
「来週以降、奄美大島の沿岸の生態系への影響など、
地元の識者と共同で実態調査をしていきたい」としています。
一方、「ダイバーが潜水する海中の調査については海域の安全が確認されるまでは実施できない」
として遠隔操縦水中ロボットの導入などを視野に検討しているということです。
絶滅危惧種のアオウミガメの死骸が確認されるなど、既に海洋生物への被害が出ています。
![turtle-3127236_640](https://macrobiotic-daisuki.jp/cms/wp-content/uploads/turtle-3127236_640-450x300.jpg)
奄美地域の海域には、ウミガメ・ザトウクジラ・イルカがやってくることもあります。
色とりどりの珊瑚礁が自生し、そこでは熱帯魚たちをはじめとした豊かな自然環境が育まれています。
おそらく、漂着油の影響はこうした豊かな自然環境を容赦なく破壊していくと考えられます。
もはや他人ごとではありません。石油流出事故の影響は私たちの生活に直結します。
海に囲まれた日本に住む私たちは、昔から海からの恩恵を多大に受けて日々の生活を送り、暮らしてきました。日本独自の文化や食生活も、海の恵みがあったからこそ育まれてきたものです。
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今回の事故による石油汚染に関しては前例がなく、今後どうなるかわからないとされています。
しかし、本当にそうでしょうか?
前述の通り、実際にアオウミガメによる被害が出ているのです。
影響が出ないはずはありません。
他にも、具体的にどのような影響が考えられるかを挙げてみました。
・魚介類など海産物の大量汚染・大量死
・生態系の大きな変化(生物が生息することすらできない可能性も)
・人間の重要なミネラル源である海塩の汚染
・人体への悪影響
・日本の海でレジャーを楽しむことができなくなる
また、一部報道では、物質自体は数ヶ月で分解される可能性が高い、
とも言われており、それほど重要性・緊急性を感じさせるものはありません。
国民がなるべく注目しないようにしているのかと疑いたくなるほどです。
有害物質が大量に流出している今、ことは重大かつ深刻です。
しかし現実は、広大な海に流出した大量の原油が、海流に乗って広がることはあっても、簡単に分解されることなどありません。
ましてや、長い年月をかけて育まれてきた自然界の生態系が、
大きく乱れてしまった後で簡単に戻ることなど、考えられないはずです。
その先にあるのは私たちの生活及び健康への悪影響です。
かつて、水質汚濁によって、日本で起こった公害の数々のことをご存知ない方はいないでしょう。
人間によって汚染された物質が海に流れ出たことで、
プランクトンから小魚、大型の魚へと汚染物質の生物濃縮が起こり、
それらの魚を食べた人々が重篤な疾患を発症しました。
今回の場合も、同様のことが考えられます。
一見綺麗に見えても、実は汚染物質が魚介類の中で生物濃縮が起こるとすれば、
どのようなことが起こり得るでしょうか。
人間は食物連鎖の頂点に立っています。
人間が犯した環境汚染は自然界の多くの生物を傷つけたうえで、結局は人間に戻ってくるのです。
私たちは今一度、豊かな自然からの恵みの数々をこれ以上破壊しないよう、環境問題について考えるべきではないでしょうか。
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私たちにできる小さな一つ一つの取り組みが環境を守ることにつながります
現在、日本にはものがあふれています。一見豊かに見えるこの生活ですが、多くの無駄が存在し、また、環境への配慮が不足しています。
唯一無二の環境を守るために、私たちにできることはたくさんあります。
買い物は、必要なものを必要な分だけ
まとめ買いがおトクだからと大量に購入し、結局使わずに廃棄処分・・・などということはないでしょうか。無駄を出す前に、必要なものを必要な分だけ、考えて使うようにしましょう。
安いものを使い捨てるのではなく、良いものを長く使うようにすること
最近では、100円均一ショップなどであらゆるものが簡単に手に入るようになりました。それ以外でも、低価格で気軽に買える商品が多いように感じます。
そして、その価格の低さゆえに、安かろう悪かろうで納得し、
すぐに壊れたとしても、また新しいものを手に入れることが可能です。
安価ですぐに壊れるものを何度も購入するよりも、
高品質のモノを長く使う方が、経済的にも環境的にも優しいのではないでしょうか。
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石鹸や洗剤は環境に優しいものを使うこと
家庭から流出される生活排水は下水処理場などで浄化されています。しかし、合成洗剤に含まれるリンや窒素、陰イオン系界面活性剤、
殺菌・漂白・芳香効果を謳う化学物質の数々は容易に浄化されず、元どおりの綺麗な水にたやすく戻ることはありません。
また近年では、分解しきれないマイクロビーズが大量に海に放出され、
海洋生物による誤飲などの影響も大きな問題となっています。
食器洗い洗剤・選択洗剤・シャンプー・ボディソープ・・・
私たちの周りには実にたくさんの合成洗剤があふれています。
環境のことを配慮した商品を選択するようにしてください。
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エコバック・マイボトルなどを持ち歩くこと
最近では、エコバックを持ち歩く人がかなり増えました。お店としても、プラスティックバッグの配布を中止(有料化)するところが増えています。
しかし、依然として大量のプラスティックゴミが発生しているのが現状です。
海に漂流しているプラスティックバッグやプラスティック製品を生物たちが誤飲することも、
大きな問題となっています。
また、プラスティックは環境ホルモンとしても私たちの身体に悪影響を及ぼすことがわかっています。
エコラップ、エコバック、プラスティックではなくステンレスやホーローなど、
繰り返して使えるものを選択しましょう。
オーガニックの商品を選択すること
野菜に散布される大量の農薬、輸送の際に使われる防腐剤や防カビ剤は、人体への悪影響はもちろん、環境にも影響を及ぼしています。
地球上に存在する自然の生態系を守るためにも、
消費者である私たちが環境に配慮されたものを選択するようにしましょう。
![vegetables-1350275_640](https://macrobiotic-daisuki.jp/cms/wp-content/uploads/vegetables-1350275_640-450x338.jpg)
今回の大きな事故もそうですし、原発事故もそうですが、泣いても悔やんでも、もう過ぎたことはどうにもなりません。
でも、一つ一つの取り組みは小さなことかもしれませんが、何もしなければゼロのまま。
小さなことでも、一人一人が続けることで、必ず大きなことへと繋がっていくはずです。あなたも、これをきっかけに、今から行動に移しませんか?
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