管理栄養士が教える、介護に役立つ「摂食嚥下障害」に適した簡単レシピ|正しく理解すれば「誤嚥性肺炎」は予防出来る!
2016年度の診療報酬改定から、厚生労働省の認める特別食に「摂食嚥下障害」が追加されました。
その背景には、昨今の高齢化により「摂食嚥下障害」を持つ方の急増があります。
今後更に増加の一途をたどるとされる「摂食嚥下障害」。
「そういえば最近、ご自身やご家族が食事の際に良くムセる」なんてことないでしょうか…?
①高齢社会の現実・死因
我が国は急速に高齢社会が進行し、今後もその勢いは増す一方と推察されています。
1950年には5%に満たなかった高齢化率(65歳以上人口割合)が、
1985年には10.3%、2005年には20.2%と急増、2015年には26.7%と過去最高になっています。
今後も高齢化は進行し、2060年には約2.5人に1人が高齢者になることが見込まれています。
また、我が国の死因を見てみると、肺炎は上昇傾向が続き、
2012年には脳血管疾患を抜いて肺炎が第3位になっています。
肺炎の原因には幾つか挙げられますが、
高齢者の場合は、誤嚥による肺炎が多いと言われています。
②「摂食嚥下障害」について知ろう!
「摂食嚥下障害」と「誤嚥性肺炎」
喉には、前側に気道、後ろ側に食道というように二つの道があります。普段、私たちが呼吸をしている時には、食道も気道もオープンな状態です。
そして、食事をしている時には、
喉頭蓋(こうとうがい)という蓋が気道に食物が入らないようにしっかり蓋をします。
しかし、疾患や加齢の影響によって、この反射が上手く行かなくなると(摂食嚥下障害になると)、
気道に食物が流れ、気道の先にある肺に直接食物が流れて行ってしまいます。
これを「誤嚥」と呼び、誤嚥によって肺炎になる疾患を「誤嚥性肺炎」と呼んでいます。
誤嚥すると必ずしも誤嚥性肺炎を引き起こすわけではありませんが、
肺に入った食物が細菌増殖して炎症すると、結果として肺炎を引き起こします。
このように、「誤嚥性肺炎」と「摂食嚥下障害」は非常に関連があります。
「摂食嚥下障害」の方が誤嚥を予防することによって、
高確率で「誤嚥性肺炎」を予防することが可能です。
「顕性誤嚥」と「不顕性誤嚥」
通常、誤嚥するとムセる場合が多いですが(顕性誤嚥)、高齢者ではムセない誤嚥(不顕性誤嚥)も多く発生します。
ムセの有無は安全に摂取できているかの基準にはなりますが、
ムセていないから誤嚥していないと判断することは出来ません。
あなたやご家族は大丈夫?「摂食嚥下障害」チェックリスト
✓食べ物が飲み込みにくい(飲み込む時に痛みや苦痛がある)✓口から食物がこぼれたり、口の中に残ったりする
✓よく咳がでる
✓食べるのに時間がかかる
✓飲み込んだ後に声が変わる(がらがら声、かすれ声)
✓食物や胃液が口の中に逆流したり吐いたりする
✓水や麺類の水分でよくむせる
✓パンやカステラなどパサパサしたものが食べにくい
✓最近痩せてきた
✓肺炎、脳血管疾患と診断されたことがある
⇒チェック項目が多い程、「摂食嚥下障害」のリスクが高くなります。
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③「摂食嚥下障害」と診断されたら?
「摂食嚥下障害」のレベルを知る
ご自身やご家族が「摂食嚥下障害」とされてしまっても、「摂食嚥下障害」を正しく理解して、正しく調理することによって誤嚥のリスクを軽減することが出来ます。
「摂食嚥下障害」にもレベルがあり、それによって適した食事の形態が変わってくるので、
まずは、ご自身(ご家族)の「摂食嚥下障害」のレベルを知ることが重要です。
レベルに合わせて、食事は主に、一口大とろみ、きざみとろみ、
ペースト食、ゼリー食のどれかに調理加工します。
入院中の方は、専門の者(言語聴覚士や管理栄養士)に摂食嚥下レベルと
どの食事形態が適しているのかを確認しておきましょう。
ただし、このレベルはずっと一定ではなく、
悪化することもあれば改善することもあるので注意が必要です。
「摂食嚥下障害」に適した食品と適していない食品を知る
摂食嚥下障害に適した食品
✓とろみのついたもの
⇒水やお茶等の水分、汁物にもとろみをつけましょう。
時間が経っても粘度を維持できる専用のとろみ剤が販売されています。
✓性状が均一なもの
⇒違う料理を混ぜると不均一なものになりますので、避けましょう。
✓ポタージュ状のもの(クリームスープ、シチュー、ヨーグルト)
✓プリン状のもの(プリン、ムース、茶碗蒸し、卵豆腐)
✓ゼリー状のもの(牛乳ゼリー、果物ゼリー)
⇒寒天で作ったものは口の中でバラバラになってしまうため、飲み込みにくくなります。
<これまでにあった体験談!>
ゼリーはどのような形態が飲み込みやすくなると思いますか?良く目にするのが、「ゼリーをぐじゃぐじゃに混ぜる」という方法。
しかし、これは折角口腔内でまとまりやすいゼリーをまとまりにくくしている…
という残念な方法なんです。
ゼリーはスプーンでスライス状に薄くカットするのが正解!喉をツルンと流れ、
誤嚥しにくい形態です。
食事介助される方は、ぜひこの二方法の食べやすさを比べてみて下さい!
摂食嚥下障害に適していない食品
✓繊維の多いもの(たけのこ、れんこん、ごぼう、青菜)
✓パサパサ・モサモサしたもの(パン、かぼちゃ、芋類)
✓衣のついたもの(とんかつ、天ぷら)
✓弾力のあるもの(こんにゃく、餅、かまぼこ)
✓歯や口腔内にへばりつきやすいもの(のり、わかめ、もち)
✓サラサラした水分(水、お茶)
✓混じったもの
✓酸味のあるもの
✓辛いもの
✓硬いもの
◎こんな食感は避けましょう。
○サラサラ:ムセやすい →とろみをつける
○ボロボロ:ばらけやすい →油脂やつなぎでまとめる
○ペラペラ:はりつきやすい →摂取をさける
○パサパサ:ぱさつきやすい →適度な水分を含ませる
<これまでにあった体験談!>
良く「きざみ食」は嚥下食と理解されている方が多く、食事にとろみを付けたくないとおっしゃる方がいます。
しかし、「きざみ食」は義歯不適合などの理由から咀嚼が困難な方向けの食事で、
嚥下食ではありません。
「きざみ食」はポロポロして余計に誤嚥しやすくなりますので、
必ずとろみをつけてまとまるように調理することが必要です。「きざみとろみ食」が原則です!!
④「誤嚥性肺炎」を予防しましょう
・ゆっくりよく噛んで食べる!(義歯不適合の方は調整が必要)・食べやすいように調整した食事を摂取する!
・一口量を多くしすぎない!
・食事に集中してしゃべりながら食べない!周囲の人も話しかけない!
(話すことで気道に蓋がされず、誤嚥し易くなる)
・口腔内の清潔を保つ!(肺への細菌流入予防)
・食後1~2時間は横にならない!(逆流予防)
・正しい姿勢で食べる!
・ベット上で食事をする場合は30°ベットアップする!
(食道は背中側にあるので、傾斜をつけることで重力で食物が食道に流れやすくなる)
⑤とろみ剤の使用目的ととろみ剤の紹介
一番ムセやすいのが水分(お茶や水)です。
水分は喉を流れるスピードが速いため、気道に蓋が出来ずに気道へと流れていってしまいます。
そのため、水分にとろみ剤を入れて粘度を上げることによって、
喉が水分を受け入れる時間を稼いであげます。
とろみ剤が活躍するのは水分摂取時だけではありません。
水気の多い料理、パサつく食感の料理、ペースト食のとろみ付けにもとろみ剤を使用します。
<これまでにあった体験談!>
「とろみをつけるのは片栗粉では駄目でしょうか?」という質問を良く受けます。片栗粉だと安価ですし、どのご家庭にもあるので、実際に使えたら便利ですよね。
しかし、片栗粉だと経時変化でとろみが薄くなる傾向があるため、
「摂食嚥下障害」の方には向いていません。必ず専用のとろみ剤を使用しましょう。
⑥「摂食嚥下障害」に適した具体的なレシピの紹介
「摂食嚥下障害」の場合、「飲み込みにくい」などの原因から食事摂取量が低下することが考えられます。そのため、食事のエネルギーアップに努めると共に、補食等で補いましょう。
今回おすすめするのは、「はちみつ」と「油」の力を活用したエネルギーアップです。
料理を始め、ヨーグルトや飲み物に少量添加することで、手軽にエネルギーアップを図りましょう。
【有機鮭のゼリー寄せ】
<材料>
・生鮭 :100g・コンソメスープ :200cc
・有機塩・こしょう :少々
・ゼラチン :3g
・生クリーム :少々
◎マヌカハニー :3g
<作り方>
①生鮭をコンソメスープで煮て、塩・胡椒を味を調える。②鮭100gに対し、コンソメスープ200ccで繊維がなくなるまで十分にミキサーにかける。
③鍋に戻し加熱して、もう一度味を確認してからゼラチンを入れ煮溶かす。
<マヌカハニー>
農薬未使用のはちみつなので、安心して使用出来ます。また、非加熱のため、生きたままの酵素が瓶の中で発酵し続けます。
マヌカハニーはニュージーランド政府の認定を受けた表示の「MG」を採用しています。
「MG」とは、マヌカハニーに含まれる抗菌物質メチルグリオキサールの量を表しています。
【有機白菜のカニあんかけ】
<材料>
・有機白菜 :1枚半・カニ缶 :40g
・有機油 :大匙1
・有機生姜(みじん切り) :少々
・無添加の天然だし :5g
・有機塩・こしょう :少々
・片栗粉(水溶き) :大匙1
・有機グリンピース :5g
◎オリーブオイル :3g
<作り方>
①白菜は葉と芯に切り分ける。葉は一口大にし、新は繊維を断つように3㎝長さ、1㎝幅に切り、茹でておく。②鍋に油を熱して生姜を炒め、香りが立ってきたら白菜、カニの順に加えて炒め合わせ調味料を加える。
③煮立ってきたら水溶き片栗粉を加え混ぜる。
④皿に盛り、皮をむいたグリンピースを散らす。
<オリーブオイル>
このオリーブオイルは、イチゴの香りがするという珍しいオリーブオイルです。2つのオーガニック認証を受けていますので、安心して使用することが出来ます。
嚥下食に多い煮込み料理にも補食としてのデザートにも使用できます。
酸度も低いので、ムセにくく「摂食嚥下障害」の方に向いているオイルです。
<主食はどうする?>
主食はご飯(粥)が原則です。粥の場合は、粥の水分を誤嚥する可能性がありますので、重湯を十分に切りましょう。
それでも危険がある場合は粥にとろみ剤を入れて水気をなくしましょう。
パンはぱさついて口腔内でまとまりにくく、
麺類は吸うことでムセたり、つゆで誤嚥したりするので、避けましょう。
⑦まとめ
「摂食嚥下障害」についてご理解頂けましたか?「摂食嚥下障害」が高齢化の影響で急増し、今後も増えていくことが予想されます。
「摂食嚥下障害」⇒「誤嚥」⇒「誤嚥性肺炎」をいう流れを回避するためには、早期発見が重要です。
そのためには、まずご自身やご家族で先に挙げた「チェックリスト」を行い、
もし不安があるようであれば、かかりつけの病院に相談してみましょう。
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