世界諸国の男性が育児休暇を取得する中、妊産婦死亡理由で自殺がトップを誇り遅れをとる日本。日本の子育て支援はこれから、どうあるべき?
こんにちは。母の日もあっという間に過ぎましたね。
皆さんは、母の日をどう過ごされましたか?
お子さんからプレゼントもらいましたか?
またはプレゼントを贈りましたか?
最近、友人の家に電話したところ、受話器の向こうで男の子が泣いているのが聴こえました。
パートナーの仕事の関係で、昼間は1人で子どもの世話をしている彼女。
私には子どもがいませんが、時々託児のアルバイトをしている私にも、その大変さが伝わってきました。
ところで先日、図書館で珍しい本をみつけました。
田中兆子さんの「微産制」という小説で、若い女性の八割近くが感染病で亡くなった未来の日本が舞台。
「男性が妊娠可能な女性となる性転換技術が開発され、満18歳以上31歳以下の男性に最大2年間、
女性になることが義務付けられる」というお話しです。
性転換した男性は、女性として振る舞う訓練を受けた後、妊娠するための「産役」につきます。
「産役逃れ」をした男性は、通常2年間の産役が5年間に延長されるという懲罰まで課せられるのです。
男性が読んだら「勘弁してよ~」という感じになるのでしょうか・・?
今日本で育児休暇を取得している男性は全体の5%弱
妊娠中も女性の身体的な負担は大きいですが、本当に大変なのは出産した後。
「イクメン」という言葉が生まれた現代でも、まだまだ女性に比べ男性が育児をする機会は少ないですよね。
厚生労働省の調査によれば、平成28年度に女性が育児休暇を取得した企業は、85.9%。
男性が取得した企業は、5.4%となっています。前年度より育児休暇の取得率は上昇していますが、依然として男女間の格差は大きいのです。
また非正規労働者の育児休暇取得率は、男女ともに前年平成27年度の調査より減少しています。
下記の表を見てください。引用:厚生労働省 「平成 28 年度雇用均等基本調査」の結果概要
このデータにより、性別は勿論、経済力によっても、現役女性の子育てと仕事の両立が難しくなっていることが分かりますね。
一方、育児に積極的に関わりたいと思っている男性は、どのくらいいるのでしょうか?
日本労働組合総連合会が2014年に行った意識調査では、
20代~40代までの父親となった男性全体の45.5%が「育休を取得したことがないが、取得したかった」と回答しています。
これにより、男性のおよそ半数が、育児休暇の取得を諦めていることが分かります。
また企業によっては育休期間中、無給となる為に取得を諦めるケースも多いのです。
「でも、育休がとれないなら仕方ないでしょ?」
そう思う方もいるかもしれません。ところが、この状況、放っておくと大変な事態になりかねないのです。
産後うつによる自殺が、妊産婦死亡要因の第1位!?
皆さんは、妊産婦死亡要因第1位が何かご存知ですか?
一般的には妊産婦の死亡要因というと、出産時の容態急変やトラブルをイメージしますよね。
ところが実際は違うのです。
実は日本の妊産婦死亡要因で最も多いのは「自殺」なのです。
妊娠期間の10カ月は女性の心身に大きな変化をもたらすため、最低1ヶ月は安静が必要と言われています。
また出産後は、下記のような体調不良が生じやすいです。
出産により女性の身体におこる変化
・外傷による痛み
・骨盤の違和感
・痔や恥骨の痛み など
女性が子どもを産んだ後、出産前の状態に戻るまでには、およそ6~8週間かかります。
また産後うつに陥る女性は、全体の約1割。およそ10人に1人と言われています。
この産後うつ、ホルモンバランスの乱れが主な原因とされていますが、
実はこれらの体調変化はほぼ2週間以内に収まります。
では、実際に主な産後うつの原因となっているものは何でしょうか。
社会で働く女性の半数以上が望んだ時期に妊娠できない日本。
現在、妊産婦の4人に1人は高齢出産となっています。
30代後半以降の高齢出産は、20代の出産に比べてダメージや、睡眠不足、疲労回復が遅く、ストレスがたまりやすい傾向にあります。
また高齢出産を終えた女性は、キャリアも長く職場で中堅社員として働いていることが多く、ストレスによりうつ病も深刻化しやすくなります。
特に真面目な女性ほど、子育てにプレッシャーや責任を感じ、うつ病を発症しやすいのです。
また育児休暇が取得しにくく、長時間労働が是正されないことにより男性パートナーが産後にうつ病になるケースも増えています。平成28年に国立成育医療研究センターが発表した研究結果によればパートナーが出産後3カ月以内に、
うつ病になった男性は、216人中36人で全体のおよそ17%。
男性のうつ発症要因は、経済状況の悪化、雇用が不安定なこと、育児に関して周囲のサポートが不十分なことが挙げられています。
乳幼児の心身の発達は、家族の状態に大きな影響を受けます。
深刻なケースでは、過酷な育児環境により子どもに必要以上に厳しく接してしまい、虐待につながることもあります。
虐待は、子どもの脳に影響を及ぼすことが近年の研究により明らかになっています。
子育てで父親が果たす役割の大きさ
ニューヨーク大学応用心理学名誉教授のローレンス・バルター氏は、「子どもにとっては、父親の役割がとても大きい」との見解を発表しています。
父親の育児休暇取得率が最も高いアイスランドでは、男性も120日の休暇を取得することが可能です。
スウェーデンでは、父親の約90%が育児休暇を取得。
父親、母親合わせて約16カ月(480日)の有給育児休暇が取得でき、そのうち、390日間は給与の80%が支給されることになっています。
子どもが8歳となるまでに、両親は勤務時間を最大25%も短縮できるのです。
また2016年からは、父親のみが取得できた2カ月間の育児休暇が、3カ間となりました。
スウェーデンでは、育児休暇は使わなければ消滅しますが、新たに子どもができると、その都度休暇を取得することが出来ます。
男性の育児休暇を取得しにくい実状。日本のママたちはどうしたらいい?
では、日本で女性の育児の負担を軽くしつつ、男性が育児に積極的に携われるようにするにはどうしたらいいでしょうか?
日本でも男性が女性への理解をし、男性も育児に協力できる体制を作るにはどうしたらいいのか?
父親だけで育児する日を作る。
日本生命が昨年社員を対象に行ったアンケートによれば、もともと育休を取得するつもりがなかった男性が、
会社の方針で一度育休を取得すると「また取得したい」と意識が変化しています。その数はなんと77.6%。
8割近くの男性が、育児を体験することにより、積極性が増しているのです。
でも、両親が同時に子ども関わると、ついつい母親の方が手を出しがちになりますよね。
せめて1日だけでも、父親だけで育児をする時間を作ることで、今後の子育てへの意欲を高めてみませんか。
子育て支援を利用しよう
最近、日本でも話題になっているので、既にご存知の方もいるかもしれません。
「産後ドゥーラ」というお仕事。
出産を終えた母親のサポートを行う為に、専門の研修を受けた女性が、家事や育児を支援する仕組みです。
ドゥーラはギリシャ語で「他の女性を手助けする経験豊かな女性」という意味。
育児についての不安や疑問にも丁寧に応えてくれる女性がいるのは、心強いですよね。
産後ドゥーラは、下記のサイトで探すことが出来ます。
一般社団法人 日本ドゥーラ協会
KIDS LINE
家族以外の人たちと共同生活を行うコレクティブハウスで共同生活
核家族化が進んだ日本。
お父さんたちが、育休を取得できるようになっても夫婦だけで子育てするのは、大変ですよね。
特に2人目、3人目のお子さんが生まれれば、経済的な負担も増していきます。
そんな時は、コレクティブハウスに引っ越してみませんか?
コレクティブハウスは、スウェーデンで生まれた住居の形式で、家族以外の人達が共同生活を営みます。
管理・運営は居住者自らが行うシステム。
掃除や食事作りなど共同で行い、定例会で運営方針を話し合って決めていきます。
一見、シェアハウスのようですが、違いは、様々な世代が同居しているところ。
それぞれの個室以外にコモンスペースという共用キッチンあり、月に数回は「コモンミール」という食事会が行われます。
アレルギーや材料や産地にこだわった食事や、自家菜園を備えているところも嬉しいですね。
また、1人で育児を行っているシングルマザー、シングルファーザーや、周囲に協力者がいない方にもお薦めです。
産後の心と身体を労わる為にできる具体的な、対策
ついつい育児を頑張りすぎた時のセルフケア、あなたはどうしてますか?
まずは自分の状態をチェックするところから始めてみましょう。
質問票で、心の状態をチェック
・NPO法人 きずなメールプロジェクト エジンバラ産後うつ質問票産後うつにかかっていないかを自分で把握できるチェックリストです。
使い方は簡単。過去1週間の様子を振り返り、10項目の質問に点数をつけるだけ。高得点であるほど、産後うつの可能性が高いです。
もし気になる結果がでたら、早めに自分を労わってあげてくださいね。
気持ちを吐き出そう
いきいき子育て手帳
東京図書出版発行清水 嘉子 著B6判 76頁 定価500円
育児ストレスがたまっても、周りに話を出来る人がいない。
そんな時、どうしてますか?
悩んで思いつめた時、少しでも気持ちを吐き出せる場所があると、心が軽くなりますよね。
この手帳には日付が入っていて、その日起きた出来事や気持ちを書き残しておくことができます。
また母子手帳と同じサイズなので、どこにでも持ち歩くことができます。
絵本「ナミダロイド」
ナミダロイド
辰巳出版寺井 広樹 (著)ミシエル・カーラー (イラスト)
赤ちゃんや、小さな子どもが泣いた理由を教えてくれる「ナミダロイド」というロボットと、
子育て中のママのお話し。育児で疲れ果てた心を優しく癒してくれる一冊です。
ミシエル・カーラーこと俳優の唐橋充さんが作画を担当しています。
唐橋さんが、パートナーで女優の水野美紀さんとの間に生まれたお子さんの育児を通して感じた思いも込められたこの絵本。
頑張りすぎた時に、読んでみてはいかがでしょうか。
オーガニックな食材を摂取して、心身のバランスを整える
忙しいからと、お母さん自身のの食事はおざなりになりがちではないでしょうか?
食事のバランスが乱れると、心身のバランスが乱れがちです。
一息つく時間を作ることに加え、そのホッとできる時間にはオーガニックの食材を食べたり、自分のための時間を1時間でも2時間でも作ることで、ストレスは軽減されるはず。
余裕を持った生活を送りたいところですよね。
小児期から出産について学ぶことが大事です。
日本ではまだ、専業主婦の割合が多く、自分の人生を諦めなくてはいけないというムードが残っています。
それに対する協力的な姿勢が足りないのは、多様性のある生活習慣や女性の出産や子育てについて、男女ともに理解を深めていく必要があります。
フィンランドの子育て支援ネウボラでは、妊婦だけでなくパートナーも医師や助産師の総合健診に同席することが求められます。
妊婦とパートナー向けのガイドブックも無料で配布され、約100ページの小冊子に妊娠期や、お産、赤ちゃんの世話、子育て世帯向け支援サービスなどが記載されています。この小冊子には、男性も積極的に家事・育児を推奨していると共に、父親になる上での不安に対する配慮が盛り込まれています。
フィンランドにおいて、中学生向け生物の教科書に出産のメカニズムや、リスク、育児に伴う責任などが掲載されており、
スウェーデンでも、9歳から男女同室で性教育を受け、出産について学びます。
これらの教育や支援は全てが完璧というわけではありませんが、男女共に仕事や育児を充実させる一助となっています。
性別的な役割分担にとらわれず、社会で働き、育児も積極的に行う。
自分のための時間も大事にし、自分らしく充実した人生を送っていくことが、子ども達の幸せに繋がるはずです。
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参照
・ ニッセイ基礎研究所 基礎研REPORT 2017年4月号
「男性の育児休業」で変わる風景意識と働き方-100%取得推進の事例企業での調査を通じて
・HUFFPOST JAPAN
「父親の育児休暇は、アメリカとヨーロッパでこんなに差がある。」
「スウェーデン4ますます父親に優しい国に 育休が3カ月に延長される」
・文春オンライン
「産後うつ」は「ホルモン」のせいではない・
「産後うつ」が行政にも医療現場にも見過ごされてきた理由
・東洋経済オンライン 男性の育休取得を阻み続けている「3つの壁」
・産経ニュース スウェーデンの性教育「日本と50年は違うかな」 川上麻衣子さん、
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・信濃毎日新聞「希望時に妊娠できず53% NPO法人 働く女性2000人調査」
・朝日新聞デジタル 男性も産後うつに?夫婦で「サバイブ」するには
・高橋睦子著「ネウボラ フィンランドの出産・子育て支援」
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