国際中医薬膳師が教える東洋医学から見た生理痛の種類と生理痛改善に効果的な食材とは？

つらくて、煩わしい生理痛

毎月やってくる月経。

女性にとって、身体の形成や妊娠・出産にかかわるきわめて重要なもので、
なくてはならない生理的機能の一つです。

一生のうちの大部分において、お付き合いしていくものですから、
もはや生活の一部・・・なんですが、そうと分かっていても、なかなか煩わしい、というのも本音ですよね。

生理中の煩わしい代表格と言えば、なんと言ってもやっぱり生理痛！
男の人にはわからない、いえ、たとえ女性でも自分以外には分からない、

何とも言えないあのつらさ・・・。

「自分の体だし、うまく付き合っていくしかないのかな・・・」その通りだと思います。
自分の体だからこそ、生理と向き合い、上手にお付き合いしていきましょう。

生理痛の原因は体質からきているかも

月1回の生理痛がつらい、と思っている方もいるかと思いますが、その原因は月経だけではないのかもしれません。

一言で生理痛、と言っても、症状はさまざま。
生理前におなかが痛くなる人もいれば、生理後がつらい、という人も。

その違いはどこから来るのでしょう？

人の身体は皆それぞれ体質があり、それに月経という出血が伴うことで、症状が出ることがあります。
まずは自分の体質を知り、自分にあった方法で、生理痛に向き合っていくことが大切です。

自分の症状を把握しよう！

普段、月経時の身体の状態、把握していますか？

痛みがない時でも、普段の月経の状態を把握しておくことで、異常を感じやすくなります。

【把握しておきたいポイント】
・経血の色、量、質。塊や悪臭がないかどうか。


そして、生理痛がある場合、いつ、どのように、痛み以外の症状なども、原因を探るうえでとても重要です。
まずは、自分の生理痛の症状を把握することからはじめましょう。

生理痛の原因別の分類

痛みの原因「不通則痛」

東洋医学では、痛みが発生する原理として、
「不通則痛（通じざればすなわち痛む）」とされています。

つまり、「気」や「血」が滞ったり、不足したりするために、流れが悪くなり、痛みが起こるというもので、
生理痛も、この原理のもとに起こるとされています。

あなたはどのタイプ？

普段の体質と、生理痛の特徴から、タイプ分けをしてみました。

１．「気滞血お（きたいけつお）」タイプ

・普段からイライラしやすく、ストレスを感じやすい。
・生理痛は生理前から起こることがある。
→気血が滞るために痛みを感じる「気滞血お」タイプ。

２．「寒」と「湿」の邪気による痛みタイプ

・1日冷房をかけていることがある。冷たい食べもの、飲み物が大好き。
・生理中は冷えをともなう痛みがある
→身体が冷えて血が滞る「寒湿凝滞（かんしつぎょうたい）」タイプ

３．「湿熱」の邪気による痛みタイプ

・生理前から、腹部に灼熱感をもった痛みがある。
・普段からおりものが多く、においがある。
→湿熱が気血の巡りを滞らせる「湿熱の邪気による痛み」タイプ

４．「気血両虚（きけつりょうきょ）」タイプ

・普段から食欲がない。軟便気味。
・生理中は、腹部にシクシクした痛み
→「気」と「血」が両方とも不足している「気血両虚」タイプ

５．「肝腎虚損（かんじんきょそん）」タイプ

・腰がだるい、耳鳴りやめまいがある
・生理後も腹部がシクシクと痛い
→「肝腎」の働きが弱まっている「肝腎虚損」タイプ

タイプ別、生理痛の原因とおススメ食材

では、タイプ別に、原因や症状、そしておススメ食材などを見ていきましょう！

生理痛タイプその１．気滞血お（きたいけつお）

【主な症状】

・生理前か生理中におなかが張って痛む、あるいは刺すように痛む。
・量：少なめ。
・色：紫っぽい、或いは暗い赤色。
・レバー状の血の塊がある。血の塊が出ると、痛みや不快感が軽減する。
・胸や脇が張って痛む
・イライラする

【原因】

主にはストレスが原因です。
普段からイライラしやすかったり、気がふさいだりすることで、
五臓の中の「肝」の働きが弱まり、「気」が滞りやすくなります。

東洋医学での「肝」とは、全身の気の流れを管理し、精神を安定させるようにコントロールする役割を担っています。
また、血を貯蔵する臓器ですので、月経とは深い関係があります。

特に月経前後には、気が滞りやすく、気が滞ることで血の流れも悪くなり、痛みが起こります。

【治法】

「肝」の気の滞りが原因ですので、気を巡らせて滞りを解消することにより（「疏肝理気（そかんりき）」と言います）、血の巡りを改善します。

【おススメ食材】

ニラ、マイカイカ、サンザシ、みかん、ジャスミン、いわし、当帰、など。

生理痛タイプその２．「寒湿凝滞（かんしつぎょうたい）」

【主な症状】

・生理中や生理前に、冷えを伴う痛みがある。
・温めると症状が改善する
・押すと痛い
・量：少な目
・色：黒っぽく、塊が混じる
・悪寒を感じたり、手足などに冷えがある

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【原因】

「寒」と「湿」が体に侵入し、体が冷えたことにより、血の運行が妨げられ、痛みが起こります。
「湿」の邪気は、身体に余分な水分を貯めてしまい、「寒」の邪気は体を冷やします。

余分な水分がたまり、さらにそれが冷えることで流れが滞り、痛みが出るのです。

雨に濡れて体が冷えた、冷たい水の中で水泳をして体が冷えた、
長時間冷房に当たった、などの季節的・外因的な原因や、冷たい飲み物や食べ物、生ものなど体を冷やすものを大量に食べた、など
飲食物による冷え、なども、寒湿の邪気が侵入する原因となります。

【治法】

身体から寒と湿を取り除き、体の中から温めることで、
血の巡りを改善します。

【おススメ食材】

・体を温める食材・・・ネギ、生姜、にんにく、シナモン、など
・余分な水分を取り除く食材・・・黒豆、大豆、とうもろこし、など。
・血の巡りをよくする・・・サンザシ、ニラ、イワシ、当帰など


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生理痛タイプその３．湿熱の邪気による痛み

【主な症状】

・月経前に灼熱感を伴って痛む。月経時に悪化する。
・押すと痛い
・量：多め
・色：暗い赤色。ネバネバ感がある。塊が混じる
・普段からネバネバしたおりものがあり、尿も色が濃い

【原因】

「湿」と「熱」が体に侵入したことで、気血の流れが滞り、痛みが生じます。
生理中や、産後の体調不良などで湿熱が体に侵入した、もしくは、飲食の不摂生なども、原因の一つです。
また、梅雨などの季節的な要因も考えられます。

【治法】

体の中の熱を冷まし、たまった余分な水分を取り除いて血の巡りを改善します。

【おススメ食材】

ハト麦、セロリ、小豆、黒豆、黒クワイ、キャベツ、ナス、しじみ、など。

生理痛タイプその４．気血両虚（きけつりょうきょ）

【主な症状】

・下腹部がシクシク痛む
・手で押さえたり、温めると痛みが軽減される
・量：少な目
・色：薄い
・疲れやすい、顔に色艶がない
・食欲がない。軟便

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【原因】

このタイプの多くの人は、「脾」「胃」の消化・吸収の働きに問題があるタイプです。

「脾」は消化吸収を司る臓器です。

飲食物を消化吸収し、気血を作り出しているため、
「脾」や「胃」の働きが弱まると、気血が不足してしまいます。

気血両虚とは、その名の通り、「気」と「血」がどちらも不足している状態です。

脾胃の機能が弱まって気血が不足していたり、または、大病や長期の慢性病による気血不足、などの原因に加えて、
生理中の出血によりさらに気血が不足し、痛みが出ると考えられます。

【治法】

不足している気と血を補うことにより、痛みを改善します。

【おススメ食材】

・気を補う食材・・・米、もち米、やまいも、さつまいも、人参、はちみつ、鶏肉、鶏卵、うずらの卵、など。
・血を補う食材・・・棗、黒豆、黒ごま、ホウレンソウ、牡蠣、いか、太刀魚、豚肉、豚足、鶏卵、当帰、など。


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生理痛タイプその５．肝腎虚損（かんじんきょそん）

【主な症状】

・生理中、もしくは生理後に、下腹部がシクシク痛む。
・腰がだるい
・耳鳴り、めまい
・量：少な目
・色：薄い、水っぽい
・寝汗をかく、手のひらや足が熱い

【原因】

先天的な腎精（生命活動の源である物質）不足であったり、
あるいは、過度な性生活などにより、「肝」「腎」の精血が不足している状態です。

「肝」「腎」の働きとして、肝→血を蔵する、腎→精を蔵する。

がありますが、「精血同源」という言葉があるように、
精と血はお互いに補い合っているため、どちらが不足してもいけません。

精血が不足すると、肝腎が滋養されず、
また生理中の出血により、さらに症状が悪化し、痛みがでると思われます。

【治法】

肝と腎を補うことで、痛みを改善します。

【おススメ食材】

肝・腎に帰経する滋陰の食材・・・クコの実、やまいも、黒豆、黒ゴマ、牡蠣、スッポン、イカ、エビ、など

まとめ

まずは無理しないこと

生理痛は病気じゃないからと言って我慢した経験、多くの方があると思います。
でも、無理することで、さらに気血の巡りが悪くなり、生理痛がさらにひどくなっては困りますよね。

生理中は、おススメ食材も取り入れながら、偏らないようにバランスよく栄養があるものを食べ、
無理せずに、休めるときはゆっくり休みましょう。

また、大きな病気が隠れていることも考えられますので、耐えられない痛みの時は、悩まず病院を受診することも大切です。

生理痛はあって当たり前、ではない

痛くてつらい生理痛ですが、あきらめてはいけません。
東洋医学では、痛みがあるということには必ず理由があり、健康な月経とは、痛みがないのが正解なのだそうです。

まずは自分の体質を知り、普段の食事から体のケアをしていきましょう。

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