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たくさん食え、肉を食って強くなれの呪縛。高校の部活で1日6000キロカロリー摂取のノルマを課せられていた私。肉食をやめられないライターが独自の視点から「肉至上主義」の現代に切り込みます!Part2

たくさん食え、肉を食って強くなれの呪縛。高校の部活で1日6000キロカロリー摂取のノルマを課せられていた私。肉食をやめられないライターが独自の視点から「肉至上主義」の現代に切り込みます!Part2


肉食をやめられないライターが、肉至上主義に染まったこの世界と自分自身に対してメスを入れます!

Part1ではマクドナルドの誕生から続く食の工業化によって、どのようにこの世界が肉至上主義に染まっていったのか?そんな内容を考えてみました。
★なぜ現代人は肉をこんなに食べたがるのか?肉食をやめられないライターが「肉至上主義」の現代を俯瞰してみましたPart1

第二弾の今回は、さらに皆さんの身近に潜む「肉食」について探っていきたいと思います。

・肉を食べないと元気がでない
・たくさん食べれば元気になれる
・男なら黙って肉を食え!


こんなことを言われた経験はありませんか?
もしくは、ご自身が誰かに言っていたことはありませんか?

その価値観、もしかしたらどっぷり肉至上主義に染まっているかもしれません。

肉食ってこんな風に自分の生活の中に入り込んでいたのか!

この記事を読み終えてくださった時に、そんな驚きを提供できれば幸いです。

ほとんど語られることのないオリジナルの視点から「あなたと肉食」を切り込みます。

肉食の方も、そうでない方も、ぜひお付き合いくださいませ。

コロナ禍の今だからこそ感じたこと。コロナ禍の世界と肉至上主義の共通点は?



一般的に議論されている肉食の問題につきましては、既にPart1でお伝えしました。

肉食による人類の生存を脅かす深刻な環境破壊食の工業化によって肉食が普及したことなどです。

今回は目に見えないものにスポットを当てます。

自戒を込めてですが、人間は自分の見たいものしか信じないし、目に見えるものしか信じない生き物です。

そして、自分だけは大丈夫だろうという、正常性バイアスの中を生きています。

例えば、今回の新型コロナのパンデミック。

世界中でたくさんの人が命を落とされているにも関わらず、未だに新型コロナは存在しない、もしくはただの風邪だという人は少なからず存在します。

それは、現場で毎日終わりの見えない地獄の中で働いている医療従事者の方がいること、世界中で決して少なくはない人に、軽くはない後遺症が発生していることを知っていれば、そんなことは言えません。

しかし、ウイルスは目に見えない。

医療現場は外からは見えない。

不安な気持ちが続くのは耐えられないから、とりあえず安心したい。



人間は弱い生き物です。

不安な気持ちが膨らんでいけば、極端な思想や行動に染まっていきます。

これは、人類が長い歴史の中で繰り返してきたことです。

利権にしがみつく政府、見殺しにされる医療現場、国民、カルト化する人々、浮き彫りになる数えきれない程の分断。

与謝野晶子は約100年前にスペイン風邪が大流行したとき、政府の無策を批判しています。(

歴史は何度だって繰り返すのです。

世界中、誰もが不安で先の見えない日々を過ごしています。そんなときに大切なことはなにか?

それは、目に見えないものを想像して考えることではないでしょうか。

目に見えるものだけを考えていて、問題の解決などあり得るのでしょうか。

これはコロナに限った話ではありません。

私がなぜ毎日のようにこんなにも肉を食べ続けられるのか?

それは、モノとしての肉しか見ていないから、命として処理されている過程が見えないからです。

もし、スーパーの肉売り場から見える場所に肉の処理工場があったとしたら?

私はベルトコンベアに流れていく動物を見ながら、パック詰めされた肉をレジに持っていくことはできない気がします。

とにかくたくさん食べろ!肉を食え!間違った食に苦しめられた高校時代



私たちの生活に潜む目に見えない肉食の弊害。

強くなるために肉を食え、とにかくたくさん食べろ、肉を食べなければ大きくなれない。

少しずつ変わってきてはいますが、未だに世の中ではこのような考え方が根強く残っています。

そして、私もそんな呪縛に苦しんだ人間のひとりです。

私は高校時代野球部に所属していました。

夜遅くまでハードな練習、ヘロヘロで帰宅、起きたら自主練と言う名目の強制的な朝練、授業は部活の体力温存のための睡眠、休み時間は弁当を食べるか、寝るか。

そんなサイクルの繰り返し。

食の専門的な知識のない監督や、月に一度やってくる胡散臭いトレーナーが言うこと。

それは、とにかくたくさん飯を食えということ。

そして、当然のように言われました。

肉を食え!米を食え!とにかくカロリーを摂れ!

1日の目標摂取カロリーはなんと6000キロカロリー

確かに、1日6000キロカロリーくらいは消費していた気がしますが、そもそも部活動で1日6000キロカロリーを消費する運動をさせることがおかしいですよね?

授業中に寝るなと言う方が、無理な話です。



部員全員に大きなタッパーが配られ、毎日、白いご飯だけでそのタッパーを満杯に埋めます。

ちなみにおかずは別です。

そして、それとは別におにぎりを10個持ってくることを強制されます。

そんなに食べられる訳がありません。

残ったお弁当をそのまま母親に返すのは心苦しい。学校帰りにコンビニによって、外に置いてあるゴミ箱に残飯を捨てて帰ったこともありました。

世界では3人に1人が栄養失調で苦しんでいます。私は今でもたまにあのときのことを思い出します。

部活の休みの日に友達と食べにいくものと言えば、マックのハンバーガーか牛丼。

それが楽しみでもありました。

こんな風にして、私の高校時代は過食と肉食に見事に囲まれた生活をしていました。

しかし、このような生活をしている人は決して私だけではないはずです。

肉食の呪縛。たくさん食べろの呪縛。そんなものに縛られていたのは私?それとも社会?



なぜ私が自分の体験談をお話ししようと思ったか?

それは、私だけの問題ではないからです。

私が経験してきたようなことは、この社会で起きていることの縮図に過ぎないのではないでしょうか?

私が通っていたのは、県立高です。

よく言われました。

甲子園の常連校はもっとハードなトレーニングをしている。もっとたくさん食べている。これくらい食べられなくて勝てるわけがないと。

これは遠い昔の話ではありません。10年以内の話です。

そして、元号が令和になってからも大きく変わってはいないでしょう。

私は自分がこのような経験をしてきた分、世間で言われているようなアスリートの健康や、スポーツ界の体質については人一倍、懐疑的で厳しい視点を持っています。

健康的な人間の象徴とされるプロのアスリート

たしかに見た目は筋肉質で健康的かもしれません。

しかし、全てのアスリートが含まれるわけではありませんが、少なくとも現役で活躍をするプロ野球選手の中には、高校や大学で私のような「とにかくカロリーを摂れ、とにかく肉を食え、とにかく米を食え」そのような偏った栄養学で育った人がたくさんいます。

その人たちの中には、見た目は健康で逞しそうに見えるけど、体の中身はボロボロの人も多いでしょう。

これが果たして健康な体だと言えるのでしょうか?



ウイルスは目に見えないから存在しない、動物が殺される過程が見えないから抵抗なく肉を食べ続けられる、外見が筋肉質で引き締まっていれば中身は見えないからボロボロでも関係ない。

すべてが共通しているように、私には感じるのです。

肉食を考えていると、このような社会全体の歪みが浮き彫りになります。

とにかく肉を食え!という発想は、必ずと言っていいほど、たくさん食え!という発想と結びつきます。

なにかに似ていますよね?

とにかく大量に作って大量に廃棄する「大量生産・大量消費」の抜け出せない負のスパイラル

資本主義社会の中で止まらない私たちの欲望。

肉至上主義は、そんな私たち一人一人の暮らしの象徴と言えるのではないのでしょうか?

肉食系〇〇・草食系〇〇 当たり前に使われる呼び方への違和感



私たちの生活で当たり前に使われる、肉食系女子、草食系男子などの呼び方。

一般的に、恋愛や性に積極的な人を肉食系、恋愛や性に消極的な人は草食系と呼ばれます。

そもそも、必ず恋愛をしなければならない、必ず結婚をしなければならない、そのような長年続いてきた価値観自体がおかしなものではありますが、どうしてこのような呼び方が定着しているのでしょうか?

草食動物とされているキリンやシマウマだって、生殖行為をしますよね。

そのように考えると、このような呼び方は変えようのない当たり前のものではなく、
人間のフィルターを通したときに生まれてくるものです。

私たちが暮らす社会では、小さい頃から、競争を勝ち残らないと生きていけないと教えられます。
勝ち組・負け組という言葉が象徴していますが、勝つために強くなれと刷り込まれるのです。

そのような考え方と肉食は、切っても切り離せるものではありません。



例えば、以前、あるボクサーが試合前の共同記者会見の場で、フライドチキンを頬張り相手を挑発しました。

もし、それがフライドチキンではなくニンジンやキュウリだったらどうでしょうか?

なんだか拍子抜けしてしまいますよね。

逆に言えば、私たちは自分が肉食か菜食かに関係なく、ほとんどすべての人が、肉は強いものだというイメージを持っているということです。

それこそが、肉至上主義による肉の呪縛です。私たちは無意識のうちに肉=強いというイメージに洗脳されているのではないでしょうか?

男・肉・強さのトライアングル。根拠のない呪縛に翻弄される肉食社会



最近生活していると、毎日のように自分の中に刷り込まれたミソジニーや男性優位的価値観に気付きます。

国会議員の男女比率を見れば一目瞭然なように、私たちの社会は男性が支配する歪んだ構図から抜け出せていません。

私は男性です。

このような社会を作っている加害者であることの重い責任がありますし、自分自身から変えていかなければならないと思います。

そして、そのような社会と肉食は切り離せるものではありません。

男ならば強くなくてはいけない。強くなるためには肉を食べなくてはいけない。

男・肉・強さ。これらの言葉は相性が抜群です。

すぐに結びつき、そして強大な力を持ち、歪んだ価値観で社会を支配していきます。



強くなりなさい!という言葉は肯定的に捉えられがちですが、それは危険なことです。

「強さ」はすぐに「暴力」と結びつきます。

痴漢がchikanという英語になってしまうほどの、恥ずかしい性犯罪大国である日本ですが、性犯罪の加害者の圧倒的多数は男性です。

性犯罪に限った話ではありません。DV・戦争、暴力的な支配の中心にいるのは、歴史的に見ても圧倒的に男性が多い。

肉という存在が直接暴力や支配に結びつくわけではありませんが、肉を食べるという行為が、強さに起因するような男性性の概念と一致した態度や他者知覚と関連があることは指摘されています。

それは、肉を食べると男性的になるとか暴力的になるという意味ではありません。

ただ、力や支配といったものを象徴するイメージとして、肉は社会の中に浸透しているのです。

出典
論文「肉を食べると男性性が高まるか?」
高橋源一郎・辻信一(2014)『弱さの思想:たそがれを抱きしめる』大月書店


強さを求めた肉食のはじまり。日本で肉食文化が広がった背景



日本でも肉食文化は古代からありましたが、西洋の肉食文化が入ってきたのは明治時代です。

西洋に対するコンプレックスと憧れ。

西洋に追いつくためにはどうすればいいのか?

肉食は西洋の象徴的な存在でもあったのです。

肉を食べれば、西洋人のように大きくなれるのではないか?強くなれるのではないか?

そんな思いがあったのは確かです。

強さを求めた日本がその先に突き進んだのは、戦争でした。

現代になっても強さを求める象徴として、変わらずに存在し続けている肉。

私たちはいい加減、強さや勝ち負けが全てという発想から抜け出すときではないでしょうか?

出典:「第2回 明治天皇が初めて肉を食べた日」MIC

肉を食べないと元気が出ない?たくさん食べないと元気が出ないは本当なのか?



肉を食べないと元気が出ない、たくさん食べないと元気が出ない

私自身も縛り付けているこれらの言葉は本当なのでしょうか?それともただの呪いでしょうか?

私が今までの人生の中で出会った人たちのことも、ご紹介しながらお話しします。

肉を食べなきゃ大きくなれないはウソ!ニュージーランドで出会った軍隊出身のベジタリアン



私がWWOOFという制度を利用して、アーティストの方の家に滞在させてもらっていたときのこと。

仕事内容は肉体労働でした。

そこで出会ったのが、同じくWWOOFで滞在するドイツ人の男性。

彼は、とにかく驚くほどに鍛え上げられた強靭な肉体を持っていました。

話してみると、昔、陸上をやっていて軍隊にいた経験もあるとのこと。

なんとなくステーキなんかが好きそうなイメージが膨らみますよね?

彼はベジタリアンでした。

主食はジャガイモ。いつもマッシュポテトのようなものを調理して食べていました。

もちろんそのマッシュポテトには、ベーコンもソーセージも入っていません。

その後も私は実生活の中で、彼よりも強靭な肉体を持った人に出会ったことはありません。

当時の私は、肉を食べないと大きくなれないというのは幻想なのではないかと思ってはいたのですが、それが確信に変わった瞬間でした。


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たくさん食べないと元気になれないのか?1日1食でほとんど糖質を摂らなくてもマラソンを走れる



これもニュージーランドでの話ですが、日本人の個人農家さんのお手伝いをさせてもらっていたときのことです。

その方は男性ですが、1日1食しか食べません。

そして、その1食の中でも糖質をほとんど取りません

自分に合った健康法を探していたときに、色々試しながら、糖質を摂らずに、胃を18時間以上空腹にするというものに辿りついたそうです。

もちろん水分は適宜摂取します。

最初こそ立ち眩みなどがありましたが、それからはずっと健康で長年の間この生活を続けられています。

そして驚くのは、マラソンを走っているということ。

その方は50代の方だったのですが、私よりも元気で健康そうで、ショックを受けました。

もちろん体質には個人差がありますので、その方はこのやり方が合っていたということです。くれぐれも無理して真似するのはおやめください。

ただ、たくさん食べなきゃ元気がでないという常識や糖分の呪いを覆すには、十分な話ではないでしょうか。


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78歳の今も元気に歌い続ける!ポール・マッカートニーはベジタリアン


※画像は現在のポール・マッカートニーではありません


世界で最も有名なバンドであるザ・ビートルズの中心メンバーであったポール・マッカートニー。

ビートルズ解散後も多くの人々を魅了し続け、78歳の現在もバリバリの現役です。

昨年の12月にはロックダウン中に制作したアルバムを発表しましたが、唄から楽器の演奏まで、すべて一人で演奏して録音しています。

3年ほど前、私は東京ドームにポール・マッカートニーのライブを観に行きました。

当時のポールの年齢は75歳。声はちゃんと出るのだろうか?

開演前の私は期待と不安で胸が一杯でしたが、その不安は、ポールが歌いだした瞬間に全て吹き飛びました。

信じられないほどの力強いシャウト。

そして歌に留まらず、ギターソロからベース、ピアノまで次から次へと弾いていきます。

気付けば30曲近い曲を最初から最後まで水を一滴も飲まずに、歌いきりました。

そして、元気いっぱいにステージを去っていくポール。

あれほどの衝撃にはなかなか出会えません。

ポールより若いバンドメンバーたちは、ポールのあまりの元気さについていけないそうです。

そんなポール・マッカートニーは、ミート・フリー・マンデーの提唱者でもあり、ベジタリアン

私はライブで配られたチラシで初めてミート・フリー・マンデーの存在を知り、自分でもトライしています。

肉を食べないと元気が出ないと言ったら、ポールに笑われてしまいそうです。

弱肉強食の価値観に縛られた肉至上主義を超えるために



いきすぎた肉至上主義の根本にあるものは、弱肉強食の考え方なのではないか?

私はそんな風に思っています。

アフリカのサバンナでライオンがシマウマを食べる映像。一度は見たことがあるのではないでしょうか?

弱いものは犠牲になり強いものが勝者になる。なんとなく生きてるうちに、自然とそんな風に思ってしまうような世界ですよね。

私もそんな価値観に縛られてたときもありましたが、今は違うのではないか?と感じています。

ある人が言っていました。

弱肉強食は強いものが勝つって思われているけど違うのではないかと。

シマウマを食べているライオンは一見強そうに見えるけど、もしシマウマがいなくなったらライオンは食べるものがなくて生きていけなくなる。

シマウマが存在しなければ、ライオンは生きられない。

一見強そうに見えるライオンは、実はとても弱い存在であるのではないかと。

もし、地球から蟻が絶滅したら、生態系が崩壊して人類は滅ぶと言われています。

あんなに小さな蟻がいなければ、ライオンも人間も生きられないのです。

それから私は、弱肉強食というのは強いものが勝つという意味ではなく、どんな命も自然界のサイクルの中で、何かの命によって生かされている。そうやってしか命は生きていけないよね。

そんな風にこの言葉を捉えています。

ちょっとした発想の転換で、肉至上主義に縛られた私たちの心と生活を抜け出せないでしょうか?



次回は肉至上主義の最終回。

どんな発想で肉至上主義の世界で生きていこうか、具体的にはどう行動したらいいだろう?
そんなことをお伝えしていきます。

それではまたお会いしましょう。

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