あなたの頭痛はどこから来ている？便利さが生み出した負の産物頭痛の正体。 理学療法士がお伝えする自分でできる簡単な頭痛のセルフケア方法。

頭痛は、老若男女を問わず多くの方が悩まされている症状の一つです。

風邪や二日酔いによる症状のように一過性のものであれば、
さほど心配はいりませんが、定期的に現れる慢性化した頭痛や、
毎回薬を飲まなければならないような頭痛は、早めに対処をする必要があります。

特に最近は、スマートフォンの普及によって小中学生でも頭痛を訴える子が少なくありません。

一昔前ではあまり考えられなかったことですが、
生活習慣の変化がもたらした負の産物はことのほか大きく、
今後もこうした慢性的な頭痛症状は増え続けるでしょう。

また、一言で頭痛といってもその原因は人によって様々です。

頭痛のある人の大半が、肩こりや腰痛などの症状を併発しているという事実がありますが、
これは決して偶然ではありません。

骨盤の歪みによって生じる頭痛もあれば、首の骨のズレによって生じる頭痛もあります。

いずれにしても、その原因を見つけ出してケアすることが、症状改善への近道となります。

頭痛の種類

片頭痛

・特徴
ズキンズキンという拍動性の痛みが、頭の片側もしくは両側、そしてこめかみから目の辺りにまで起こります。

日常生活に支障が出ることもある発作性の頭痛であり、吐き気や嘔吐などの症状を伴うこともあります。

男性よりも女性に多く、月に1～2回、数時間～3日間ほどの痛みが生じます。


・原因
片頭痛は、血管の周囲が神経原性炎症を起こしたり、
何らかの理由で脳の血管が急激に拡張して起こると考えられています。

脳血管の拡張によって周囲の神経が刺激され、
それによって生じる炎症物質がさらに血管を拡張して痛みを引き起こします。

緊張型頭痛

・特徴
緊張型頭痛は、頭部全体あるいは後頭部から首筋にかけて、何かに締め付けられるような痛みが生じます。

吐き気や嘔吐などの症状は現れませんが、目の疲れや倦怠感を伴いやすいのが特徴です。

片頭痛のように日常生活に支障をきたす例はそれほど多くはありません。

ただし、症状が数か月以上に及ぶなど、慢性化するケースもみられるため、
できるだけ早い段階で対処することが望ましいです。


・原因
緊張型頭痛は、頭や肩、首回りの筋肉が緊張することによって生じます。

筋肉が緊張することによってその周辺の血流が滞り、結果として、筋肉内に老廃物が蓄積します。

それによって、周囲の神経が刺激されて締め付けられるような痛みが現れます。

群発頭痛

・特徴
群発頭痛は、数か月から数年に一度、数週間から数か月間に渡り、
ほぼ毎日、決まった時間帯に激しい頭痛発作が起こります。

いずれか片方の目の奥に、えぐるような耐えられないほどの激痛が数十分～3時間ほど続き、
痛みと同じ側の目から涙が出たり、充血したり、鼻水が出ることがあります。

アルコールが誘発因子となり、痛みが出現している時期にアルコールを飲むと、
数時間以内にほぼ百発百中で発作が起こるといわれています。


・原因
群発頭痛の原因はまだ十分な解明がされていませんが、「特定の時間に起こる」という特徴をもつことから、
時間遺伝子があるとされる視床下部が原因であると考えられています。

また、目の奥を走っている内頚動脈が拡張し、周囲の炎症が生じることも症状の原因の一つとされています。

頭痛の原因の原因を探る

上記に挙げた３つのタイプの頭痛は、長年の研究によりそれぞれ原因が解明されつつあります。

それでは、なぜその原因が生じるのでしょうか？

例えば、片頭痛でいえば、脳血管が急激に拡張することが一つの原因とされていますが、
なぜそのようなことが起きてしまうのでしょうか。

ここでは、「原因の原因」について、よくみられる３つのタイプを考えてみたいと思います。

頚椎由来

頚椎とは首の骨を指します。

７つの骨で構成され、頭部を支えていますが、
他の胸椎や腰椎と比較して大きな可動性を有するという特徴があります。

私たちが首を前後に倒したり左右に捻ったりすることができるのは、
この７つの頚椎それぞれの関節が正常に機能しているからなのですが、
動きやすいがゆえに関節のズレや歪みが生じやすい構造ともいえます。

頚椎に問題が起こると、三叉神経を介して頭部や顔面に関連痛を引き起こし、
前頭部、側頭部、後頭部、目の奥などに痛みが出現します。

頚椎由来の頭痛の多くは一側性に痛みが出現し、
眩暈や吐き気、嚥下障害、肩や背中の痛みなどを伴う場合もあります。

頭部を動かすと痛みが増強する、過去に頚椎骨折やムチウチの既往がある場合は、
頚椎由来の頭痛である可能性が高いでしょう。

骨盤由来

時々、腰痛と頭痛を併発している人がいますが、これらの症状には密接な関係があります。

なぜなら、頭蓋骨と骨盤の中央に位置する仙骨は、硬膜という組織によって連結し、
脳脊髄液が頭蓋骨から仙骨につながる空間を循環しているからです。

脳脊髄液は、脳神経や脊髄神経に栄養を送り、老廃物を回収するという重要な役目を持ち、
頭蓋骨と仙骨が不随意的にポンプのような連動運動をすることによって循環しています。

骨盤の歪みによって頭蓋骨までつながる硬膜が緊張したり、
脳脊髄液の流れが低下することによって頭痛が生じる可能性は十分あるため、
腰痛持ちの人が頭痛を有していることは決して偶然ではなく、人体の構造を考えると至極当然といえます。

慢性的な腰痛がある、ぎっくり腰の経験があるという場合は骨盤由来の頭痛かもしれません。

頭蓋骨由来

頭蓋骨自体に問題がある場合もあります。

頭蓋骨は２３個の骨がパズルのように組み合わさって構成されていますが、各パーツにズレが起きていたり、
それぞれの可動性が不十分な場合、頭痛が生じることになります。

先ほども述べましたが、
頭蓋骨は私たちの意識とは無関係に常時開いたり閉じたりしながら律動的に動いています。

その動きが制限されてしまうと、頭蓋内の血液やリンパの流れが滞ってしまい、
頭痛を生じる原因となるのです。

過去に頭を思いきりぶつけた経験があったり、出産時に鉗子分娩や吸引分娩で産まれた人は、
頭蓋骨のトラブルが生じやすくなるため注意が必要です。

頭痛に対するセルフケア

背骨と骨盤を正す

これまでみてきたように、頭痛は元をたどれば背骨や骨盤の歪みに由来しているケースが多々あります。

背骨や骨盤は身体の軸となる骨格であるため、日頃から自分でケアをして正していくことが大切です。

キャット＆カウ

ヨガのポーズで有名なキャット＆カウは、
背中と骨盤を自分で動かすことによって、しなやかな軸を取り戻す効果があります。

１.四つ這いになり、肩の真下に両手、腰の真下に両膝をつく。
２.息を吐きながら、骨盤側から少しずつ背骨を反らし、最後に頭を上げる。
３.息を吸いながら、骨盤側から少しずつ背骨を丸め、最後にお腹を引き上げる。
４.７～１０回繰り返す。

ストレッチポール

ストレッチポールには様々な使い方がありますが、ここでは最もベーシックな方法をご紹介します。

１．ストレッチポールの上に、頭と背中と腰の３点が接するように仰向けで乗る（膝は立てる）。
２．両手・両肘を床につけながら、ゆっくりと胸の高さまで広げる。
３．深呼吸を５回する。
４．腕を元の位置に戻す。
５．３～５回繰り返す。

頭部のマッサージ

頭痛が生じるということは、原因は何であれ、
頭部の筋肉が緊張していたり、頭部を流れる血液が低下している状態にあります。

それによって、頭や目の痛みとして症状を感じることになるのですが、
ここでは頭部のリラックス効果を目的としたセルフマッサージをご紹介します。

頭皮マッサージ

１．両手の指を開き、頭の両サイドから髪の毛の下に手を入れる。
２．下から上へと頭皮を動かしながら、頭全体を数回押しほぐす。
３．両手で頭頂部を数回押しほぐす。
４．後頭部や耳の後ろも同様に押しほぐす。

ツボ押しマッサージ

１．両手をこぶしを握るように軽く握り、親指以外の4本の指の平らな部分で、
頭の両サイドを円を描くようにグリグリと押し当てながらマッサージする。
２．そのまま上へと進み、頭頂部も同様にグリグリとマッサージする。


頭部のマッサージは入浴中やお風呂上りなど、身体が温まっている状態で行うとより効果的です。

入眠前に行なうことで、睡眠の質を上げることにもつながるので、是非試してみてくださいね。

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