住宅や学校でも起きているアスベスト(石綿)が脅かす健康被害。 肺や心臓、胃のトラブルにも。アスベストの実態と身を守る為のチェックポイントをお伝えします。
こんにちは。
突然ですが、皆さんは日本に今、空き家がどのくらいあるかご存じですか?
少子高齢化が進むにしたがって、管理する人がいない空き家が老朽化しています。
こうした空き家の住む人がいないことで、より老朽化が早く進みます。
私が子どもの頃住んでいた生家も、空き家になって久しいですが、
老朽化と昨年の台風の影響で一部を取り壊すことになりました。
同じ敷地内にあった物置きは、
取り壊しの際にアスベスト(石綿)の粉塵が発生する可能性があるとこのことで、
母家の建物以上に、取り壊し費用が高額となりました。
屋根のスレートに、アスベストが使われていたのです。
報道ではよく耳にしていたアスベストですが、実は、これまであまり身近に感じて来ませんでした。
アスベスト被害と言えば、
石綿工場などごく限られた仕事に従事する人たちだけの問題と思っていました。
アスベストは、太平洋戦争後の高度成長期に防火性の高い安価な建材として普及しましたが、
一時は国の政策として使用が勧められていたのです。以下がアスベストの特徴と種類です。
アスベスト:天然の鉱物から産出される繊維状鉱物。
耐熱性・耐火性、断熱性などに優れた安価な原料として、
1950年代工業製品や建築資材として使用されていた。
主に以下の3種類がある。
①クロシドライト(青石綿):吹付け石綿。セメント高圧管などに使用。
②アモサイト(茶石綿):吹付け石綿。断熱保護材として使用。
③クリソタイル(白石綿):様々な石綿製品の原料として、
世界各地で生産された石綿の9割上を占める。
※発がん性の高い順
出典:独立行政法人環境再生保全機構 アスベスト(石綿)とは?
https://www.erca.go.jp/asbestos/what/whats/whatAsbestos.html
1950年代から90年代にかけて日本の建築資材として使用されたアスベストの量は、
およそ515万トン。
住宅は勿論、学校や病院、福祉施設など多くの建物に使われていました。
今回は、以外と私達の身近にあるアスベストの健康被害の実態についてお伝えします。
法的規制も抜け穴だらけ!?調査が行われずに、建物が解体される場合も・・。
日本で石綿が利用された始めたのは1986年頃です。
1950年代には、既に健康被害が報告されていましたが、
90年代中頃まで、年間約30万トンが輸入されました。
輸入されたアスベストの8割以上が建材として使用されていましたが、法規制は立ち遅れ、
建築物における石綿使用が禁止となったのは2006年。
1970年代、80年代から石綿の使用が減少している海外に比べると、大きく立ち遅れています。
出典:独立行政法人 環境再生保全機構 アスベスト健康被害救済「石綿と健康被害(第12版)」パンフレット
岩波ブックレット「終わりなきアスベスト被害」 宮本憲一 森永謙ニ 石原和彦/編
1960年の3月には、石綿へ危険性が認知され始め「じん肺法」が制定されました。
この法律の制定により、アスベストの規制や石綿を扱う
労働現場での健康診断などが行われるようになりました。
石綿への対策はその後も強化されていきましたが、
じん肺法による対策は、企業への強制力を持たず、
労働現場によっては規制の対象外となる場合があります。
またアスベストは、建物の解体撤去を行うに、
調査や付着物の除去、飛散防止対策などが法律で義務付けられていますが、
実際には調査が行われずに、解体が行われているケースもあります。
阪神淡路大震災や東日本大震災でも、倒壊した家屋の 解体により、大量のアスベストが飛散しています。
最近は、岩手県大槌町役場や築地市場の解体でも、アスベストの飛散対策が課題とされています。
アスベストは、病気を発症するまでの潜伏期間が長く、
他の好物を原料とする繊維よりも長期間は肺に留まります。
以下がアスベストの潜伏期間と発病のピーク予測です。
出典:全日本民医連 2007年8月1日 特集2「被害のピークは2030~2034年ごろ アスベスト問題はこれからだ 救済制度の見直しが急務」 https://www.min-iren.gr.jp/?p=4678
公園や学校、保育園などでもアスベストの危険が。
私たちの体に深刻な影響を及ぼすアスベストですが、建設業など石綿を扱う仕事の人の問題として捉えがちですよね。では実際はどうでしょうか。
厚生労働省が発表したデータによれば、建物に使用された石綿による健康被害は、年々増加傾向にあります。
建築業以外の様々な業種にも健康被害が発生しているのです。
そのなかには教職員も含まれてます。また。2017年にNHKが行った調査では、
2万2千戸以上の公営住宅にアスベストが使用され、健康被害も発覚しています。
アスベストによる暴露は、建物の解体工事だけではなく、
日常的に家庭や学校にいるだけでも起こり得るのです。
出典:2017.7.25 07:00週刊朝日 室内に”居ただけ”で死亡も 「建物アスベスト」の恐怖
https://dot.asahi.com/wa/2017072100018.html?page=1
2017年6月12日(月)NHKクローズアップ現代“新たな”アスベスト被害 ~調査報告・公営住宅2万戸超~
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3989/
アスベストを吸い込むとどうなるの?人体への影響は?
アスベストを吸入することにより発生する主な病気には以下のものがあります。中皮腫:肺の胸膜や、胃や肝臓にある腹膜、心臓の心膜などにできる悪性腫瘍。
石綿肺:石綿を大量に吸入したことにより、肺が線維化する病気。
良性石綿胸水:心臓や肺などがある胸腔に胸水がたまる病気。
胸水を抜けば治癒するが、稀に胸水が引かず、呼吸機能障害を起こす場合がある。救済法の対象外。
他にも、肺がんや咽頭がんなどの重篤な病気がアスベストにより引き起こされます。
アスベストは住宅のどの部分に使われているの?
人体への影響が大きく、潜伏期間が長いアスベスト。解体時だけではなく、公営住宅や学校や福祉施設、病院などでもアスベストがけんざいとして使用されています。
建材として使用されている部分はどこでしょう?
どんな素材が使われているのでしょうか 。以下がその一例です。
屋根:スレート
外装材:スレートボード けい酸カルシウム板
耐火被覆材:吹き付けアスベスト アスベスト含有耐火覆材
壁・天井:スレートボード 石膏ボード
吸音材:スレートボード 石膏ボード パルプセメント板
出典:岩波ブックレット「終わりなきアスベスト被害」 宮本憲一 森永謙ニ 石原和彦/編
屋内、屋外を問わず、
ほぼ全ての場所にアスベストが使用されていることがお分かりいただけるかと思います。
建設業以外の人たちにも被害が増加しているアスベスト被害。
長い潜伏期間を経て発症する病気は、今後私たちの身にも起こり得るかもしれません。
私たちが健康被害から身を守るためにできることはなんでしょうか?
あなたの家は大丈夫? アスベストが使用されていないかチェックしよう
1970年代から使用され始めたアスベストは、古い公営住宅に生活することによる健康被害も懸念されます。これまで住んでいた住宅や、これからすむ住宅にアスベストが使用されていなかったか、
まずは確認することが大切です。
以下のホームページから全国の公営住宅のアスベスト使用状況がチェックできます。
2017年にNHKが行った調査では、
2万2千戸以上の公営住宅にアスベストが使用され、健康被害も発覚しています。
ここに掲載されていない住宅に関しては、管理している自治体や管理会社に確認し、
健康被害を防ぐ対策が行われているか問い合わせましょう。
古い持ち家も要注意! アスベスト飛散の可能性あり。
1950年から90年代頃までに建設された一般の住宅は、アスベストが使用されている可能性があります。現在空き家となっている場合も、周辺に微量のアスベストが飛散するかもしれません。
古い住宅は、劣化や自然災害による倒壊で、アスベストが飛散する危険性と隣合わせなのです。
こうしたアスベストが使用されている建物については、
都道府県や自治体が相談窓口を設けていますので、早めに相談するようにしましょう。
相談に行く際は、以下の情報を窓口に伝えることをおすすめします。
・空き家の建築年
・空き家設計図面
普段の健康管理も大切。
石綿を吸い込んでから、発病までの潜伏期間が長いアスベストの健康被害。私達がもしアスベストを使用した住宅に住んでいたことがあれば、
年をとり、体力が落ちた頃に中皮腫や肺癌などの重い病気になる可能性があります。
健康被害を受ける可能性を低くするためには、普段の健康管理も大切です。
ここからは、石綿被害から実を守るための健康管理の方法をお伝えします。
定期検診を受けよう。
健康被害に気づくためには、石綿に詳しい専門医の検診を受けることが大切です。家庭だけでなく、職場の建物で暴露する可能性もあるため、必ず職歴を記録しておくようにしましょう。
石綿+喫煙はダブルパンチ。喫煙や副流煙に注意しよう!
アスベストにより引き起こされる病気の一つに、肺がんがあります。喫煙は、アスベストにより引き起こされる、肺がんの発症リスクを著しく高める要因の一つです。
極力、喫煙や副流煙の影響は避けるようにしましょう。
健康被害から身を守るには、早めの対策が大切。
1950年代以降の建物に建材として使用されてきた、アスベストによる健康被害の実状と、その対策についてお伝えしました。
アスベストは、建築業など特定の仕事についているひとだけの健康被害ではないことが、
お分かり頂けたでしょうか?
石綿は、吸引しても潜伏潜伏期間が長いだけに、今現在症状が出ていなければ、
他人ごとのように感じてしまうかもしれません。私もこれまで身近な問題として捉えていませんでした。
でも、実際はいつ誰に起きてもおかしくない公害です。
油断せずに早めの対策を打つことが、自分自身の健康を守ることに繋がります。
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