オーガニック商品の裏に潜む過酷労働の実態。表に見えにくい労働の観点から、認証マークに囚われない見極め方を伝授します!
オーガニック商品の裏に潜む過酷労働の実態。表に見えにくい労働の観点から、認証マークに囚われない見極め方を伝授します!
このところ「オーガニック」や「有機」を謳う商品をよく見かけます。
どのような生産プロセスなのかも含め、「どれが自分の望むものか」を見極めるのは難しく感じる方も多いでしょう。
「オーガニック」には、農薬や化学肥料をできる限り使わないということだけでなく、「自然環境」や「地産地消」「人を大切にする」という意味も持ち合わせています。
一度立ち止まって周りにあるオーガニック商品を見渡すと、
「これは本当のオーガニック商品なのか?」
「人や自然にも優しいものなのか?」
という疑問とともに、
「低賃金&重労働のアンフェアな環境で働く人」
「児童労働により子どもが夢を諦めている現実」
「自然のことより自分優先で商品を売る企業」
などの実態が見えてきました。
オーガニック商品が世界中で量産される昨今、私たちが優先して考えるべきことは、表に見えにくい「労働環境」です。
はたして、認証マークのついた商品を買っただけで、私たちは自然や人を救えているのでしょうか?
今回は「労働」に焦点をあてて、労働にまつわるオーガニック認証商品の裏側と、本当に優良なオーガニック商品の見つけ方をお伝えします。
オーガニック商品の労働にまつわる認証基準とは?
農産物や加工食品、畜産物の商品などに「オーガニック」「有機」と表示ができるのは、日本の機関では有機JASマーク認証された事業者だけです。
こちらの記事も参考にしてください。
★【有機農家直筆】“有機農家”は“勇気農家”!消費者が知らない、有機JAS認証農家の実態。
認証されるまでには、長い月日と事業者さんの努力が強いられます。
農林水産省などが定めたJAS法の「有機認証制度」に基づいて、農林水産省が認可した認証機関による厳しい精査を通過して、やっと有機JASマークが扱えるようになるのです。
【有機JASマークが付けられるまで(農産物の場合)】
★前提:3年以上の農業経験や有機管理、農業記録管理がある。
①講習を受ける
②申請書を送付
③書類審査
④現地調査(基準以下であれば期限内に改善する)
⑤判定後、結果通知
→申請から約90日間
⑥その後、1年に1回再調査
参考:島根有機農業協会
★前提:3年以上の農業経験や有機管理、農業記録管理がある。
①講習を受ける
②申請書を送付
③書類審査
④現地調査(基準以下であれば期限内に改善する)
⑤判定後、結果通知
→申請から約90日間
⑥その後、1年に1回再調査
参考:島根有機農業協会
気になる有機JAS認証の基準ですが、実は労働環境は基準に入っていません。
そもそもオーガニックの象徴「有機JASマーク」に労働基準はない?!
出典:農林水産省
もともと有機JASマークは「農薬や化学肥料などの化学物質にたよらずに、自然界の力でつくられた食品」を表すマークで、労働環境は重視されていません。
農産物、加工食品、飼料、畜産物などによって規格は異なります。
詳しい基準は農林水産省の規格ページで見られますが、例えば「農産物の規格」をカンタンにまとめると、
◆植え付けや収穫の2〜3年以上前から、基準の化学肥料や農薬を使用しない
◆遺伝子組み換え種苗は使用しない
◆禁止農薬以外の農薬が周囲に飛散しないようにする
などが書かれています。
農薬や化学肥料をできる限り使わずに、農作物を作ることが主な指標です。
「オーガニック食品を買えば、働く人にも優しい」
というオーガニックの根本にある考えは、実質的には有機JASマーク自体に付与されていないことが分かります。
オーガニックと労働の関係
上でお伝えしたとおり「有機JASマークには労働基準がない」。
ですが、汗水流して厳しい認証取得を目指す事業者さんの努力は素晴らしいものです。
意志をもって厳しい審査のために尽力して、やっと手に入れたオーガニック認証。
努力の結晶であるオーガニック商品を、作る側・売る側の人たちが過酷労働により苦しみながら扱っているとしたら、頑張って認証を得た事業者さんに失礼だと思いませんか?
まさに努力が水の泡・・・です。
そもそもオーガニックとは、健康や安全性のためだけではありません。
・化学物質を避けることで土や水の汚染を守る環境保護、
・農地開拓や自然搾取を防ぎながら動植物を守り自然とともに生きること、
・地産地消による地域活性化、
・児童労働の禁止など人に優しい社会、
自然のままの食物連鎖を通して、
自然環境や生き物、そして人が、豊かに共生できるものがオーガニックです。
「人を大切にする社会」という意味もあるオーガニック。
世に出回る数多くのオーガニック認証商品は、本当にオーガニックと呼べるのでしょうか。
実は、オーガニックなどの認証商品を扱う多くの企業で、過酷労働があらわになっています。
オーガニック商品のために過酷労働が課されている?
大手オーガニックスーパーの圧力によるアンフェアな労働環境や、認証マーク付き有名クッキーの裏に児童労働があるという事例を紹介します。有名オーガニックスーパーの過酷労働
アメリカの有名オーガニックスーパーでは「従業員が怖くて声を上げられない状況」が問題視されました。*1
・従業員より会社オーナーのための運営。
・多くのリーダーが人種差別をする。
・数年前まで刑務所労働を行い、1時間に約10円の低賃金を課していた。
・有機食品のスペースを減らし、大量の砂糖や油が含まれる商品を多く置いた。
・農場組織委員会は「このスーパーに作物を供給する農場で、虐待・無賃金・脅しなどの規約違反をした」とした。
など
・多くのリーダーが人種差別をする。
・数年前まで刑務所労働を行い、1時間に約10円の低賃金を課していた。
・有機食品のスペースを減らし、大量の砂糖や油が含まれる商品を多く置いた。
・農場組織委員会は「このスーパーに作物を供給する農場で、虐待・無賃金・脅しなどの規約違反をした」とした。
など
このスーパーの企業理念とは、
「最高品質の自然食品と有機食品を販売しています」
「供給者とWin-Winな関係を実践しています」
というものですが、明らかに相反していますね。
各企業それぞれの理念はホームページなどでよく見ます。
筆者も小売店や都内ホテルなど、サービス業での勤務経験がありますが、実際には理念が叶っていない現状がしばしば。
企業ホームページの理念を見るだけでは、”本当の”オーガニック商品を扱っているかは見極めが難しそうです。
*1 Street roots
オーガニック認証マークの裏には、子どもの夢を奪う事実
「サスティナブル認証」という言葉と「緑の木のロゴマーク」が表示されていたアメリカのクッキーは、実は遠くの地に住む子どもたちの夢を奪う過酷労働を課していました。*2
そのクッキーにはパーム油が使われ、「混合」という文字とともに表示されていました。
つまり、過酷労働や自然搾取によってつくられる油もミックスされていたのです。(実際にはサスティナブルな油はわずか1パーセントだったそう。)
【パーム油農園による児童労働の実態】
・パーム油農園で働く親を助けるために、子どもが働かざるを得ない負のサイクル。
・100年間、貧困の悪循環により、パーム油農園で働くことしか知らない人がいる。
・小学5年生の男の子:「私だけを働かせて父を助けて」「兄弟は学校に戻ってほしい」
・医者を夢見ていた小学4年生の女の子は、親を助けるために夢を諦めた。
・監査員が来たときは、隠れるか家にいるように指示され、外からは劣悪環境が見えない。
・1日12時間働き、手袋なしでトゲが手を血まみれにし、サソリが指を刺す。
・パーム油農園が拡大することは、熱帯雨林の破壊や、オランウータンなどの絶滅危惧種の命を落とすことにつながる。
・パーム油農園で働く親を助けるために、子どもが働かざるを得ない負のサイクル。
・100年間、貧困の悪循環により、パーム油農園で働くことしか知らない人がいる。
・小学5年生の男の子:「私だけを働かせて父を助けて」「兄弟は学校に戻ってほしい」
・医者を夢見ていた小学4年生の女の子は、親を助けるために夢を諦めた。
・監査員が来たときは、隠れるか家にいるように指示され、外からは劣悪環境が見えない。
・1日12時間働き、手袋なしでトゲが手を血まみれにし、サソリが指を刺す。
・パーム油農園が拡大することは、熱帯雨林の破壊や、オランウータンなどの絶滅危惧種の命を落とすことにつながる。
この現状に気づいたアメリカに住む14歳の女の子は、企業のトップに手紙を送り、クッキーのパーム油がどうやって供給されているか回答を求めましたが、回答はありませんでした。
原材料名の表記に目がいくことが増えた今、「サスティナブルな」という表記をする商品も多くあります。
しかし、その表記は何がサスティナブルなのか曖昧。
環境を無視し、低賃金で人が雇われている可能性も少なからずあるのです。
もはや「オーガニック」「フェアトレード」「サスティナブル」という表記だけでは、正しく商品選びが難しい段階になっているように思えます。
14歳の彼女はこう言います。
このクッキーは多くの人を欺きます。
私はこれについて何もできない小さな女の子ではありません。
子どもたちは世界を変えることができます。そして私はやり遂げます。
これはアメリカの話ですが、もちろん輸入大国である日本も出所地点は同じでしょう。
日本でもインドネシアやマレーシアなど南アジアを中心とする、発展途上国でつくられた原料を使う商品は多いのではないでしょうか。
逆に、農薬や化学肥料、そして労働環境にも配慮しているけれど、有機JASマークを取得しない事業者さんもいるかもしれません。
責任をもって購入しようとしても、マークまでも完全に信用することが難しいとすれば、どうやって見極めればいいのでしょうか?
その方法を次にご提案します。
*2 AP通信
労働の観点から、本当に優良なオーガニック商品の見つけ方
マークで商品を見分けるのはとても簡単ですが、人にも自然にも優しい”本当の”オーガニック商品を見つけるのは比較的面倒です。しかし、マークの付いた商品を買うだけでは自然や人を救えるとは到底言えません。
手間をかけて見分ける価値のある、優良なオーガニック商品を見つけるための3つの方法をご紹介します。
①販売会社のホームページを見る
どんな販売会社が商品を扱っているのか、買う商品の生産会社や流通会社の公式ホームページやSNSなどで確認するのは今や基本のことでしょう。
【ホームページを見る時にチェックする例】
・どんな思いをもってオーガニック商品を扱っているのか?
・どんな取り組みをしているか?
・生産者まで紹介をしているか?
・どんな思いをもってオーガニック商品を扱っているのか?
・どんな取り組みをしているか?
・生産者まで紹介をしているか?
「生産から流通、販売まで、どんな人たちの手によって商品が今ここにあるのか」を公開している商品は信頼を置きやすいでしょう。
つまりは、トレーサビリティを掲示している会社です。
そして生産者・流通業者・販売者などがわかったら、次はその会社のホームページを確認していきます。
「原材料の生産者までを追う」(チョコならカカオの生産者まで追う)と、全体的に優良か否かわかってきます。
しかし、商品によっては生産者までトレースできないものが多いのが課題。
また、先述したようにホームページを見るだけでは社内の労働環境まで分かりにくいのが現状です。
②会社に問い合わせるクセをつける
先ほどお伝えした14歳の少女のように、オーガニック商品を扱う会社に直接問い合わせることも、優良商品を見つけるヒントになります。
【問合わせの例】
・商品はどのような供給プロセスで販売されるのか?
・原材料にある〇〇はどのような環境で作られているのか?
・原産国の労働者は、どんな人たちか?
・トレーサビリティは公開しているか?
・商品はどのような供給プロセスで販売されるのか?
・原材料にある〇〇はどのような環境で作られているのか?
・原産国の労働者は、どんな人たちか?
・トレーサビリティは公開しているか?
問い合わせ方法としては、
◆会社のホームページにあるお問い合わせフォームやSNS
◆電話
◆手紙を書く
などがあります。
回答をくれない会社もあると予想されますが、声をあげない限りは煙も立ちません。
商品の供給過程を友人や家族と気楽に話し合ったり、SNSにシェアしたり、人につなげていくことで、1人ではどうにもならないことが大きくなって会社を動かすこともあるでしょう。
私たちが会社に意見を伝え続けるクセをつけることは、本当に優良なオーガニック商品を増やすことに確実につながります。
③会社で働く人の口コミを見る
オーガニック商品の生産・流通・販売などを行う会社で実際に働く人の声や顔を見ることも、良い判断基準になります。
【働く人の声や顔を見る例】
・インターネットやSNSで労働者の口コミを検索する。
(検索ワードの例:会社名 労働者 口コミ)
・店舗に赴いて、働く店員や雰囲気がキラキラしているか観察する。
・インターネットやSNSで労働者の口コミを検索する。
(検索ワードの例:会社名 労働者 口コミ)
・店舗に赴いて、働く店員や雰囲気がキラキラしているか観察する。
たとえ商品に認証マークが付いていたとしても、生産以外の場所で自然搾取や労働搾取が行われていたとしたら?
声を大にして、マークを取得するために尽力した生産者さんに失礼極まりないと思いませんか?
実際に労働者による口コミを見ると、良いことが書かれていないことが多いです。
労働面の口コミでは、良いことが書かれていないのが普通かもしれません。
評価の星の数ではなく、大切なのは口コミの「内容」です。
ホームページを見るだけでは分からない裏側を、嘘か誠かは分かりませんが、少なくとも知ることができます。
口コミ内容を見た後にすると良いのは、人と話してみたり会社に問い合わせたりなどのアウトプット。
会社の一員ではないけれど「商品ファンの1人としてできることはないか?」とより良い方法を探してみると、楽しくなりそうです。
ネガティブな口コミは見たくないのが常道ですが、「知ること」は、より自分にあった選択ができるようになるコツです。
自分の目で確かめながら、みんなで本当にオーガニックでフェアな働き方を支持しませんか?
今回は「オーガニック商品の労働環境」に焦点をあてて、お伝えしました。
オーガニック認証商品を買うことで、
「私は健康・人・自然に優しいものを買い、社会貢献をしている。」
と思っていても、その背景にはアンフェアな低賃金・重労働や、児童労働が隠れているかもしれません。
有機JASマークの多くは、事業者さんや生産者さんが取得します。
厳しい審査を乗り越えてきた大切なオーガニック認証商品を、他の供給プロセスの場で劣悪な労働環境のもと扱っていたとしたら・・・生産者さんたちはどう思うのでしょうか。
あまり外に見えにくい労働環境だからこそ、私たちが知るべきことはたくさんあります。
『どんな原料が使われ、どのような人がどのようなプロセスで生産・流通・販売をしているのか』を自分で調べるクセをもつことが大切ではないでしょうか。
そして、実情を知ったあとは「自分にできることは?」も忘れずに考えてみましょう。
たくさんのオーガニック商品がある中で、ご自身が望むものと出会えますように。
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