ホルスタインに和牛を産ませる恐ろしい方法とは？不自然な畜産業の問題点。人間の果てない欲望が動物の「命」を歪めています。

人気に反して数が不足している和牛。生産数を増やすために行われている倫理に反する方法とは…

訪日外国人旅行者が楽しみにしている日本の食事は、これまで寿司や天ぷらといった和食が中心でした。
ところが近年では神戸牛や松阪牛に代表されるように、和牛を求める外国人が増加しています。

実際2016年に観光庁が実施した外国人観光客消費動向調査によると、
もっとも満足した日本食は〝肉料理〟で、魚料理をしのぐ結果が報告されています。


また、外国人をターゲットとした和牛を楽しむ観光プランや、空港でのすき焼きセットの販売など、各業界が和牛人気を後押しする戦略をとっていて、
輸出においても牛肉の出荷は大きく伸びをみせていいます。和牛は日本食を代表する食材になりつつあるというわけですね。


しかし肉用牛の生産が追いついていない現状があります。
和牛の飼養頭数が減る理由には、牛を飼育する農家の減少や高齢化、飼料や糞尿処理にかかる高額な費用が挙げられていて、
この5年間で子牛の数はおよそ3割程度減少しました。

市場に牛肉が出回りにくくなると、食肉加工メーカーが牛を調達しづらくなったり、
値上がりによる消費の落ち込みを招いたりしますから、生産者にとっても製造者にとっても好ましい話ではありません。

そこで注目されているのが〝ホルスタインに和牛を産ませる方法〟です。

「ホルスタインから和牛？！」と驚く方もいるかもしれませんね。
それを可能にするのが〝受精卵移植〟（ET技術）で、ホルスタインの子宮に和牛の受精卵を人工的に移植し代理出産させます。

あるET技術研究所では、和牛繁殖牛一頭につき1回あたり8卵ほどの受精卵を採取し、年に4回ホルスタインの子宮に移植しています。
本来であれば牛の出産は年に1回、妊娠期間は280日に及びますが、これでは多くの牛を育てることができません。そのため生産性が高い受精卵移植が採用され、子牛を増やしているわけですね。

さらに乳牛(ホルスタイン)と肉用牛(和牛)の両方を同時に生産することは、酪農家にとってコスト削減や収益増加につながります。

生産者側にとっては母体の能力に左右されず、優秀な能力を持った牛のみを選別し、繁栄させることができますから、これもまた大きなメリットとなります。
収益が上がれば、参入する農家や業者が増えますから、和牛の安定供給のためには役立つ方法だといえるでしょう。

牛や消費者への影響は？不自然なかたちで生を受けるET牛は体が弱い

同じ牛とはいえ、ホルスタインと和牛はまったく違う動物です。

にも関わらず、ホルスタインは和牛の子を宿すことになるのですから、当然のこと問題も生じてきます。
そのひとつが乳質です。ホルスタインの乳質には抗体物質の一種グロブリンが和牛の半分程度しかありません。
そのためET牛は免疫細胞が足りず、免疫不全になりやすいのだとか。無理がある受胎には、生まれてきた子牛の体を弱くしてしまう一面があるのです。

受精卵移植で生まれた不自然な和牛が、わたしたちの食卓に届いています。

ET技術によって生まれる子牛には何の罪もありません。
しかしながら不自然なかたちで生を受けた動物に対して食欲は湧くでしょうか？

「牛肉が必要だから」「和牛は高値で売れるから」といった理由で命をつくる行為に倫理的な危機感を感じませんか？

わたしは人の欲望が優先されすぎると、もっと大事な気持ちを見失うような気がして一抹の不安を覚えます。

自然破壊や環境汚染…肉業界・畜産業がもたらしている地球への悪影響とは

畜産業がもたらす課題。それは道徳観だけではありません。とりわけ地球環境の観点において、より現実的な差し迫った状況を招いていると言っていいでしょう。

・地球温暖化

温室効果ガスはメタンと亜酸化窒素に大別されます。家畜の飼育はどちらの排出量も高いとされていて、
メタンの原因は牛や羊のげっぷで、地球上一日当たりの温室効果ガスおよそ5%にもなり、亜酸化窒素は家畜の排泄により発生し、オゾン層破壊の一因となっています。

・土壌汚染

牛や豚の糞尿は土壌を酸性化させ、森林や植物に被害をもたらします。
また排泄物の処理方法を誤れば、過剰な硝酸態窒素が発生し、地下水を汚染します。

・森林伐採

家畜を育てるためには膨大な飼料が必要です。そのため一部の企業は熱帯雨林を破壊し、家畜の飼料となる穀類を育てています。
さらには多すぎる家畜を放牧させるために森林伐採が行われている場合もあります。

・砂漠化

過放牧は家畜が草地を踏み固めることで草が再生する力を弱め、
土地の砂漠化を引き起こします。すでに世界のおよそ20％の草地が家畜により劣化したともいわれています。
牛を育てることで起きる地球温暖化や土壌汚染は、自然環境を脅かす問題となっているというわけですね。

わたしたちの食事に牛肉は本当に必要でしょうか？

縄文時代の人々は小動物や魚といった動物性食品を摂取していましたが、エネルギーの80%はクルミやクリ、ドングリといった植物性食品が中心でした。
また日本史のなかでも長い歴史を誇る江戸時代には、米・みそ汁・漬物といった一汁一菜が基本の食事だったのです。

極論をいえば、肉類をたくさん食べなくても、生きていけるのが人間という生き物ということになります。


昔の食生活に戻るべきとまでは言いませんが、肉類や甘いものが多様にある現代は、
やや贅沢すぎる時代なのでしょう。

肉類の摂取が多いと体に不調をきたす恐れもあります。

・糖尿病
・腸内環境の乱れ
・内臓疲労
・肥満

ひょっとしたら思っている以上にシンプルで質素な食事でよいのかもしれませんね。

豆料理を取り入れるメリット！豆の健康効果とは？

質素な献立を心がけたいとしても、急な食事転換は心身に無理をきたす場合がありますし、栄養面で不安な方もいらっしゃるはず。
そこで簡素なメニューを実践しながらも、豊富な栄養価を含む〝豆料理〟がおすすめです。

豆料理はダイエット向き？！太りにくい炭水化物とは

豆類は炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など豊富な栄養素をバランスよく含んでいる特徴があります。
豆類にはたくさんの種類がありますが、栄養成分量の割合に基づいて分類すると、〝炭水化物を主体としたグループ〟と〝たんぱく質を主体としたグループ〟とに大きく分けることができます。

炭水化物を主体とした豆類

・小豆
・えんどう豆
・ひよこ豆
・花豆
・そら豆

豆類のほとんどは炭水化物を多く含むグループに当てはまります。
炭水化物というと「ダイエットの敵」「体に悪そう」と思ってしまいがちですが、豆に関していえば決してそんなことはありません。その秘密は〝食物繊維〟にあります。

豆類は食物繊維を豊富に含んでいます。

炭水化物は〝糖質〟と〝食物繊維〟の両方を含有している栄養素です。
糖質は体を動かすエネルギーになる一方、過剰な摂取は血糖値を上昇させ中性脂肪を増やし肥満を招きます。
反対に、食物繊維は血糖値を上げにくい、満腹感を得やすい、腸内環境を整えるなど、体にとっていい働きをしてくれ、肥満を予防します。

豆は炭水化物中に多くの食物繊維を多く含んでいますから、血糖値の急な上昇を防ぎ、太りにくい食品だといえるというわけですね。

疲労回復や免疫力アップ！たんぱく質が豊富な豆

たんぱく質を主体とした豆類には、

・大豆
・落花生があります。

とくに大豆は良質なたんぱく質に富んでいて、「畑の肉」と呼ばれています。
しかも人が体内で合成することができない〝必須アミノ酸　9種類〟をまんべんなく含んでいますから、積極的に食事に取り入れるべき食品です。

【必須アミノ酸　9種類】
・ヒスチジン
・イソロイシン
・ロイシン
・リジン
・メチオニン、シスチン
・フェニールアラニン、ロシン
・スレオニン
・トリプトファン
・バリン

大豆は必須アミノ酸のうちリジンの含有に秀でており、疲労回復や免疫力向上、コレステロールの上昇を抑えたり、脳卒中の発生を減少させる効果に期待ができます。
リジンは米や穀類にはほとんど含まれない栄養素ですから、
大豆をはじめ、豆腐やみそといった大豆加工食品を摂取することで、主食だけでは足りない成分を補う役目がある！いえそうですね。

ベジタリアンやマクロビオティックに！…誰もが食べられる豆料理の食卓

豆類のもうひとつのメリットは、誰しもが食を楽しめる食卓づくりが実現できる点。
世界にはさまざまな宗教があり、そのうちのいくつかには肉類を禁止しているものがあります。

また体質や信念によって、ベジタリアンやマクロビオティックを実践していて、肉を食べない方もいらっしゃいます。

実際にドイツではベジタリアンの人数は人口の10%、アメリカでは若い世代を中心に乳製品をも摂取しないヴィーガン実践者の増加がみられます。
世界の〝肉食離れ〟に後押しされてか否か、日本人でも徐々にベジタリアン思考が広まりつつあります。

東京オリンピックが控えていることを考えても、今後わたしたちの日常生活のなかで、菜食主義者との交流や食を共にする機会があるかもしれません。
そんなとき豆料理は誰もが食べることができる最適な料理だと思いませんか？宗教や考え方の違いを超えて、食卓を共にできるだなんてとても素敵ですよね。

肉より豆料理を！シンプルな食事がいちばんの幸せのもと

牛肉は旨味があり嗜好を満たす食品ですから、たまの摂取にはいいかもしれません。

しかしながら肉類が当たり前の食生活で、なければ困る…と感じてしまう方は、もしかしたら依存傾向にあるのではないでしょうか。
「肉を食べたら幸せ」という食品から受ける幸せよりも、米や野菜、豆類といった日本人ならではの食材を工夫しながら調理する「自分で作る幸せ」を感じてこそ、本来人間が喜びを感じることだと思います。

日本食や豆料理といった身近でシンプルな食事を取り入れて、
無理がない・身の丈にあう幸せに気付くきっかけを作ってみてはいかがでしょうか？

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