高血圧が気になりだしたら夜の塩分に着目。意外に少ない食品の塩分濃度。ポイントは食べる時間
日本人の死因第1位は男女ともガン(悪性新生物)となっています。
続く第2位、第3位になっているのが心臓病と脳卒中です。
しかしこの二つの疾患は同じ病気としてとらえることもできます。
それは血管病。血管病とは、血管の内側の壁がもろくなったり硬くなったりする病気です。
これによって血流が阻害されたり、血管が破れたりすることで、心臓や脳に疾患が起こります。
血管病は腎臓にも影響を与えます。腎臓の中で老廃物のろ過を担っているのが糸球体。
これは血管の塊なので、
ここが堅くなってしまうと尿が排出されにくくなり、腎不全や尿毒症の原因になります。
これらを引き起こしている要因が、高血圧。
そして高血圧の原因として最も気を付けなくてはならないのが塩分摂取量なのです。
さら量だけでなく、塩分を取る時間帯も気にしなくてはいけません。
高血圧にならないための減塩対策はどうしたらいいのか、朝、昼、夕のいつ塩分を少なくしたらいいのか。
食品に含まれている塩分=塩化ナトリウムの量を比較しながら見ていきましょう。
和食はヘルシーには落とし穴が?
塩分過多な日本の伝統食
高血圧を防ぐために1日分として推奨されている食塩の量は、6gです。
対して、現在日本人の平均塩摂取量は1日11g~14gにもなっているのです。
この量をいきなり半分に減らすのですから、かなりストレスになりそうですね。
対して欧米諸国の平均塩摂取量は1日5~10g程度。アメリカの食文化は高カロリー、
高脂肪なイメージがありますが、塩分量では日本よりもずっと少ないのです。驚きですね。
それは日本で普通に食べられている伝統的な食品に含まれている塩分が多いから。
塩分の多い日本食(1食分)
そば 6.0g
きつねうどん 5.4g
塩じゃけ 5.1g
うな重 5グラム
梅干し 2.9g
うどんやそばなどは作られる過程で麺にこしを出す目的で塩が加えられています。
また梅干しなど保存食として塩で付け込んだものも多く、
味が濃く塩分が高い、いわゆる「ご飯によく合う」ものになっているんです。
日本は海洋文化の国ですから、豊富に取れる海産物を長期間保存するために塩が大量に使われ、
それが食文化として何世代も繰り返されてきたのです。
なので、塩気がないと物足りないというし好の人が多いのですね。
以外に少ない洋食の塩分。ハンバーガーは高血圧の優良食?
対してパンやスパゲティは塩分が少ない傾向にあります。
食パン(6枚切り1枚) 0.8g
ロールパン(1個) 0.4g
スパゲティ(乾麺、100g) 3.4g
ピザ 1.2g
ハンバーガー 1.5g
各社の成分表示やホームページから得られたデータによる
参考文献「高血圧の常識は嘘ばかり」 桑島巌 朝日新書
パンはイーストを使って食感を出すので、塩は調味目的で入れられます。
また、基本的に主菜に対する主食の位置づけですから、味もそれほど必要ないのですね。
ピザに使われているチーズも塩分の少ない食材ですし、
ハンバーガーはパンが主体なので自然と塩分が抑えられるのでしょう。
更にイギリスなどの食文化は、肉でも野菜でも素材そのものの味を楽しむ傾向にあります。
そこで、余計な味付けがされず、塩分も自然と少なくなっていると考えられます。
洋食は塩分が多いと思って和食中心を心がけていると、却って塩分過多の食生活になってしまい、
高血圧を招いてしまうのです。この点に注意が必要です。
血圧が上がりやすい時間帯がある
もともと高血圧の方は朝ご飯の和食に要注意
朝は血圧のスタートアップタイムです。
眠っていた体が覚醒して1日の活動を始めるために、
興奮をつかさどる交感神経のスイッチが入ります。
そして副腎皮質からはアドレナリン、交感神経の末端からはノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。
これらのホルモンの働きによって血管が収縮し、血圧が高くなるのです。
なのでもともと高血圧である人は朝食時に塩分を取りすぎることは要注意です。
実際脳梗塞や心筋梗塞が発症する時間帯として、朝が多いというデータがあります。
参考文献「高血圧の常識は嘘ばかり」桑島巌 朝日新書
健康のために朝はご飯に味噌汁、塩じゃけに漬物、
野菜のおひたしなど和食中心の食生活を送っている家庭もあるでしょう。
ですが塩じゃけにも漬物にも、さらにおひたしにする野菜も、
茹でるとき塩を使うのでどれをとっても塩分が多くなっています。
先に挙げたように、パンの方がかなり塩分を控えられます。
朝食にはパンを用いたほうが高血圧対策としては有効だと言えそうですね。
塩分の多いものが食べたければ夕食がおすすめ
反対に1日の終わりには、内臓は十分に覚醒した状態になっています。
そのため活発に動き消化吸収の効率も良くなっているのです。
そのため、夕食で摂取した塩分は消化、吸収がスムーズになり、尿として排出されやすくなるのです。
夕食だったら味が濃い目のものをある程度食べても大丈夫そうですね。
ただ、塩分の高いものを食べるとき、水分も多くとるのは腎臓に負担を掛けます。
「塩を多めに取ったら血中の濃度を下げるために水分を多くとる」。
これはよく言われていて実践している人も多いでしょう。
しかし、人体は恒常性という機能で体液の濃度を常に一定に保っています。
そのため、何もしなくても余計な塩分は身体の外に捨てられるのです。
塩分を取って水分も取ると、腎臓に大量の血液が送られることになります。
その時糸球体などの血管が堅くなってしまっているとどうでしょうか。
古い柔軟性のないホースにいきなり水道の水を全開にするようなものです。
血管が破れるリスクを抱えているのが良く分かりますね。
いきなり半分のプレッシャーを乗り越えて
上手に減塩する方法
和食にも利点は多いですが、減塩を実践するには漬物や佃煮などを避けて、
醤油や味噌から摂取する塩分も減らすように工夫したほうがいいでしょう。
そのため、パンなどの洋食を多めにしたり、塩分表示のしてある外食チェーン店を使うなどの方法があります。
家庭料理で1日約12gの塩分を半分に減らすための工夫はどんなことができるでしょうか。
精製されていない天然の塩を使うこと
私たちが普段使っている市販の食塩は、塩化ナトリウムが90%以上のものが多いようです。塩化ナトリウムは、塩素とナトリウムの化合物。
ナトリウムとは血管の壁を硬くしたりむくませたりする作用があり、高血圧の大敵と言えます。
これに対して海水や岩塩など天然の素材から作り、
不純物を取り除かない未精製の塩には、カリウムやマグネシウム、
カルシウムと言ったミネラルも豊富に含まれているので、ナトリウムの含有量が自然と抑えられています。
流通している天然塩の塩化ナトリウム濃度は70%程度です。
参考文献 「高血圧ならソバより牛丼」桑島巌 アスコム
これなら一般的な食塩を使うよりも体への負担を抑えられます。
肉に振りかけたりする下味用の塩には、こうした未精製の塩を使うのがおすすめです。
味噌汁にキノコをたっぷりいれてうま味をアップ
塩の使用量を抑えるもう一つの方法は、出汁のうま味や薬味の風味で物足りなさを補うことです。
おひたしを辛し和えにしたり、ごまの香りでボリューム感を出したりして醤油の量を減らします。
また、市販の塩に唐辛子、山椒、粉末からしなどの薬味をブレンドすることで、
自家製の減塩調味料が作れます。ハーブソルトなども同様な効果が望めます。
減塩醤油や減塩味噌を使うこともいいですが、
お吸い物や味噌汁に塩気が少ないと味気なく感じることもあるでしょう。
そこで、お味噌汁には野菜をたくさん入れて野菜の味で満足感を得る様にします。
特に多くとってほしいのがキノコ類。キノコはうま味成分であるグルタミン酸が豊富な上、
血圧を下げてくれる効果もあります。また食物繊維も多いので腸の働きを活発にさせたり、
キノコキトサンという成分によってダイエット効果も得られます。
健康の救世主ともいえそうですね。夜のお味噌汁やスープには、
キノコをたくさん取り入れて高血圧の予防や治療に当てましょう。
まとめ
ピザやハンバーガーの塩分の少なさにはおどろきでした。
同様にあっさりしていると思っていたうどんの塩分が高いこともあまり知られていません。
洋食は身体に悪く、和食は健康的。これは血圧に関していえば
必ずしも正しいとは言えないでしょう。特に朝食における塩分摂取には注意が必要です。
高血圧は様々な生活習慣病の要因になります。あるいは死因の一端とも言えます。
健康に長く過ごすために、食生活に対する和食と洋食の割合を見直してみてはいかがでしょうか。
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