日本が初の議長国となったG20サミット。その最も重要な議題とは？ ついに行き所がなくなっていた「核のゴミ」に対する国際的な取り組みが行われるかも！？

先月、大阪で行われたG２０サミット。各国首脳が話し合った内容は？

こんにちは。
長野も7月に入り暑い日が増えてきました。
暑さを避ける為に立ち寄った図書館に飾られた七夕飾りを見ていたら、
子どもの字で「放射線技師になれますように。」と書かれた短冊がありました。

その短冊を見た私は、原発事故の影響を思い起こして、
少し複雑な気持ちになりました。
日本の子どもたちの未来にも大きく関わる
福島第一原発事故や日本のエネルギー問題について、考えさせられました。

IN　YOU読者の皆さんは、七夕の短冊にどんな願い事を書きましたか？



「日本が平和で安全な国であってほしい。子どもたちが健やかに育つ国であって欲しい。」
そんな願い事を書かれた方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

今年、日本が初の議長国となったG20サミットでは（金融・世界経済に関する首脳会合）
世界の子どもたちの未来に関わるような重要な議題が話し合われたこと、
意識の高いIN　YOU読者の皆さんなら、既にご存知かと思います。

このG20は、年に1回参加国の首脳や閣僚、国際機関などが集まって
世界規模の課題について話し合う国際会議です。

今後は、先日大阪で行われた首脳会議に加え、
残り4箇所で今年11月まで閣僚会議が行われる予定です。
G20サミットの参加国と主な議題は次の通りです。

【参加国】アメリカ・イギリス・アルゼンチン・EU（欧州連合）・オーストラリア
　　　　　ブラジル・カナダ・フランス・ドイツ・ロシア・イタリア・メキシコ・韓国
　　　　　サウジアラビア・南アフリカ・インド・インドネシア・中国・トルコ・日本

【招待国・参加機関】オランダ・スペイン・ベトナム・国連（UN）・国際通貨基金
（IMF　世界銀行・世界貿易機関（WTO）など。

【議題】1：貿易・投資　2：世界経済　3：保健　4：環境・エネルギー　
　　　　5：イノベーション　6：女性のエンパワメント　7：開発　　　

出典：G20大阪サミット2019

長野県軽井沢では主に環境問題について各国閣僚による話し合いが行われ、
放射性廃棄物処分について国際的な取組みが行われることが発表されました。

この発表を受けて「各国が協力しあって放射性廃棄物処理を行うのであれば、
新技術が開発されて安全に核のごみが処分される可能性があるかも！？
福島第１原発も廃炉に向けて一歩前進するのでは？」そう期待される方もいらっしゃるかもしれません。

今回はG20で決定された国際的な取り組みが、
より現実的で安全な放射性廃棄処理につながるのか、検証してみました。

ついに核のゴミについて国際会議立ち上げ！？10月にパリで初会合が開かれることに。

6月に軽井沢町で開催されたG20閣僚会議では、
放射性廃棄物処理を進めるための国際会議が組織され、
10月にパリで初会合が開催されることが決定しました。

この国際会議のスタートにより、日本にはどのような変化があるでしょうか？
皆さんは、以前ご紹介したこちらの記事の内容を覚えていらっしゃいますか？

◆8割以上の放射性物質が残っていた福島第一原発の汚染水。汚染水処理設備を手掛けた多国籍企業を買収したのは水道民営化に乗り出したあの企業！？

更に現在NUMO(原子力発電環境整備機構 )が放射性廃棄物の地層処分を進めるために、
全国で説明会を開催していることは以前、以下の記事でもお伝えした通りです。

◆放射性廃棄物があなたの家の近くにも埋められるかも。 ”核のゴミ”を地下深く埋めれば安全性は問題ないのか？ 未来の子どもたちに負の遺産を残さない為に、今私達ができること。

また福島・宮城・栃木・千葉など11箇所で仮置きされている福島第一原発放射性廃棄物は
今後、 全国各地で最終処分場による埋立てや焼却処分を行うことが検討されています。

こうした放射性廃棄物処分計画は、アメリカやフランス・イギリス・EUなどG20参加国でも進められており、
処分場候補地となった住民により反対運動が起こっているケースもあります。



G20で決定された放射性廃棄物処理に関する国際会議では、
こうした処分場候補地住民への理解を進めるために各国が協力する方針が示される可能性があります。

放射性廃棄物処分場計画については、以下のような問題があります。

地層処分

地震によるガラス固化体の破損により、放射性物質が漏洩。
セシウムなど水に溶けやすい放射性物質により、地下水が汚染する可能性がある。

焼却処分

バグフィルターで濾過しきれない微細な放射性物質や有害物質の粒子が通過し、
大気に放出される可能性。
地域によっては雨水に混じり、沢水に流れこむ可能性が高い。
細かい粒子の放射性物質が拡散した場合、呼吸により肺に取り込む場合がある。

埋立処分

放射性物質を吸着するベントナイト混合土を放射性物質と共に埋め立てる方式が用いられる。
ベントナイトは、金属やイオンなどの物質も吸着するため、放射性物質の危険性除去には限界がある。

また原発から使用済核燃料を取り出す作業にも放射性物質拡散の危険性があります。



環境に排出された放射性物質は、土や水を通して食物に取り込まれ、
人体に入り込む可能性があります。
その結果、低線量であっても以下のような影響が考えられるのです。

免疫系疾患・アレルギー疾患・甲状腺がん・糖尿病・白内障・DNA損傷

出典：■日本列島では原発も「地層処分」も不可能という地質学的根拠　
　　　日本原子力研究開発機構　元主任研究員　土井和己著
　　　■「自分と子どもを放射能から守るには」日本語版特別編集
　　　ウラジ－ミル・バベンコ著　ベルラド放射能安全研究所（ベラルーシ）著
　　　今中哲二（京都大学原子炉実験所）監修　
　　■「第２回塩谷町指定廃棄物最終処分場に関する学習会」資料　　　
　

G２０参加国次々と計画されている処分計画とは？

では世界で進められている放射性廃棄物処分場計画は、具体的にどのようなものでしょうか？
その一例をご紹介します。

アメリカ

高レベル放射性廃棄物・使用済核燃料を地層処分を地層処分。
オバマ大統領は、この計画を中止したが、トランプ政権により再検討がされている。

フランス

高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分。
放射性廃棄物ガラス固化体の保管管理を行っているアレヴァ社に対しては、
日本の企業が出資と業務提携を行っている。

他にも以下の国と地域で放射性廃棄物処分場計画が進められています。



出典：仏Orano社（旧称New AREVA Holding社）への出資を完了日仏原子力産業のさらなる連携強化を目指す
諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

安全性が不確かな放射性廃棄物処分場。もし近くに計画が持ち上がったら、どうすればいい？

福島第一原発以降、放射性廃棄物受入れを行った自治体では
放射性物質のモニタリングポストを設置し空間線量を公開していますが、
地上より高い位置で計測していたり、設置場所が少ないなど、その信頼性は不確かです。

福島以外にも既に大阪・長野などで
放射性廃棄物の焼却処分や過去に放射性廃棄物の試験焼却や受入が行われました。

そして、現在は福島県を始めとし、
栃木県塩谷町・長野県宮田村などで放射性廃棄物を含む処分場計画が持ち上がっています。

また現在、福島県や関東に仮置きされている放射性廃棄物は、
放射性廃棄物特措法により約30年後に全国各地で処分される計画が示されています。

もし今後、あなたがお住まいの地域に放射性廃棄部処分場計画が持ち上がったら？
万が一、その時が訪れた場合に備えて、今できることを考えてみましょう。

国際会議の動向に注目！

放射性廃棄物の国際的なパリでの初会合の動向は、
今後の世界での廃棄物処理計画や原発政策に大きな影響を与えるものになることは間違いありません。

新たに安全性の高い技術を開発する流れに繋がるのか・放射性廃棄物処分場計画を拡大させていく為に
各国が情報共有をおこなっていくのか。
まずはフランスでの初会合の結果を見逃さないようにしましょう。

あなたはもうチェックした？参議院選立候補者の原発政策。

放射性廃棄物は、原発が稼働している以上は、どこかで処分しなければなりません。
それならば、せめて現在ある原発を停止し、
またこれ以上は原発を稼働させないことが大切です。
G20参加国には、原発依存度を下げる方針を示している国がありますが、
日本は以前として再稼働が続いています。

かつて福島では地域活性化につながるとして原発が誘致されました。
地層処分などの放射性廃棄物処分場候補地選定についても、
道路や医療などのインフラ整備を積極的に行うことをしきりと宣伝しています。

福島第一原発事故による教訓は、
日本のエネルギー政策には十分活かされていないのが実状です。

こうした実状を変えるには、
安全なエネルギー政策を掲げる政治家を一人でも増やすことが大切です。
今月20日に行われる参議院選挙では、立候補者の原発政策も忘れずにチェックしましょう。

「核のゴミ」を次世代に背負せようとする政府。このまま見過ごせますか？

以前もお伝えしましたが、日本政府は今、子どもたちに
地層処分をはじめとする放射性廃棄物処分の安全性や意義を啓蒙する取り組みを積極的に行っています。

日本の子どもたちに、放射性廃棄物を処分するのが国民の義務であるかのように、伝えているのです。
純真な子どもたちは、国の安全対策を鵜呑みにしてしまうかもしれません。

自分の意思とは関係なく大人たちが作った原発事故による負の遺産を
当たり前のように背負わされていく日本の子どもたちの現実。


あなたは、このまま見過ごせますか？

子どもたちの未来を奪わない為に、
私たち身近な大人が放射性廃棄物の危険性を伝えていくことが大切です。

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