2019/01/04

コンブチャが腸内フローラにはいいのは事実。でも安易にダイエット目的で飲むべきでない理由。

zeze

薬膳料理人(調理師) 食養研究家飢餓撲滅運動家精神発達ピアカウンセラー２級ヘルパー社会福祉法人直営の薬膳料理店にシェフとして勤務。法人内では調理の他にも禅や行動療法、食養などに軸足を置いて奮闘中。ちゃんとしたものをちゃんと口から食べることで心身は整う、という信念で厨房に立っています。食べ物を選ぶ自由すらない人々を飢餓から解放するため目の前から出来ることを常に模索する毎日です。

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腸内フローラにはいいけど、コンブチャをダイエットに使うのはちょっと待った！

明けましておめでとうございます。薬膳料理人のzezeです。
年が明け、平成最後の年になりました。
時代を感じる今日このごろですが、まだ昭和のころの祖母を思いだしました。

出典：コンブ茶がブームに　「紅茶キノコ」、健康志向にマッチ　
https://www.nikkei.com/article/DGKDZO37877620Z00C12A1M11500/

母の実家で、漬物などが趣味だった祖母が、紅茶キノコという発酵飲料を作っていたのです。
紅茶か緑茶に砂糖を入れて、常温発酵させる。
ぷよぷよしたセルロースゲルが浮いて発泡して来たらOK。

作り方はこのような感じでしたが、祖母以外はあまり興味を持たなかった覚えがあります。

判りにくいかもしれませんので、現代風に書き換えましょう(笑)
IN YOU読者のみなさまはご存知とも思いますが、
この紅茶キノコとはコンブチャのことです。

アラフォーの私もまだ生まれる前、昭和40年代の健康ブームの中で、一世を風靡した紅茶キノコ。
モンゴル高原由来で、シベリアでも愛飲された歴史を持つと言われます。

日本でのブームが去ったあと、欧米で着目され、
コンブチャという名前でセレブの間で話題になったそうです。
欧米で商品化されたものは、
マンゴーなどのさまざまなフレーバーや、栄養分が加えられていて、飲みやすくなっています。

そこから、平成25年頃から逆輸入のような形でじわじわと人気が上がってきました。

ちなみにコンブチャという名称の由来を調べてみたのですが、はっきりしたことは不明でした。

韓国からアメリカに伝わって韓国語のKOM(菌)からという説、
日本から伝わって特徴的なセルロースゲルを海藻(昆布)由来と勘違いした学者がいた説、など様々です。

ひとつだけ言えるのは、勘違いがどこかで起こったらしいこと(笑)
とても面白いですね。

そしてこのコンブチャが最近、私にとっては不思議な紹介の仕方がされています。
ただ飲むだけでダイエットできる、というセールスコピーで紹介されているのです。

コンブチャをガブガブ飲んでも太るだけ！？飲むだけで痩せるというのは大間違い！

ダイエットされている方で、よく見かける勘違いがあります。
便秘解消でダイエットが成功したと勘違いされるのです。

私の妻ももともと便秘だったのですが、便秘の方はそれが治れば、
その瞬間に４～６kgほどは体重が減ることがあります。
詳しくいうと、便秘によって宿便以外に貯まっていた便が排出され、あまり貯まらなくなります。

これが多ければ体重の１０%程にはなるので、
もともと食べ物のバランスが悪く便秘気味の方は、腸内フローラが整うだけで、この程度はダイエットできるのです。
妻に関しては、根菜と蒟蒻で便秘が解消し、一気に５kgほど減り、少し心配になったほどです。

コンブチャに限らず微生物による発酵飲料は腸内フローラのバランスを改善するので、
便秘には間違いなく効果があります。
そのため、もともと腸内フローラが悪玉菌に傾いているような方には、絶大な効果が出て見えるわけです。
しかしダイエットはそんな簡単にはいきません。
そもそも、貯まっていた便が出ただけで脂肪燃焼したわけではないのですから。

脂肪燃焼させるはウソ？巧妙な売り文句に騙されていませんか？

よく使われている、セールスコピーで脂肪燃焼させる、というものを見かけます。

これも嘘ではないのですが、注意が必要な表現です。
売るのが上手いなあ、と感心してしまいます(笑)

腸内フローラが整うと、確かに代謝や免疫が上がります。
便秘などで、もともと代謝の良くない方は、その結果として、以前よりは脂肪燃焼しやすい体質になるでしょう。
しかしそれはあくまでも、腸内フローラが良くない状態から、普通の状態になっただけのことでしかありません。

コンブチャに含まれる菌が、直接脂肪を分解している訳ではないのです。

しかも、コンブチャは砂糖を使うその発酵特性から、

そこそこカロリー(49kcal/100g)があります。
一部のセールスコピーのように、
食べたいだけ食べて、運動もせずにガブガブ飲むだけでは、
腸内フローラにはよくとも、ダイエットには逆効果とすら言えます。

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コンブチャは安全？微生物発酵による共生層

ここからは安全性を考えてみます。

一般的な発酵飲料と同じく、自家製は自己責任になるでしょう。

とはいえ、コンブチャの発酵の本質は、産膜酢酸菌と酵母菌の共生層なので、
糀やヨーグルトなどと衛生管理は大差ありません。
毒性の強い菌も発生しにくいので、あまり神経質になる必要もないでしょう。

酸度が上がりすぎるという指摘も、希釈して飲むという基本を守れば大丈夫です。

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腸内フローラがケンカする！？
健康的な人ほど注意が必要

ここまで腸内フローラのバランスがもともと良くない方を、
前提に書いてきました。

ところで、ここIN YOUの読者のみなさまの腸内フローラは、
おそらく一般的な日本人よりはバランスがとれていると思います。

すでにコンブチャを飲まれている方もおられるでしょう。
そういう方は問題ないのですが、
これから試そうという方に少し注意してほしいことを書きます。

腸内フローラというのはバランスが大切なので、
既に調子の良い方が別の菌を取り入れると、それが崩れてしまうことがあります。

よくこの話をするのですが、私は納豆でこれを感じました。
根菜たっぷりの有機大豆の味噌汁に自家製の塩糀。
そんな生活を続けてとても体の調子がよくなり出した頃です。

とあるスーパーのプライベートブランドの納豆でひどくお腹の調子を崩したのです。
遺伝子組み換え大豆やタレの添加物の問題はさておき・・・。

納豆菌そのものに罪はありません。

というか、以前ならそのプライベートブランドの納豆で、お腹の調子が整った位です。
中々回復しないので、病院や薬局に行っても、やんわりと否定されるだけでした。
後に薬膳の師匠と話をして、
腸内フローラのバランスが崩れたのだろうという結論に至ったのです。

５年ほど前の話ですが、
いわゆる好転反応とは全く違う不調だったのを鮮明に覚えています。

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コンブチャそのものは素晴らしい発酵飲料だけど……

特に便秘などでない限りは、既に持っている腸内フローラのバランスが、
崩れないように注意してほしいと思います。
先程の納豆にもコンブチャにも罪はないのですが、バランスというのは絶妙なものなので、
こういった問題も起こるのです。

効果効能ばかりを謳ったセールスコピーに騙されないで！

良心的な広告ですと、
コンブチャがクレンズジュースやファスティング(置き換え)ダイエット用の発酵飲料として紹介されたりしています。

また、意外に高カロリーであることや、
運動量が少ないと痩せられないことも記載されています。
よく使われる添加物である安息香酸ナトリウムについても、
書いてくれている広告もありました。

しかしよく見かける広告ではお金の為なのか、楽して痩せられる、健康的、芸能人やセレブ御用達の生サプリ・・・
などなど食の本質から遠い美辞麗句が踊っています。

もちろんコンブチャそのものには何の罪もありません。
きちんと理解して取り入れれば素晴らしい発酵飲料ですから、
ここでダイエット飲料としての使い方をまとめてみます。

コンブチャをダイエットに利用するには

本質的に腸内フローラにも良いし、
体質が安定するまで飲み続ければ、たしかに脂肪燃焼もしやすくもなります。

ポイントは、夕飯などをコンブチャ置き換えること。
単純にプラスするだけでは、カロリーを足してしまうだけになりかねません。
あと、朝食だと良くないでしょう。
朝にカロリーを制限して糖分を摂ると逆に太りやすくなります。

ここで軽めで良いので、運動も取り入れれば
しっかりダイエットにも応用できるでしょう。

ただガブガブ飲めばダイエット出来るかのような、
セールスコピーのような甘い話はありません。
あくまでも、腸内フローラの改善によって、
総合的に代謝が上がることによるものです。

こういう安易なセールスコピーのせいで、
本物の発酵飲料などを伝えていこうとしたとき、
胡散臭く見られてしまうことが本当に悲しくて仕方ありません。

コンブチャなどの発酵飲料を上手に使うには

常に書いていますが、生活全体を丁寧に健康的に、
日々使うもの全てに気をつけることが大切だと感じます。
本質的には何かに頼るより、体の力を引き出すことが一番大切です。

そのためには、発酵飲料でもオーガニックな原料を使ったもの。
最小限の添加物しか使用していないもの。

もちろん無添加が一番ですが、それが難しいのが日本の悲しい現実です。

一見、健康的そうに見える発酵飲料などでも、
使い方次第で腸内フローラを壊したりもします。
本質を見極めて、本当に体に優しいものを選んでいきたいものです。

逆に、ネット上に氾濫する安易なセールスコピーによる食の安全に対する誤解を、
真摯に解いていけるような記事も書いていきたいとも思います。

それではまた、本年もよろしくお願いいたします。