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あなたは五臓のうちどれが疲れている?鍼・灸師が 教える東洋医学の五臓六腑診断。

加藤資
18歳の時に難病を発症。あらゆる民間の治療法や健康食品を試すも症状は一向に良くならず。自分で治す方法を模索する為に鍼灸師を志す。自力で難病を克服。 2011年、国家資格はり師・きゅう師免許取得。 鍼灸接骨院にて二年働く。末期ガン患者や脳卒中後の後遺症患者を担当。 その後、独立開業。



東洋医学には、経絡経穴や五臓六腑など独自の概念があります。
それらは昔の人達が考えた体の観方であり、今の医学体系とは異なる部分も多く、
一見とっつきにくく感じるかもしれません。

東洋医学を現代科学と照らし合わせると、
ほとんどが「古代人の妄想」として片付けられてしまうことでしょう。

しかし、日常を健康に過ごすためのヒントやアイデアとして考えると、
このまま捨て去るには惜しいものがあります。
たとえ、漢方や鍼灸に馴染みがなくても、覚えておいて損はありません。

今回は、東洋医学的な身体観を支える五臓について解説します。
あなたが自分の体について知る、一助になれば幸いです。

五臓って何?



五臓というのは、肝・心・脾・肺・腎と呼ばれる、人の体に備わったシステムのことを指して言います。

これは、西洋医学の肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓と必ずしもイコールではありません。
(だから東洋医学で「肝を病んでいる」と言われた場合でも、肝臓病という訳ではありません)

この五臓は内臓としての生理学的な働きをするほか、
人間が人間として生きていくための、根本的なものを宿す”器”でもあります。

・肝は魂を宿す
・心は神を宿す
・脾は意を宿す
・肺は魄を宿す
・腎は志を宿す


このように、臓器自体が精神的な領域にも絡んでいることも一つの特徴です。

特定の臓器の変調は、正常な人間生活や日々の活動にも影響を及ぼす、と考えていく。
ここが東洋医学の五臓論が西洋医学と大きく異なる部分となっています。

何で東洋医学と西洋医学の五臓の名前は同じなの?



なぜ、働きや考え方が異なる東洋医学の五臓六腑観と、
西洋医学の五臓六腑の呼び名が同じなのかと言うと、
それは教科書でお馴染みの人物と深い関わりがあります。

東洋医学は5〜6世紀ごろに中国より日本に伝わってきました。
日本に伝わってきた時点で、もうすでに五臓六腑の概念は確立されています。
対して、いわゆる西洋医学は1543年、種子島に鉄砲伝来と共にやってきた、と歴史が伝えている通りです。

東洋医学でも腑分け(解剖)は昔から行われていましたが、
どちらかというと、実際に見た物を東洋哲学に擦り合わせる側面が強く、
対象を精緻に観察・描写していく技法は、西洋医学に一日の長があります。

そのため1770年頃、日本に輸入された、
ドイツ人医師・クルムスの解剖学書のオランダ語訳『ターヘル・アナトミヤ』が与えた衝撃は大きかったようです。

そして、江戸時代の蘭学医者・杉田玄白が、『ターヘル・アナトミア』を『解体新書』として翻訳する際に、
今回のような混乱が生まれました。

元々、漢方や鍼灸で用いられていた東洋医学言語を英語の内臓の訳に当てはめた為、
働きや考え方が違うのに、西洋医学も東洋医学も同じ内臓名を使わざるを得なくなってしまったのです。

東西医学の逆転

明治維新後、政府は西洋医学を正式に国の標準医療とすることに決め、
東洋医学(漢方医学)は、歴史の舞台から下ろされていくことになります。

それは必ずしも西洋医学の方が、東洋医学よりも優れていたから、という訳ではありません。
西洋諸国との戦争の時代に突入していく過程で、外科的な処置をはじめ、
救急医学的側面の強い西洋医学が、国策として都合が良かったためです。
(さすがに、腕がちぎれ飛んだら、漢方薬を飲んでる場合ではありませんものね)

またもう一つの理由として、西洋医学の方が画一的な内科的処置がしやすい、ということもあります。
(東洋医学の場合、どうしても個人の技量に左右されてしまう側面が存在しますので…)

五臓の働き



さて、歴史の話はこの辺にして、いよいよ東洋医学における五臓の働きについて学んでいきましょう。

肝の働き

肝は血を蓄えていて、体の血液量調整を司り、気血を巡らせる働きを持っています。

心の働き

心は精神の安定を司り、血液を全身に送り出す働きをしています。

脾の働き

脾は胃とともに消化吸収を行い、生きるために必要な栄養を生み出しています。
手足への栄養供給も脾の働きの一つです。

肺の働き

肺は呼吸を行う働きを司っています。
また、水分の調整や外からやってくる細菌・ウイルスなどから体全体のバリアする役割があります。

腎の働き

腎は膀胱とともに泌尿器系を司ります。
しかし、東洋医学における腎の役割はそれだけではありません。
体の根源的な元気、つまり生まれつき持っている生きる力をも宿しています。

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あなたは五臓のどれが疲れてる?五臓の疲労チェックリスト



では実際に、チェックリストを見ながら、あなたは五臓のどこが疲れているのか考えていきましょう。

肝の疲れ

イライラしている
最近、怒りっぽい
目が疲れる
不眠
貧血気味
爪のトラブル

心の疲れ

循環器系のトラブル
味覚の異常
舌が荒れる・腫れる
精神的なトラブル
失神

脾の疲れ

消化器系のトラブル
体がだるくて重い
むくみが強い
唇や口腔粘膜のデキモノやトラブル
不正出血

肺の疲れ

皮膚の乾燥・カサつきやすい
鼻の疾患
気分が落ち込みやすい
憂鬱

腎の疲れ

老化に伴う諸症状
骨や歯が弱ってきている
耳の聞こえが悪い
おしっこが近い
腰痛
虚弱体質

五臓を養う食べ物

あなたは五臓のうちの、どの臓器が疲れていましたか?
五臓はそれぞれ五行色体表と絡んだ味を持っています。このため特定の味を摂取することで、特定の臓器に栄養を与えることが出来ます。

・肝=酸味
・心=苦味
・脾=甘味
・肺=辛味
・腎=鹹味(塩辛い)

肝を養う食べ物



肝を養うためには酸っぱいものが効果的です。
例えば、梅・レモン・お酢など。
酸っぱさで体をキュッと引き締めるものを選びましょう。

心を養う食べ物



心を養うためには苦味のあるものが効果的です。
例えば、ゴーヤ(ニガウリ)・セロリ・春の山菜など。
少しエグ味のある食べ物を選びましょう。

脾を養う食べ物



脾を養うためには甘いものが効果的です。
例えば、フルーツ・もち米・はちみつなど。
甘いものを選ぶ際は、白砂糖などは避け、なるべく精製されてない砂糖を選びましょう。

肺を養う食べ物



肺を養うためには辛いものが効果的です。
例えば、ネギ・生姜・ニンニク・香辛料など。
皮膚の毛穴が開き、汗を出すようなものを選びましょう。

腎を養う食べ物



腎を養うためにはしょっぱいものが効果的です。
例えば、塩・醤油・海苔など。
塩を使う場合も、食卓塩のようなナトリウム塩を避け、天然のニガリを含んだ天然塩や岩塩を選びましょう。

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もちろん、適量があります!


「過ぎたるは及ばざるが如し」と言いますが、逆に摂り過ぎればその臓器にダメージを与えてしまいます。
例えば、酸っぱい食べ物は疲れた肝を癒しますが、
体の許容範囲を超えて、酸味のあるものを摂取し続けると、肝を傷(や)ぶります。
(傷ぶる、というのはその臓器にダメージを与えるという意味です)

どちらかというと、現代は飽食の時代ですので、
不正出血がある→脾の疲れ→「甘いものを摂ろう」
と考えるのではなく、
不正出血がある→脾の疲れ→「最近、甘いものを摂り過ぎてないか?」
とチェックしてみることが大切です。

そう言われてしまうと、ちょっと心配になってしまいますよね。
でも、大丈夫。
「なんだか酸っぱいものが食べたいな」とか、「今日は塩分が欲しい気がする」
という体からの声に正直に生きていれば、不安はありません。

東洋医学は陰陽論なので、絶対的な正解はなく、その都度の状況に応じて対応の変わる相対的なものです。
美味しいと思える量を適量摂取していれば、心配することはありません。


五臓のツボ



これは鍼灸に限った話ですが、五臓にダイレクトにアプローチできるツボというのも存在します。
それは手足と胸腹部・背中にあります。

手足の肘・膝より先には、五臓に直接、影響を与えられるツボというものが存在します。
これは古代中国で皇帝など偉い身分の人に鍼灸を施す際に、
おいそれと背中やお腹を触ることが出来ないために考案されたと考えられています。

また、胸やお腹に五臓の気を集めるツボがあり、背中には五臓の名前を冠したツボが配置されています。
「イマイチ調子が優れない…」といった時に、特定の臓器の名が冠されたツボに鍼やお灸をすることで、
ダイレクトにその臓器に影響を与えることが出来る、と考えられています。

東洋医学の五臓を覚えて健康に過ごそう



東洋医学の五臓観は西洋医学と似ている部分もあれば、
全く異なる働きを想定していることもあることが、少しお分かり頂けましたでしょうか?

東洋医学には、日常を健康に生きるための、ちょっとした知恵がたくさん残されています。
西洋医学に比べると、少し古くさいと感じることもあるかもしれませんが、
日常のちょっとした体のケアには、もってこいの医療体系となっています。

是非あなたも、いにしえの知恵を使って、健康に毎日を過ごしてくださいね。

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