強毒菌を作るのは抗生物質だけではなかった!強毒菌を進化させた遺伝子組み換え由来の添加物「甘味料 トレハロース」の正体とは。
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こんにちは。日本糀協会 えいらくさゆりです。
食品添加物を気にしておられる方は多いと思いますが、特にどのようなものを注意して避けていらっしゃるでしょうか?
トレハロースは病原性の高いクロストリジウムの病原性を高める役割を果たしている
今月、Natureオンライン版に「Doetary trehalose enhances virulence of epidemic clostridium difficile(流行性のクロストリディウム・ディフィシル強毒株の毒性は食事の中のトレハロースにより増強される)」という論文が掲載されました。
※参照ページ https://news.yahoo.co.jp/byline/nishikawashinichi/20180107-00080202/
その内容は、「トレハロースが病原性の高いクロストリジウムの病原性を高める役割を果たしている」と言うもの。
私が今まで比較的安全と思っていた添加物「トレハロース」が健康を害する一因となっていたということに驚くとともに、現在安全とされている、
人工的な食品や添加物でも、今後このような危険性が分かってくる可能性を示した恐ろしい内容であると思いました。
トレハロースとは
トレハロースは人工甘味料ではなく「天然の糖」
トレハロースとは、酵母やきのこなどに存在し、昆虫の血糖などにもなっている天然の糖です。
一昔前は大量に作ることのできない高価なものでしたが、1994年、日本の企業「林原」がでんぷんからトレハロースを生産することに成功し、大幅なコストダウン・大量生産を可能にしました。
それ以来、トレハロースは化粧品を始め、和菓子・パン・弁当やおにぎりなどに添加される他、肉類や野菜の加工処理などにも使われています。
トレハロースの特徴は甘味ではなく保湿力
トレハロースの甘みは砂糖の45%程度のため、甘みをつけるために使うとカロリーが高くなってしまいます。しかし、トレハロースの最大の特徴は保湿力。
化粧品は言うに及びませんが、高い保湿力をもつトレハロースを食品に添加することで沢山のメリットがえられます。
・デンプンの老化やタンパク質の変性を防ぐ
・野菜の鮮度を保つ
・砂糖と同じく食品の水分活性を下げて菌の増殖を抑える(人工甘味料にはない特徴)
・冷凍食品の冷凍時のダメージをおさえる
当時は「トレハロースがデンプンからできるはずはない」というような学会の常識や、これまで抽出に高いコストがかかっていたということから「夢の糖質」と言われていたトレハロースですが、大量生産が可能になり、いまや多くの化粧品・食品に使用されるようになりました。
トレハロースは安全?危険?
WHO(世界保健機関)も太鼓判
WHO(世界保健機関)は、トレハロースの安全性を認めています。本来成分ごとに設定する許容摂取量ですが、トレハロースにはその設定がありません。許容摂取量を設定する必要がないほど安全だということです。日本の厚生労働省も安全な成分であると食品添加物に認定しています。
初めて分かったトレハロースの危険性
前出の論文では2000年〜2003年の流行と、1995年から2007年の間に10倍も症例数が増えた「クロストリジウム・ディフィシル」という人間の腸内常在菌が起こす下痢や腸炎について研究が行われました。その中で、トレハロースがこの腸炎を起こす菌の増殖に関係していることが分かりました。クロストリジウム・ディフィシルという菌
健康人の腸内細菌叢に存在している菌で、抗生物質に抵抗性を持っています。しかし、健康な人の腸内では他の細菌がクロストリジウム・ディフィシルの増殖を抑えるため、腸炎を発症することはありません。
この腸炎は一般に抗生物質を服用することで起こるとされていました。
抗生物質に抵抗性をもたない他の菌が抗生物質の服用や点滴で除去されることで
細菌叢のバランスが崩れると、クロストリジウム・ディフィシルは増殖して腸炎を起こすとされてきたのです。
ただ、抗生物質の助けなしに増殖することがあり、これが「流行性」の感染症と言われているものでした。
2000年以降多くの国で流行があり、ゲノムの解析から強い毒性を獲得した原因株が発見されました。
この流行は必ずしも抗生物質と関連していなかったため、原因がなんであるのかの究明が待たれていました。
これまでトレハロースを使えなかった菌が進化した!
クロストリジウム・ディフィシル腸炎は、抗生物質を使用していない人に起こることは稀な病気でした。
しかし、2000年以降、なぜか流行性クロストリジウム・ディフィシル感染症が世界で増えた。
その原因を究明するために研究者が目を付けたのが食品中の糖質でした。
様々な糖質を調べた結果、2000年以降に広く使われだしたトレハロースは、他の菌が利用できないにもかかわらず、
クロストリジウム・ディフィシルの流行性菌株でのみ利用できることが分かりました。
食品として多く含まれるようになったトレハロース。
この環境に菌は対応して進化したのです。
大量生産されるトレハロースの主な原料は危険性も否定できない遺伝子組み換え作物。
強毒菌を進化させたトレハロースですが、心配はそれだけではありません。
トレハロースを抽出する元の素材(トウモロコシやじゃがいもなど)は、海外からの輸入品が99%。
それは、原料が遺伝子組み換え作物である危険が高いことを意味しています。
清涼飲料水に含まれるブドウ糖果糖液糖の原料が遺伝子組み換え作物で作られているであろうことを知っている方は増えていると思いますが、
実は、トレハロースもその一つであることは、知らない方も多いのではないでしょうか。
トレハロースは今や多くの食品や化粧品に使用され、安全であると思って使っている方も多い添加物です。
しかし、やはり
「人工的に大量に作り・添加されるものには落とし穴がある。」
ということを今回思い知らされました。その食品、本当に安全ですか?
「流行性クロストリジウム・ディフィシル感染症」は人間が「人工的にトレハロースを添加した食べ物を食べるようになった」ことで起こった病気といえます。このことで、これまで安全だと思われていたものが危険を及ぼす可能性があることがはっきり分かりました。
人工的に食べ物に何かを添加することで、予想できない病気が起こる。
今回の病気は、トレハロースをとらないことで回復できる可能性があるものですが、まだまだ危険が分かっていない添加物や人工的な食品は世間に溢れています。
また、今回、腸内細菌のバランスを保つことが健康を維持するために大変重要であることもあらためて分かりました。
普段の生活の中で難しいことを知らなくても、
・自然なもの(オーガニック・加工されていないもの)を食べる
・添加物はなるべく避ける
・偏ったものをとりすぎない
・発酵食品を食べる
このようなことに気をつけて生活すれば、未知の病気を恐れる必要性も低くなります。
ちりも積もれば山となる。
良いことを積み重ねることも大事ですが、危険があるかもしれないものを少しでも避けるということを積み重ねてリスクを軽減していく食べ方も、
添加物が溢れる日本ではとても大きな意味があります。
食べたもので体はつくられる
この研究結果を良い機会として、あらためて、毎日食べているものを見直していきましょう。
一人一人の意識、一つ一つの選択が、明日からの日本を作って行く。
安心して食べることのできる国は、私たちの一つ一つの選択によって作られて行きます。
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