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癌の治療薬としても注目される医療用大麻とは? その抑圧の歴史から最新医療技術まで、 タブー視されがちな大麻の全貌を解き明かします。

癌の治療薬としても注目される医療用大麻とは?
その抑圧の歴史から最新医療技術まで、
タブー視されがちな大麻の全貌を解き明かします。

※編集部注
現在、日本での大麻の所持や栽培は違法です。
この記事は、大麻に関しての知見を深めていただくためのものであり、
違法行為を肯定するものではありません。
「大麻取締法」政府の相談窓口e-GOV

日本では、何かとネガティブなイメージがつきまとう大麻

しかし、その大麻が今、世界中で注目されていることは、
ご存知の方も多いでしょう。

一口に大麻と言っても様々な種類があり、
それによって含まれている成分の含有量なども変わってきます。
*大麻とは?

大麻の成分でも特に注目されているのが、
CBD(カンナビジオール)で、
CBDが含まれたクリームや飲むオイルなどが、
日本でも合法的に販売されています

CBD成分には、いわゆるハイになるような作用は含まれておらず、
リラックス効果や不安を抑える効果は、
ストレス改善のためのアプローチとして今注目の「マインドフルネス」
とも相乗効果が期待されています。

※CBDについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです!
カナダでは大麻がついに合法化へ|医療現場で注目を浴びているその理由。
将来の代替医療の救世主になるかもしれない日本で違法の大麻の可能性とは


海外を中心に、医療に革命を起こすものとして期待が集まる一方で
いまだ根強い反対派も存在している大麻。

なぜ、このような状況が生じているのか、この記事を通じて
今一度ゆっくりと振り返り、考えてみたいと思います。

参考:「マインドフルネスの効果を引き出す、CBDオイルの使い方」CBD Library

人類は紀元前から大麻と共に暮らしていた


大麻の産業利用は紀元前6000年より前から、
嗜好用としても2500年以上の歴史がある
といわれています。

そこでまずは、日本人が歴史の中で、大麻とどのように関わってきたのかをご紹介しましょう。

参考:「世界の潮流に反してなぜ日本はこれほど大麻規制が厳しいのか? 規制の歴史を振り返る」ハーバー・ビジネス・オンライン

太古から日本人の暮らしを支え続けてきた大麻


日本人が大麻と関わりを持ち始めたのは、今から約1万年前の
縄文時代のことだと言われています。

衣類や漁に使う網の原材料に用いられるなど、人々の生活には欠かせないものでした。

神社などに行くと見かけるしめ縄にも、大麻が使用されていたことなどから、
神道にとっても欠かせないものだったことが分かります。

江戸時代以前には、灯りの燃料油として、
また、庶民が身につける服の材料としても愛用されていました。

明治から大正にかけて日本国内は大麻産業は衰退していきますが、
それでも大麻=悪ではありませんでした。

栃木県は大麻栽培がさかんに行われていた地として知られていますが、
私は以前、栃木県・栃木市の横山郷土館という施設を訪ねたことがあります。

特に大麻のことを伺うために訪問したわけではなかったのですが、
「この辺りの地域では昔、大麻の栽培がさかんであった」、
というようなお話をそこで聞いた記憶が残っています。

繰り返しますが、かつての日本では、大麻は人々にとってとても身近なものであり、
生活に欠かせない存在だったのです。

参考:「1万年前から日本と大麻に深い繋がりが!?大麻と日本の歴史と関り」GrassRoots
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人々の暮らしを支えていたはずの大麻が
なぜ、危険な存在へと変貌したのか?


日本の人々暮らしに欠かせない大麻が、なぜ一転して危険な存在と認識されるようになったのか?

その理解には、まず、アメリカでの大麻の歴史について知っておく必要があります。

アメリカでの大麻の歴史①:
アメリカで大麻が医薬品として扱われなくなったのは、
ここわずか80年余りの出来事


アメリカではある時期まで、大麻は有用な薬として、
医療分野において当たり前のように利用されていました。

20世紀になってからも、液状の「チンキ」などとして、
正式な医薬品として処方されていたことが分かっています。

その状況が大きく一変したきっかけは、1937年に制定された「大麻課税法」でした。

大麻課税法は、表向きには「禁止法」ではありませんが、
実質的には、高い課税によって、大麻産業を衰退させたり、
嗜好用大麻を禁止する狙いがあったと考えられます。

この法律に対し、大麻の使用が出来なくなれば、
医療に甚大な影響が出ると、アメリカの医師会は反対を表明しました。

参考:映画『WEED THE PEOPLE 大麻が救う命の物語』

アメリカでの大麻の歴史②:
人種差別などの排外思想に政治利用された大麻


「大麻課税法」が制定された1930年代のアメリカでは、
人種差別や排外思想の空気が社会に蔓延していました。

そこで政府は、そのような世論を巧みに大麻使用の抑圧に
利用しようと考えたようです。

メキシコ人は悪草(大麻)で狂った」などとプロパガンダを流し、
世論を外国人嫌悪の方向に導くことに「大麻」が利用されました。

大麻は長い間、アメリカの人々の健康の為の薬として使われてきたにも関わらず、
突如、あっという間に、大麻=危険薬物だという認識が広まっていきました


その後も大麻を危険なものとする動きは加速していきました。

1970年に米議会は大麻を、「規制物質法」という法律によって
ヘロインやLSDと同等のスケジュール1に分類
しています。

そして興味深いのは、現在のアメリカの連邦政府は、
大麻の成分に関して特許を保持しているにも関わらず、
医療としての使用をいまだ認めていないということ


ここには、連邦政府が将来的な大麻の医療利用によって
独占的な利益を得るためであるとする見方が有力です。

同時に、現在、アメリカでは州レベルであると、
大麻を合法とする州と違法とする州のふたつに分かれますが

もしも医療大麻が全米規模で認められるようになれば、
現在使用されている一部の医薬品が、医療大麻に取って代わられることにより、
需要を失ってしまう恐れがあるります。

それを警戒する製薬業界からの政治的な圧力
も、大麻への抑圧がアメリカで
存続している原因のひとつのようです。

出典:映画「WEED THE PEOPLE 大麻が救う命の物語」

日本での大麻の歴史:
戦後GHQの意向により、日本の大麻は姿を消していった


一方の日本で大麻が厳しく取り締まられるようになったのは、
戦後になってからのことです。

アメリカで1937年に「大麻課税法」が制定されてから約10年後の
1948年に、日本では「大麻取締法」が制定されました。

当時の日本はアメリカの占領下で、「大麻取締法」の制定は、
占領国・日本の統治に当たっていた組織、GHQの意向によるものでした。

なぜGHQは「大麻取締法」を制定したのでしょうか?

考えられる理由は諸説ありますし、はっきりとは分かりませんが、
アメリカで大麻課税法が制定された後に、それに追随するようにして
GHQ統治下の日本で大麻取締法が制定されたのは、
とても自然な流れであったように感じられます。

日本では昔から、衣服から神道にいたるまで、大麻は多くの分野で人々の生活と深く結びついていました。
そのため、大麻が禁止されたことの影響は、アメリカ以上に大きなものであったことは間違いありません。

そして日本人の間で大麻が“好ましくない嗜好品と”して認識されるようになったのも、
大麻取締法が制定された頃だといいます。

その後、日本でもアメリカ同様に、大麻は危険なものとして認識されるようになり、
急速に姿を消していきました


参考:「1万年前から日本と大麻に深い繋がりが!?大麻と日本の歴史と関り」GrassRoots

日本では完全に抹殺された大麻が、
再びアメリカでは合法化され始めている背景


先ほども少しお伝えした通り、
アメリカ
では現在、33の州で医療大麻が、11の州で嗜好大麻が合法化されています。

国レベルでは現在でも大麻の使用はいまだ違法ですが、
実は、1970年に制定された「規制物質法」から大麻を除外する、
大麻合法化の動きは加速しているのです。

もし、アメリカの国の法律である「規制物質法」から大麻が除外されれば、
現在は大麻が違法の州でも、合法化が進むことは間違いないでしょう。

参考:「米下院、大麻合法化法案を採決へ」YAHOO! JAPANニュース

国(連邦政府)が大麻を禁止しているにも関わらず、
州レベルでは大麻の合法化が行われている背景には、アメリカ独自の政治制度があるといいます。

合衆国憲法は、住民の安全と治安を維持する権限は州にあると規定している。
連邦制のアメリカでは各州とその知事に幅広い独自権限が認められており、
ワシントンの中央政府がすべてにおいて州政府の上位に立つわけではない。
引用:「トランプ氏、自分には「全面的権限」あると主張 知事たち「王ではない」と反発」BBC NEWS JAPAN

日本では実質的に、ほぼ完全と言ってもいいほどに大麻は抹殺されましたが、
アメリカではそうではありませんでした。

日本では国民全体が「大麻は絶対的に危険で悪」という意識にどっぷりと浸かりましたが、
アメリカでは、医学的な研究も行われ続けていまし、
国民の大麻に対する認識も日本人とは大きく異っているようです。


アメリカでは日々、大麻の医学的研究が行われ、その研究結果と国民の使用経験などから
生まれた率直な声が大きな世論を形作り、政治を動かします。
国民の声が先にあり、政治がそれを追いかける、そんな状況がアメリカにはあるようです。

一方で日本は、1948年の「大麻取締法」の制定以来、時間が止まっています。
そこには日本特有の、必ず上に従う思考や、同調圧力の影響を受けやすく、
周囲の目を以上に気にする国民性なども、背景としてあるのかもしれません。

アメリカでは良いか悪いかは別として、大麻が禁止されてからも比較的多くの人が、
大麻を使用していました。

1980年に流行したエイズによる消耗症候群などの改善に、大麻が効くという経験を
知識として持ってる人たちも多く、彼らが声をあげたことが、
(州レベルでの)や大麻の合法化を推し進めたともいわれています。

そして、2020年現在、嗜好用大麻が合法化されている11の州のうち9つの州は、
住民投票によって合法化
が認められたのです。

参考:「世界の潮流に反してなぜ日本はこれほど大麻規制が厳しいのか? 規制の歴史を振り返る」ハーバー・ビジネス・オンライン


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医療大麻が癌治療の未来を変える?


アメリカでは実際に、癌や脳腫瘍などの患者に対して、
医療大麻を用いた治療が行われています。

また1974年に米国立癌研究所は、大麻に抗癌作用があるという研究を発表しています。

医療大麻は 1970年代より、がんの化学療法に伴う吐き気を抑えるために効果があることが知られていましたが、近年の研究により、がんの治療そのものにも効果がある可能性が示されています。
引用:「WEED THE PEOPLE」 

 

海外では科学研究と実用化が進む次世代型の治療薬「医療大麻」


医療大麻の効果は、科学的な根拠に基づくものです。

大麻の成分で主に注目されているのは冒頭でご紹介したCBD(カンナビジオール)と、
THC(テトラヒドロカンナビノール)で、

THCには精神に作用するため、日本ではTHCが含まれる製品の販売は許可されていませんが、
アメリカでは実際に、THCとCBDを組み合わせた医療大麻を用いた治療が行われています。

THCCBDには抗癌剤の副作用や食欲不振を緩和させるだけではなく、
癌細胞を細胞死に導く作用があることが、研究により既に明らかにされています

医療大麻を描いたドキュメンタリー映画『WEED THE PEOPLE 大麻が救う命の物語』では
悪性腫瘍を患う子供たちに、医療大麻用いた治療を施す様子が紹介されていますが、
その結果、実際に癌や腫瘍が消えた実例が存在しています。

他の薬と同様に、全ての人に効くというわけではありませんが、
実際に重い病気が改善された人がいるというのは、紛れもない事実です。

参考:映画『WEED THE PEOPLE 大麻が救う命の物語』

抑圧の歴史から解放され始めた医療大麻
リスクやこれからの課題は?


医療大麻は長い抑圧の歴史を経て、再び息を吹き返しつつあります。

忘れたくないのは、今後、他の医薬品や医療技術と同等に扱われる上では、
様々な課題をまだ残しているということ。

実際の医療現場では既に使用されていることから、
ある程度の安全性は証明されていますが、
まだまだ研究は不十分というのが現状です。

医療大麻は植物由来の医薬品ですが、植物由来のものにも副作用はあります。
もし重い副作用が出れば、患者に一生大きな障害を抱えさせる恐れがあります。

そして大麻にはたくさんの成分が含まれており、その成分の一つ一つが
体にどのような影響を与えるのかについては、いまだ未知数です。

大麻は安全だと言う研究者もいますし、脳に良くない影響を与えると主張する研究者もいます。

アメリカには、大量のアルコール分にほんの少し大麻の成分を入れたような粗悪な医薬品も出回っており、
きちんとした医者やセラピストに相談しないと、それらを摂取してしまう危険性もあります。

さらに、大麻についての十分な知識を持った医師も、現状、多いとはいえません

また、処方対象なる人によって許容量が異なるため、効果や安全性について、
今後も研究や臨床試験を積み重ねていく必要性があります。


一方で、従来の一般的な化学療法でも、癌患者などに対して、
危険な毒性が指摘されている抗癌剤などの薬品が
当たり前のように患者に投与されています。

がん大国のアメリカや欧米諸国では、「抗がん剤は増がん剤である」と見限られつつあります。がんの死亡者数が年々減少している米国では、抗がん剤はがんを治す上で無意味であることが早くから公表されています。アメリカ国立がん研究所のNCIでは、88年に数千ページにも及ぶ「がんの病因学」という報告書で「抗がん剤は増がん剤である」と言って世界を驚かせています。
引用:「抗がん剤は増がん剤である。」がんメディカルサービス

新型コロナウイルスの感染拡大によって、日本では、
夜の街やライブハウスなどの特定の場所ばかりが、悪のように報じられました。

私は医療大麻に関しても似たようなものを感じます。

私たちは多くの人が正しいと信じていることは、何となく正しいと信じます。
何かを悪にすることによって、何らかの正義が成り立ちますが、その正義が正しいとは限りません。

医療大麻の問題は、この世界で起きている様々な問題と通ずる部分がたくさんあるように思います。

簡単に称賛や否定をするのではなく、まずは一人一人が自分の頭で考えることが必要でしょう。

参考:がんメディカルサービス「抗がん剤は時代遅れ?アメリカは抗がん剤を使わない治療にシフトしている」
出典:映画「WEED THE PEOPLE 大麻が救う命の物語」


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大麻はいつまでタブー視され続けるのか?


日本では、大麻所持による逮捕者のニュースがテレビなどで報道されていますが、
他の国での大麻への認識はどのようなものなのでしょうか?

クライストチャーチモスク銃撃事件のときの毅然とした態度や、
新型コロナウイルスの対応で世界からも評価されているニュージーランドのアーダーン首相は、
過去にマリファナを試したことがあると発言しています。

ニュージーランドの総選挙では、嗜好用のマリファナと安楽死の是非についても投票が行われます。

アーダーン首相は「この問題が政治化することは望まない。この決定は国民が行なってほしい」
とも述べています。

このことからも、大麻は決してタブーにされるべき話題ではなく、
きちんと話し合われるべき
だというのが世界的な流れです。

参考:「NZ首相、「はるか昔」にマリファナと明かす」livedoor NEWS

ニュージーランドで実際に聞いた大麻の話


私は半年間、ニュージーランドに滞在した経験がありますが、
現時点で、ニュージーランドでは大麻の所持は違法です。

THCが多く含まれる嗜好用の大麻は、一般的にマリファナと呼ばれています。

宿泊したバックパッカーズ・ホステルの一つは、
部屋の扉に「部屋で『マリファナ』を吸うな」という貼り紙がしてありました。

植物由来なので健康には害がない、また依存性は低いと言われる大麻ですが、
お酒や煙草のように、快楽や中毒のようにマリファナを求める人はたくさんいます。

現地の人に聞いた話では、大麻を吸っている所を警察が見つけても捕まることはないと言っていました。
「そんなくだらないことでいちいち捕まえてたらキリがない」というような感じだそうです。

もし自分の身近な人が癌になったら?
その時にあなたは、医療大麻についてどう考えるでしょうか。


明らかな人体への害が指摘されている煙草などと比べて、大麻は害が少ないともいわれています。

嗜好用大麻の是非に関しては殊更に厳しく議論されるべきですが、
大麻に関して語ること自体がタブーで、芸能人が見せしめのように逮捕される日本の現状は、
世界から見ると異常
で周回遅れだという気もします。

なぜ依存性がある煙草や酒は良くて大麻はダメなのか?

そこに政治的な意図はないだろうか?

そして、自分の身近な人が癌になったときに、医療大麻についてどう考えるのか?


アメリカで、大麻について否定的な人が大麻について真剣に考えるきっかけになるのは、
自分の愛する人が病気になったときだといいます。

少なくとも、覚醒剤やコカインなどの危険薬物と同等に扱われるべきではないですし、
きちんと一人一人が真剣に考えるべき問題だと、私は考えています。

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大麻ビジネスは「ゴールドラッシュ」ならぬ「グリーンラッシュ」と呼ばれていますが、
2025年には数百億ドルの規模に発展するとの予想があります。

そして、日本でも医療用大麻や嗜好用大麻が合法化されるのは、
時間の問題ではないか?という見方もあります。

その理由は、世界各国で大麻合法化の動きが進んでいることと、
ビジネスの市場を広げるにあたって、アメリカの影響力が強い日本は、
アメリカ産の大麻製品の市場となることを選ぶと考えられるためです。

医療大麻は癌治療などの未来を変えることになるのでしょうか?

未来がどのようなものになるかは分かりませんが、
私たちはきちんと歴史から未来を考えるべきです。

賛成・反対の前にまずは一人一人が心の中に抱きがちな、
強固な先入観をひとまずは脇に置いて、
大麻について考えることを始めてみませんか?

参考:「グリーンラッシュがやってくる」DIAMOND online

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