「脳の栄養」か「白い悪魔」か!?ペットボトル500mlに60g、缶コーヒーに12gも含まれる砂糖の害
日常生活の中で、意識はしなくても毎日摂っている定番的な調味料の一つである「砂糖」。
私の住んでいる地域では戦時前後の時代、
貴重な調味料だったのでご馳走やお祝い料理にはたっぷりのお砂糖を使う風習があり
今でもご年配の方が持ち寄るお料理には、
非常に甘い味付けがされている事も少なくありません。
ただ現役世代の多くの方は、
小さい頃から親に「虫歯になるぞ~」と脅かされたり、
「ダイエットの敵」、「糖尿病の元」という健康に良くないという認識を
持っている方も多いでしょう。
その負のイメージを払拭させようと、一昔前「砂糖は脳の栄養」というようなキャッチフレーズで
テレビCMが流れていたのを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これだけ身近にある調味料だからこそ、その良さと悪さは
常識的に知っていると思われているかもしれません。
しかし、一般的に伝えられている砂糖が体に及ぼす影響というのは
一部にしかすぎません。
さて、あなたは砂糖の恐ろしさをどこまで知っていますか?
砂糖の体内代謝
『インスリン』で細胞に吸収
口から入った砂糖は消化器官を通過していく中でその多くは、ブドウ糖など糖の最小単位である「単糖類」に変化し腸から血管内へと吸収されます。
血液内に糖が入ると上がる数値、これを血糖値といいますが、
それとセットでよく耳にするのが「インスリン」というホルモン。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖を細胞内に吸収させるはたらきを持っています。
ただすべての糖が、インスリンによって吸収されるわけではありません。
血液内に余ってしまった糖は、中性脂肪となって蓄えられたり、
酸化してしまい乳酸、焦性ブドウ糖となったり、そのまま尿として排泄される場合もあります。
『ビタミンB1』を消費してエネルギーをつくる
人が生きていくためのエネルギーの多くは、食べ物から得た糖からつくり出しています。
細胞に吸収された糖は、細胞質内とミトコンドリア内の2つの方法で
エネルギーに変換されます。
その方法の一つ、ミトコンドリア内ではクエン酸回路というシステムでエネルギーをつくっています。
運動をされる方ならクエン酸サイクル、という言葉の方が聞き慣れているかもしれません。
クエン酸回路でエネルギーをつくる時に酸素が消費されることは有名ですが、
実は栄養素である「ビタミンB1」も消費されているのです。
こうして糖は、様々な物質を消費しつくり出されたエネルギーであるATPとなって消費されます。
『カルシウム』で摂り過ぎの弊害から体を守る
インスリンが正常に分泌されない、つまりは糖尿病の場合や、大量の糖を摂取すると血液の中で糖が余ってしまい、すべての糖が細胞内に吸収されてエネルギーになるわけではありません。
先にも書いた通り、中性脂肪となって蓄えられたり、酸化物となったり、尿として排泄されたりします。
その中でも酸化した物質の処理には、多くの「カルシウム」が消費されているのです!
健康な時体内は、弱アルカリ性に保たれています。
しかし酸化物が増えれば体内環境も酸性に傾いてしまい、いわゆるサビた状態になってしまいます。
そこで登場するのがカルシウム!
カルシウムのアルカリ性によって、酸性に傾いた体内を中和し健康な状態へと戻してくれているのです。
アレルギーも。砂糖の摂り過ぎで起きる体の以上
カルシウム不足は、骨を弱くするだけじゃない!
「お菓子を食べ過ぎると骨がとけちゃうぞ」とお菓子ばかり食べている子どもに、こうお説教をしている親御さんを今でもたまに見かけます。
前述の通り、砂糖の摂り過ぎはカルシウム不足を招く可能性があるので、
このお説教もあながち間違いではありません。
ただカルシウムが不足することで起きるのは、骨の問題ばかりではないのです。
骨髄の委縮による造血能力の低下
消炎作用の低下
上記の2点から、免疫異常や様々な病気につながるリスクが高まる
筋肉の運動不全(内臓を構成する平滑筋も含む)
中枢神経コントロールの低下
小難しく書いてしまいましたが、つまりは
血が上手くつくれず免疫機能が低下して病気になりやすくなる、
カルシウムには消炎作用もあるため
病気などで炎症が起きた時に自分の力で炎症を抑える力が低下する、
アレルギー反応も起きやすくなる、
筋肉が上手く動かなくなる、
→内臓も筋肉でできているので骨格筋より動きの弱い臓器は特に影響しやすい
(視力低下、消化器官の蠕動運動の低下からくる便秘、子宮のはたらきの低下など)
イライラしやすくなる、
ということにつながる可能性があるという事です。
妊娠中は特に注意!
また「妊娠時」にカルシウム不足になると、子宮のはたらきが低下することで
羊膜出血のリスクが高まり胎児の奇形も懸念されます。
その他にも妊娠中毒症、胎児も元々カルシウム不足で生まれてしまう、
出産時胎児の体が脆いため事故につながりやすい、
などのリスクも高まるので特に注意が必要になります!
糖はがん細胞の大好物
日本人の死亡原因第一位は「がん」。一生のうち二人に一人はがんに罹ると言われ、国民病と言っても過言ではなくなってきました。
ですので、がんに対しての知識を持つ方も増えており、
正常細胞よりがん細胞は多くの栄養を必要とすることはご存知の方も多いかと思います。
では実際に正常な細胞に比べてどのくらいかというと、糖の消費量はなんと3~8倍!
またがん細胞は健康な人の体内でも、毎日約3000~5000個は発生しているといわれています。
発生してもすぐにがんにならないのは、免疫細胞のはたらきでちゃんと駆除されているから。
さて、砂糖の過剰摂取によりカルシウム不足から免疫機能の低下が起こることは、前述の通りです。
そしてがん細胞は糖が大好物です。
つまり砂糖を取り過ぎるということは、がん細胞の住みやすい環境づくりを手伝っている、
ということになるのです!
その他にも、動物への「濃厚ブドウ糖溶液を反復皮下注射する」という実験において、
内腫の発生や前癌病変を起こすことも分かっているそうです。
体だけでなく心も病ませる
前述している「インスリン」「ビタミンB1」「カルシウム」はすべて、
正常値でないと心的症状も引き起こす可能性があります。
インスリンの大量放出で「精神不安定」
砂糖の過剰摂取は、摂取した砂糖を処理するのに必要な量以上に
インスリンを過剰に分泌させてしまう恐れがあります。
すると血液内の糖は必要以上に細胞に取り込まれてしまい、「低血糖」を起こしてしまいます。
低血糖の主な症状には、めまい、震え、吐気、頭痛、思考力の低下、不安感、
重度になると意識障害、など様々あります。
血糖値が下がると体内では、自分の力で血糖値を上げようとするためにアドレナリンが分泌されます。
アドレナリンといえば、興奮状態になった人のことを「アドレナリン出まくってるね!」と
表現することもあるくらい精神状態に深く関わるホルモンです。
交感神経のはたらきが高まり、攻撃的になったりイライラを助長してしまったりもする作用があります。
低血糖時の不安感 + アドレナリンによる興奮作用 = 精神不安定
ということになります。
ビタミンB1の欠乏で「集中力の低下」
エネルギーをつくる時に消費されるビタミンB1は、欠乏すればもちろんエネルギー不足になります。
体を動かすだけでなく、脳がはたらくためにもエネルギーは不可欠です。
エネルギー不足は、脳の中枢神経から末梢神経のコントロールができなく状態を引き起こし、
集中力の低下やイライラの原因にもなります。
また会話の理解力や記憶力の低下、連続する作業ができない、なども懸念されます。
カルシウムの欠乏で「イライラ」
カルシウム不足はイライラの原因、というのは有名な話です。
これはカルシウムに中枢神経の興奮を鎮静する作用と、抗痙攣作用が
あるためといわれています。
まだまだある!体への影響
胃腸のはたらきの抑制
胃には「糖反射」という反応があり、
糖を摂取してから3~10数分間蠕動運動が弱まってしまい、敏感な人では停止するそうです。
ダイエット方法の一つに食前にアメを舐める、という方法を聞いたことはありませんか?
あれは血糖値を上げて満腹になりやすくする効果の他に、
そもそも胃腸のはたらきを低下させている作用もあるのです。
ただ、これは食物の消化、吸収、排泄に異常をきたす可能性があり、
決しておすすめの方法ではありませんのでご注意ください!
血栓の発生
砂糖の成分、蔗糖が消化器官を通る中で単糖類に変化できなかった場合、
そのままの形で血管内に吸収されることがあります。
蔗糖は血小板の粘着度を強めるはたらきがあり、「血栓」をつくりやすい状態にしてしまいます。
血栓は血管を詰まらせる原因物質ですので、
脳で詰まれば脳梗塞、心臓で詰まれば心筋梗塞を引き起こします!
砂糖とうまく付き合っていく方法
絶対量を減らす!
そんなに砂糖は摂っていないし、自分には関係ないと思っていませんか。人が一日に体内で処理できる砂糖の量は、個人差はありますがおおよそ大さじ3杯分といわれています。
上白糖のグラム換算で27gです。
世界保健機関(WHO)でも、平均的な成人なら約25gと摂取量についてガイドラインを出しています。
500mlペットボトルのジュースには種類にもよりますが、
1本あたり30~60gの砂糖が当たり前のように使用されています!
あの小さな190ml缶コーヒー1本あたりでさえ、
12~3gは使用されています。
でも私たちの食生活は、飲み物ばかりではありません。
スイーツブームの昨今、デザートや間食で甘いものを食べる人は、女性ばかりではありません。
お料理をする方なら、煮物をつくる時にどのくらいの砂糖を使用するか実感でご存知かと思います。
一般家庭でつくる場合ひと鍋に大さじ3杯くらいが一般的ですが
それ以外の糖分としてみりんを入れることがほとんどです。
またスーパーなどで売られているお惣菜は、家庭でつくるより濃いめになってることが多いようです。
パンを主食にしている方、ジャムをつけなくてもパンの原材料に砂糖が含まれています。
砂糖が使用されているものを挙げ出したらキリがありません。
いかに日々の生活で砂糖を摂っていたかを認識することが、絶対量を減らす第一歩になります。
食べるタイミングを変える
それでもまったく砂糖を使用したを飲食せずにいるのは難しいですよね。
そんな時は、吸収率を下げる方法を取り入れてみましょう!
食物繊維や炭水化物を取った後に砂糖を使用した食べ物を摂ることで、
吸収率を下げることができます。
つまりは、デザートのタイミングがベストということになります。
料理には含蜜等糖を使う
砂糖は甘みをつける以外にも、コクや風味を深めるため様々な料理で使用します。
まったく使用しないで出来れば一番ですが、それでも使用したい時は「含蜜糖」を使用してみましょう。
砂糖には蔗糖の成分だけを精製したものと、
材料に含まれるミネラル成分も含まれているものがあり、
後者の砂糖が含蜜糖です。
含蜜糖は少ない量でも味や風味を豊かにしコクが出せるので、使用料を減らすことができるでしょう。
スーパーでも手軽に買えるものにてんさい糖や黒糖があります。
ここで注意が必要なのは、砂糖の色です。
茶色いから含蜜糖かというと、これは大きな誤解です。
三温糖は砂糖の中でもメジャーなもので、色は茶色ですが含蜜糖ではありません。
色での判断は絶対にやめましょう!
砂糖はたしかに摂り過ぎれば害になりますが、甘いものは食べるだけで幸せになったり、
お祝いを彩り幸せを盛り上げてくれるスイーツの重要な材料でもあります。
砂糖を単なる「白い悪魔」にしないようにするには、一人ひとりの心がけ次第!
幸せなひと時を過ごせるよう、上手に付き合っていきましょう。
出典:『白砂糖の害は恐ろしい―これを防ぐために』甲田光雄
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