知らなきゃマズイ!2020年完全移行。新食品表示制度、何が変わるの?添加物や原産地変更点まとめ。
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裏面に記載されている食品表示とは?
豆腐を作るときに必要な「にがり」。実は、「にがり」は食品添加物の一種であることを知っていますか。
もし、あなたが「にがり」を添加物と思っていなかった場合、
問題は、「にがり」が添加物として体に悪影響があるかどうかではなく、
「にがり」が添加物かどうかを認識しないまま受け入れていた現状にあるのではないかと思います。
つまり、「にがりが添加物である」という認識があって、初めて「にがりが自分にとって安全かどうか」を調べ、判断することができるのです。
食べるものに何が入っていて、
どこで育った原料をどこで加工したのか、
それを示すのが商品の裏に書いてある裏面表示です。
自分にとって安全かどうかを情報に流されずに判断するには、
今手に取った食品の裏面を自分で判断する必要があるのです。
しかしながら、私たちの口に入れるものの情報=裏面表示の記載方法が、
2015年4月1日から変わってきています。
2020年には完全移行が完了し、今までの記載方法とは変わる点が多くあります。
自分の体を守るために、自分で判断するために、
新しい表示の方法について学びましょう。
新食品表示制度、変更点のおさらい
そもそも、食品表示がなぜ変わるのでしょうか。
今までは、食品の表示を定める3つの法律により表示法が決まっていました。
「食品衛生法」
「JAS法」
「健康増進法」
の3つがそれぞれ品質や安全について定め、とても複雑でわかりにくいものでした。
3つの法律を1つにまとめ、
「食品表示法」という法律として2015年に施行したことで、
食品表示が変わります。
しかし、急に「新しいルールになりました!」と言っても、
食品メーカーは毎日商品を作っているので、
急に裏面表示を変えることはできません。
ですので、2020年の4月1日までに完全に移行してね、という猶予期間が設けられています。
今は、旧表示と新表示が入れ混じっている状態になります。
ポイント① 添加物を見分けられるようになる
「にがり」が食品添加物だとなかなか思わないように、食品添加物かどうかを見極めることは難しい。新制度では、添加物が明確に区別されることで、
一目で食品原料か添加物かが分かるようになります。
添加物かどうかを区切る方法は4種類あり、いずれかの方法で表示されることになります。
① 原材料名と添加物を分けて表示
② 食品原料と添加物の間にスラッシュを入れる
③ 原材料と添加物を改行して表示する
④ 原材料と添加物を別欄に表示する
スラッシュか改行か、線を入れて別欄になるため、食品原料か否かが分かるようになります。つまり、スラッシュ・改行の後に書いてある原料は添加物となります。
ポイント② アレルギー表示が明確に
今までもアレルギー表示は義務づけられていましたが、「マヨネーズには卵が含まれているもの」と一般的に分かる食品には、
アレルギー表示が義務付けられていませんでした。
しかしながら、マヨネーズにも卵を使われていないものもあります。
これを、
新表示では区別することができるようになります。
例えば、たまごサンドには卵と小麦を含むと考えられるので、「ロールパン、マヨネーズ…」の表示でも問題はありませんでした。
新表示では原則、個別表示となります。
つまり、たまごサンドの場合「ロールパン(小麦を含む)、マヨネーズ(卵を含む)…」といった表示に。
スペースの問題で入りきらない場合には、
「ロールパン、マヨネーズ、…(一部に小麦、卵を含む)」となりますが、
いずれにせよ、
アレルゲン物質が入っているかどうか明確に判断ができるようになります。
ポイント③ 栄養成分表示の義務化
2015年、食品表示法が変わった年に、もう一つ変わったものがあります。日本人の食事摂取基準において、
ナトリウム(食塩相当量)が男性9.0g/日未満から8.0g/日未満へ、
つまりナトリウム(食塩相当量)の摂取量をさらに減少するべきという内容です。
では、ナトリウム(食塩相当量)はどこを見ればいいのでしょうか。
栄養成分表示に五大栄養素であるエネルギーやたんぱく質、
脂質、炭水化物、食塩相当量の記載があります。
今後は、すべての加工食品に栄養成分表示が義務付けられることとなりました。
さらに今回変わった部分は、「食塩相当量」の表示が義務付けられたことです。
今までは、「ナトリウム」の量で表示していましたが、
食塩に相当した場合を計算し、記載することになりました。
ポイント④ 機能性表示食品ができた
今までは、特定保健用食品(トクホ)以外の食品は「食品」として、機能性を表示することはできませんでした。
しかし、食品の中にも、
「おなかの調子を整える」「脂肪の吸収をおだやかにする」など、
健康の維持や増進に役立つものはたくさんあります。
そんな食品を、化学根拠により裏付けられた機能性に限り、
事業者の責任で表示ができる仕組みが機能性表示食品です。
機能性表示食品は、パッケージの中に「機能性表示食品」という記載があり、
何が含まれるから何に効くのかが表示されます。
食品表示法の穴 添加物の量が分からなくなった
新食品表示法は基本的には、「消費者が見て分かりやすい表示」
を心がけるための法律改正です。
ですが、
食品表示法で「分かりにくくなった」部分もあります。
それは…食品添加物の「量」です。
今までの表示法では、原材料は重量が多いものから順に記載されていました。
例えば、きのこ類や酵母などに含まれる「トレハロース」。
古くからの食経験はありますが、保水性が高く保存料として使われる食品添加物です。
お饅頭にトレハロースが含まれていた場合の裏面表示を考えてみましょう。
旧表示:こしあん、小麦粉、トレハロース、上白糖、卵、黒砂糖、カラメル色素…
新表示:こしあん、小麦粉、上白糖、卵、黒砂糖…/トレハロース、カラメル色素…
旧表示では、トレハロースが小麦粉より少なく、上白糖より多いことが分かります。
新表示では、食品原料と添加物がそれぞれ分かれて重量順に表示するため、
どのくらいの量になるかが分からなくなります。
とは言え、添加物は基本的に少量で効果を発揮するものが多くなっています。
量が分かりにくくはなりますが、「自分が摂取したくない添加物が何か」を理解することが大切です。
2022年完全移行 原料原産地表示制度もスタート
原料の原産地表示が義務化
これにより、加工食品の原料がどこから来ているのか判断ができるようになります。昨年9月1日に施行され、2022年3月末までに完全移行が終わる予定です。
原産地表示はまだ猶予期間が長く、導入されていない食品が多いですが、
今後の表示方法について説明します。
義務表示になるのは、重量の割合が1位の原材料になります。
つまり、ハンバーグが「ひき肉、たまねぎ…」となる場合、ひき肉のみ表示が義務化されます。
原則、国別の重量順表示になります。
ひき肉が国産の牛肉を6割、アメリカ産の牛肉を4割使用していた場合、
「ひき肉(国産、米国産)、たまねぎ…」という表示になります。
原料原産地表示は複雑ですが、その加工食品を占める割合が一番多いものが、
どこから来たものか・どこで加工されたものかが分かる情報となります。
遺伝子組み換え食品表示は今までと変わらず
現在、義務表示になっている食品は、「大豆、とうもろこし、ばれいしょ、菜種、綿実、アルファルファ、てん菜及びパパイヤの8種類の農産物」
のみになっています。
義務表示である「大豆」なのに「しょうゆ」に含まれる大豆は任意表示
油やしょうゆなど、組み換えられたDNA及び、これによって生じたたんぱく質が
加工工程で除去・分解され、広く認められた最新の検出技術によっても、
その検出が不可能とされている加工食品については、遺伝子組換えに関する表示義務はありません。
これは、非遺伝子組換え農産物から製造した油や
しょうゆと科学的に品質上の差異がないためです。
引用:食品表示基準Q&Aについて、別添遺伝子組換え食品に関する事項
つまり、しょうゆに遺伝子組み換えの大豆を使っていても、表示はしなくても良いということになります。
任意での表示は可能ですので、「遺伝子組み換えでない」と記載があるものを選ぶようにしましょう。
さらに問題なのが、「意図せざる混入」。
分別生産流通管理が適切に行われた場合でも、遺伝子組換え農産物の一定の
混入は避けられないことから、分別生産流通管理が適切に行われていれば、こ
のような一定の「意図せざる混入」がある場合でも、「遺伝子組換えでない」
旨の表示をすることができることとしています。
なお、この場合、大豆及びとうもろこしについて、5%以下の意図せざる混
入が認められています。
引用:食品表示基準Q&Aについて、別添遺伝子組換え食品に関する事項
つまり、「遺伝子組み換えでない」と記載があっても、5%未満は入っている可能性はぬぐい切れません。
今後の表示法改正に期待…2019年にも可能性が
遺伝子組み換え食品については、今回の「食品表示法」では特に改正がありません。遺伝子組み換え食品が「食品」として安全であるかどうかを定めるのは「厚生労働省」、
農産物として安全かどうかを定めるのは「農林水産省」です。
食品表示法では、消費者に分かりやすい表示をするために法改正がありましたが、
「遺伝子組み換え食品について」の考え方は厚生労働省、農林水産省が定めることになります。
とは言え、遺伝子組み換え食品については気になるところ。
現在は、消費者庁の有識者検討会で表示の方法について検討されている段階で、
上記の問題点も議論されています。
一刻も早く、法改正があることを期待しています。
食べる目的を理解しよう
「食品添加物を摂らない生活ができること」「すべて国産の食品を選ぶこと」それができれば、ベストな生活だとは思います。
しかし、特に加工食品を食べる時には目的がありますし、国産か否かを選ぶときには経済的な理由もあるでしょう。
「時間がない」「筋肉をつけたい」「この値段では買ってもらえない」…
その需要に沿って加工食品が進化した結果が、今の加工食品の現状です。
安心・安全な食品選びのために、私が気を付けていること
私は加工食品を食べる目的に沿って、添加物や産地を判断します。「筋肉をつけて健康的にダイエットしたい」と思う場合、毎日継続してたんぱく質を摂取することが大切です。
プロテインが美味しく飲めずに続けられなかった場合、目的は遂行できないでしょうし、
味をつけるために砂糖を入れてしまっては本末転倒です。
その場合、甘味料は私にとって必要な添加物でしょう。
甘味料が必要となった場合、商品の裏面を確認して、入っている甘味料について調べ、
不安をできるだけ感じない商品を選びます。
もしくは、「アスパルテームはこれから子供を産みたいから摂取したくない」等の自分ルールを決めて付き合うのもいいでしょう。
食費に十分にさけるお金がなければ、国産にこだわって一つの野菜を食べるよりも、
産地にこだわらず栄養バランスを考えて野菜をもう1つ増やした食事の方がいいかもしれません。
必要なことは、自分の中の優先順位を考え、自分にあった食事生活を選ぶことです。
目的をもって、人のせいにしない食選びを
時間がないときにコンビニのおにぎりを食べるのは、仕方がないことかもしれませんし、
目的があるのに無理に食品添加物を排除した結果、目的を遂行できないことは本末転倒です。
けれど、「気が付いたら食品添加物をたっぷり摂っていた」と、
意識をしながら「自分で選ぶ」ことは違うと思います。
毎日加工食品に頼らないと食生活が成り立たないのであれば、そもそも生活リズムや時間の使い方を見直す必要があるでしょうし、
料理が苦手だけどできるだけ手料理で栄養を取りたいのであれば、化学調味料も必要かもしれません。
とはいえ、今食べているものが身体を作ることも当たり前のことで、
10年後の自分に責任が取れるのは自分だけです。
大切なのは、たくさんの選択肢の中から自分に合った選択を見つけることでしょう。
「今」手に取っているものを判断するのは自分
「にがり」が食品添加物だから、豆腐は悪いものなのでしょうか。しかし、「にがりが添加物であること」を認識しないことには、豆腐の良し悪しを判断できません。
今、情報が溢れています。
「果汁100%のフルーツジュースは体にいい」「醤油は体に悪い」…
果たして、あなたが「今」手に取っている「その」ジュースや醤油は、どうでしょうか。
ジャンルは同じでも、その商品に入っているものはひとつひとつ異なります。
その判断をするための情報が、裏面表示には載っています。
まずは一つ一つ、今食べているものを「理解」することが大切です。
理解した上で、30年後の自分に必要な選択を積み重ねていきましょう。
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