玄米が全ての人にメリットがあるわけではない理由|玄米を取り入れる時に注意したい3つのポイント
体に良いとされる玄米食。
本当にそれは「すべての人の体に良い」のでしょうか?
毎日玄米を食べていたら、健康になるのでしょうか?
実は玄米食を取り入れる時に気をつけたほうが良いポイントがあります。
ではそれはどういうことなのでしょう。
人の体質は千差万別、自分に合った食生活が、
自分らしい健康な身体を作っていくのだと思います。
今回は、玄米食の特徴とメリット、デメリット、
そこから見えてくる取り入れ方についてご紹介します!
健康に良さそうなイメージの玄米。
その栄養や特徴とは?
豊富な食物繊維
玄米には不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維とは、水に溶けず小腸で吸収されません。
水には溶けませんが水分を多く抱え込み膨張し、
便の量を増やして腸の動き(ぜん動運動)を活発にして
食べ物が腸を通過する時間を短くします。
デトックスに有用性の高いフィチン酸
玄米などのイネ科の種子にはフィチン酸という成分が含まれており、この成分が身体の中の不要なものを吸着して体外に排出するデトックスに
関与していると言われています。
これは、フィチン酸の特徴的な構造に理由があり、
フィチン酸が多くの金属イオンと「キレート」と言われる
強力な結合をすることが知られています。
水銀などの重金属と結合して体外へ出してくれるので、
有害物質のデトックスに有用性が高いと言われています。
豊富なビタミンやミネラル
玄米には白米よりビタミンやミネラルが多く含まれているとうことを
ご存知の方は多いと思います。
ビタミンB1、B6などのビタミンB群、ビタミンE、マグネシウムなどのミネラルが
含まれていると言われています。
ビタミンB群は水溶性ビタミンで加熱に弱く水に溶けるため、
洗ったり加熱したりする過程である程度失われる可能性はもちろんあります。
ですが、全てなくなってしまう訳ではないので
玄米を積極的に食べることでこういった栄養素の補給につながるでしょう。
玄米の栄養・特徴から考えられる玄米食のメリットとは
便秘に対する影響は?
玄米食にしたらお通じの調子が良くなった、という話はよく聞かれます。
玄米のように不溶性食物繊維が豊富な食材を取ることで
改善することが期待できます。
便秘には種類があり、玄米を取ることで便秘の解消に期待できるのは
「弛緩性便秘」です。
日本人に多いと言われている便秘で、
腸が消化した食べ物を送り出す「ぜん動運動」という動きが
弱くなってしまっていることにより起こる便秘です。
一般的に、加齢や水分不足、筋力低下、食べる量が少なくなる、
食物繊維不足、内臓が下がってしまう(内臓下垂)などが原因と言われています。
腸の動きが悪く、硬くて太い、また硬いコロコロとした便が特徴です。
こういったタイプの便秘には玄米食が有効だと思われます。
玄米はデトックスだけじゃない!実はすごいぞフィチン酸!
フィチン酸には以前から抗脂肪肝作用、抗がん作用があるのではないかと盛んに研究されてきました。
2004年の段階ですでに日本栄養・食糧学会誌第58巻第3号に掲載されている
「フィチン酸の栄養的再評価」によると
我々が日常摂取しているフィチン酸レベルで抗脂肪肝作用が発揮される可能性が十分に考えられる。
と書かれています。
また、抗がん作用については
フィチン酸の抗がん作用は、肺がん、肝臓がん、皮膚がん等でも次々に確認された。はっきりとした機構につい ては明らかになっていないが、フィチン酸によるがん抑制遺伝子P53の発現増幅、DNA修復および薬物代謝酵素系のPhaseII酵素であるグルタチオンS一トランスフェラーゼ(GST、EC2.5.1.18)活性の誘導との関係性が論じられている。
と記されています。※1
現在でもさらに研究が進み、抗がん作用は期待できそうな感じですね。
玄米に含まれるγオリザノールで
脳機能改善と糖尿病予防の効果が期待できる?
琉球大学大学院の研究で、米ぬか部分に含まれるγオリザノールは
脳機能改善と糖尿病予防に良いという研究結果が発表され、
2017年に発表された総説論文
「米糠由来機能成分、γオリザノールを活用する脳機能改善・糖尿病予防のアプローチ」
のなかでこのように書かれています。※2
玄米(米糠)に含有される γ-オリザノールは、視床下部で分子シャペロンとして機能してERストレスを緩和することにより動物脂肪嗜 好を軽減し、膵ではインスリン分泌を改善しグルカゴン分 泌を軽減し、消化器では腸内フローラの乱れを是正する。 糖尿病や肥満症を予防・改善のために、日本人が古来より慣れ親しんできた玄米(米糠)に含まれる優れた機能成分を活かした新しい医療の展開を期待したい。
このように、玄米を食べることを習慣化すると
身体にとって非常に良いことのように思われます。
ですが若干のデメリットもありますので、ご紹介していこうと思います。
意外と知らない玄米食のデメリットとは?
メリットになるかどうかは個人差がある
下痢や軟便の原因になることも
玄米のメリットである、不溶性食物繊維が豊富なことが、
逆にデメリットとして働くことがあります。
それは、玄米を食べると下痢、軟便になるという声を聞くことがありあます。
胃腸が弱いという方は、特に注意が必要です。
玄米は硬くて吸水しにくいという特徴があります。
たくさん咀嚼しないと柔らかくなりません。
消化されにくいこと、不溶性食物繊維が多いことにより
お通じに影響が出てしまう可能性があるのです。
逆に便秘を招く?万能ではない不溶性食物繊維
また、「けいれん性便秘」(ストレスなどが原因でぜん動運動が乱れて
お腹がゴロゴロいうのに便が出ないタイプの便秘)の人は注意が必要です。
不溶性食物繊維をとり過ぎると逆に腸を刺激し過ぎることによって
細かなぜん動運動になってしまい、
便を送り出すための大きなぜん動運動が起こりにくくなって
コロコロとしたお通じを促進させる結果になることもあります。
「弛緩性便秘」の方でも、便秘の度合いが酷く
ぜん動運動が著しく弱くなってしまっている場合は注意が必要です。
不溶性食物繊維によって便が大きくなってしまい、
さらに長い時間腸管に留まることによって便の水分が失われ、
そこにぜん動運動という「送り出す力」の弱まりから
便秘が進んでしまう可能性もあるんです。
便秘の方は、自分がどういうタイプの便秘か
チェックしてから玄米を取り入れると良いでしょう。
ただし、先ほどご紹介したように
玄米には腸内細菌のバランスの乱れを改善する作用が確認されているので、
下痢や便秘になったとしても一過性のものかもしれません。
症状がどのくらい改善するかによって、
玄米を食べる割合を変えるなど工夫しながら取り入れると良いでしょう。
玄米のフィチン酸はとり過ぎると貧血になる?
前述のフィチン酸は、以前から貧血との関連性が示唆されています。
これは、体外に出したい重金属だけではなくて、
体にとって必要な鉄まで「キレート」を作ってしまい
体外に排出し、吸収されにくくなる可能性があるというのです。
玄米に含まれているのはフィチンという
フィチン酸がすでにミネラルと結合した形だから大丈夫という説もあるようですが、
すでにミネラルと結合しているということは、それ以上キレートを作れないことになります。
キレート内の金属が置き換わることはありますが、
現段階ではどの程度何の金属と置き換わるかなど詳しい情報はないようです。
これは金属イオンとキレートを作りやすいフィチン酸の構造上の問題です。
食べ物の体内での反応は、わかっていることはほんの一部です。
まだまだ研究は続いており、当然わかっていないこともあると思います。
仮にフィチン酸が鉄を排出してしまうとしても
玄米を食べる量や頻度にも影響があると思われますし、
鉄分を含む食べ物を普段からどの程度とっているかということもあるので、
一概に貧血になるということではありません。
もともとミネラルは微量な金属で体内に吸収されにくい性質のものなので、
玄米により排泄され吸収量が多少落ちても体に影響があるかどうかは
個人差があって当然ですね。
ですが、玄米をたくさんとっている方は
念のため健康診断の時などに鉄の値をしっかり確認しましょう。
特に妊娠中や授乳中の方は、
鉄の必要摂取量が増えている時期ですので、
検診などで貧血があったら
玄米を一旦控えてみる、という選択肢も考えてみましょう。
女性の鉄不足については、こちらの記事も参考にしてくださいね。
マクロビ・菜食の人ほど要注意!「鉄不足」が引き起こす健康問題と悪影響を及ぼす鉄サプリの実態。安全に鉄を補給する唯一の方法とは。
☆食事と一緒に効率よく鉄を摂取!世界初の「フェリチン鉄パウダー」
デメリットを考慮した、
毎日の生活で玄米の取り入れ方とは
玄米を炊くときに、水分の吸収を良くする工夫をしてみよう!
白米を炊くときのお米の研ぎ方と、玄米を炊くときの研ぎ方を同じようにしていませんか?それでは炊いた時に硬さが残ります。
オススメの研ぎ方は、
研ぐ時にグッと力を入れて玄米同士をこすり合わせるようにして研ぎ、
100回くらい繰り返します。
こうすることで、柔らかく炊くことができます。
また、精米機を使うという方法があります。
精米機のメーカーの中に「やわらか玄米」というモードがあり
玄米の外側にほんの少し傷をつけて
吸水しやすいようにできる精米機があります。
精米機だと精米の度合いを3分、5分、7分、胚芽など選ぶことも可能です。
用途に合わせて選ぶことのできるメリットは大きいでしょう。
発芽させ、発芽玄米にしてみる
発芽玄米とは、玄米を水に浸け吸水させ少しだけ発芽させた状態にして栄養価を上げ食べやすくした玄米です。
発芽させると、発芽に必要な栄養素が増し柔らかくなります。
手間はかかりますが、高い栄養素の玄米の栄養がさらにアップしますし、
柔らかく炊き上がるので硬い玄米が苦手な方には食べやすくなると思います。
玄米を発芽させてから乾燥させた商品も売られていますが、
割高なこととスーパーなどで売られている発芽玄米は無農薬でないものもあるので、
無農薬栽培の玄米を自分で発芽させるのが安心かと思われます。
10日間玄米だけをとる7号食ならどうか?
仮に玄米中のフィチン酸が鉄の吸収を妨げる可能性があったとしても、
恒常的に玄米だけをを食べ続けるのではなくて
短期間なら大きな影響になるとは考えにくいと思います。
7号食とは10日間(ないしは7日間)玄米のみを食べ、
他に口にして良いのは水やノンカフェインのお茶、梅干し、ごま塩のみ。
IN YOUでも、7号食実践の様子をお伝えしています。
デトックスにおすすめ「7号食」のやり方とは?実践後の驚きの血液検査の結果を公開!
これも体質により合う人と合わない人がいると思いますが、
やってみて体調が良くなり体重が減るなどの成果が得られるのであれば
やってみる価値は高いのではないでしょうか。
自分の健康状態を理解した上で玄米を取り入れよう
玄米については、デメリットを上回るメリットがあると思います。
取り入れ方を工夫すれば解消することもありますし、
貧血の問題も調べてみて影響がなければそれで良いのです。
ですが、筆者の知人の話で穀物は玄米と決めている、
というくらい玄米が好きでよく食べている人が
血液検査で鉄欠乏性貧血という結果が出て
玄米をやめたら鉄の値が上昇した、という話を聞きました。
もちろん玄米を食べる人全員に当てはまることではないでしょうし、
個人差があってしかるべきですが、
危険だ、いや安全だと決めつけてしまうのは少々雑な考えと思われます。
大切なのは、情報に偏りや誤りがあるかどうかではなくて、
実践した時の自分の体調にどう影響するか、です。
現在の状況把握と、ある程度理解した上で可能なら想定されるリスクを減らし
まず実践してみてから評価することが、
自分らしい健康な身体を手に入れる一番の近道です。
どれから始める?
IN YOU厳選、美味しいオーガニック玄米と関連アイテム
無農薬玄米クラッカー【3袋セット】|懐かしのポンセン風。スープや料理へのアレンジ自在!玄米の栄養を手軽に摂取でき、子どものおやつや手軽なキャンプ料理もぴったり!
¥ 1,389 (税抜)
こちらの記事もおすすめです!
玄米の効果は健康に良いだけではなかった!私たちが自然栽培の玄米を選ぶべき本当の理由玄米初心者も簡単。酵素玄米粉の使い方と効果とは?
簡単!オーガニック玄米タピオカミルクティーの作り方〜 IN YOU Marketで出会ったオーガニックな世界vol.21〜
(参考)
※1:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/58/3/58_3_151/_pdf/-char/ja
※2:http://www.toukastress.jp/webj/article/2017/GS17-05J.pdf
この記事が気に入ったら
いいね!しよう