薬剤師が教える、冬を乗り切るための「漢方」活用術|漢方は女性にこそオススメ? 赤ちゃんでも飲めるの? 素朴な疑問にもお答えします。
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薬剤師が教える、
冬を乗り切るための「漢方」活用術
漢方は女性にこそオススメ?
赤ちゃんでも飲めるの?
素朴な疑問にもお答えします。
IN YOUジャーナル読者の皆様、こんにちは。12月も中旬となり、慌ただしい雰囲気の中、気温や湿度もぐんと下がって、
冬らしい気候になりましたね。
寒くなると、〝冷え〟や〝倦怠感〟、〝肌の乾燥〟や〝気分の落ち込み〟など、
女性特有の体調不良を感じる方も増えてくるのではないでしょうか。
そこで今回は、実は、そういった不調対策として
女性にこそオススメしたい漢方薬について、
お話をさせていただきたいと思います。
漢方が何故女性にオススメなのか、漢方は赤ちゃんや子供にも使えるのか、
といった素朴な疑問についてのお答えや、
冬ならではの女性の不調を改善するために、漢方に出来ることや活用法、
又、薬に頼らず不調を改善するための方法などについても、
現役の薬剤師である私が詳しくご紹介したいと思います。
漢方は男性より女性に向いている?!
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男性と女性には、心身の面で様々な違いがあります。
もちろん、漢方は男性にも効果がありますが、
体質の傾向や、多く見られる不調の内容を考えると、
やはり女性の方がその効果を実感出来る場合が多いようです。
女性の方が、漢方の効果を実感しやすい理由については、
次の通りです。
理由①:女性に多い「冷え性」に漢方は有効
当たり前のことですが、男性と女性では、体の作りが違います。特に筋肉量の違いは特徴的で、体全体の筋肉量の平均は、
男性の方が女性より30%前後多いと言われています。
又、逆に、女性の体脂肪率の目安は男性よりも10%も高くなっています。
つまり、相対的に、女性は男性より筋肉の量が少なく、脂肪が多いのです。
そして人間の体で発生する熱のほとんどは筋肉で作られますし、
脂肪は温まりにくく、冷えやすい性質を持っています。
そのため、総じて女性の体は男性よりも“冷えやすい”と言えるのです。
そして、冷えに伴う痛みやむくみ、婦人科系の病気などには、
多くの女性が悩まされ続けています。
そして、この冷えを改善出来る薬は実は西洋医学には無く、
逆に、東洋医学、つまり漢方では得意分野のひとつとなっています。
理由②:女性の心の疲労や不調に漢方は有効
一般に、男性よりも女性の方が感じやすい心を持ち、デリケートであるといわれます。
それは、女性ホルモンの影響によるところが大きいようです。
女性の体と心は、約1ヶ月の間に増減を繰り返して推移する、
女性ホルモンの分泌量と、その働きに大きな影響を受けます。
ホルモンの作用によって怒りっぽくなったり、急に悲しくなったり、
憂鬱な気分になったり、逆にとてもハッピーな気分になったりするのです。
これは女性なら誰もが一度は経験したことがある状況ではないでしょうか。
男性が平穏無事にクールに過ごしている傍ら、
女性はいつも精神的に忙しくしているというイメージがあります。
これは少し大袈裟なたとえかもしれませんが、
「男性のスイッチがONかOFFしか無いのに比べ、女性のスイッチは30以上あり、
そのほとんど全てに微調節ツマミがついている」という説を表したイメージもあります。
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そして、このイメージは個人的に、
男性と女性の性質の違いをとても良く表していると思います。
こうした、精神的な疲労や不調にも、漢方はとても有効に働くのです。
理由③:月経によって失われた血(けつ)を補うのに漢方は有効
ほとんどの女性は、基本的に貧血傾向にあるといっても過言ではありません。何故なら、毎月の月経の度に、体の中の何%かの血液を失っているから。
その失った”血”を毎日の食事などで充分に補えていれば貧血にはなりませんが、
現代社会の一般的な食事では、それはなかなか難しいといえるでしょう。
さらに、現代人はスマホやPC、ゲームやテレビなどによって
どうしても目を酷使しがちです。
目を酷使することで、漢方でいう”肝“の機能が弱まり、
それが原因となって血を全身に巡らせることも難しくなってしまいます。
この血を補うためには、漢方の助けを借りることがとても有効です。
理由④:女性が陥りやすい脳疲労からの不調に漢方は有効
男性と女性は、脳の構造にも違いがあります。そもそも人間の脳は、左脳と右脳に分かれています。
そして左脳は言語や思考を司り、右脳は直感や感性を司っていると言われています。
左脳と右脳の間には”脳梁(のうりょう)“と呼ばれる神経の管があって、
両者を繋げています。
脳科学の研究によれば、女性の脳梁は男性のものより太い上に働きが良く、
左右両方の脳をバランス良く使っているという報告がなされています。
例えば、今増えているリモートワークで、
夫婦どちらとも在宅で仕事をしているとします。
どちらもデータ分析や計算などを行う、集中力の要る作業をしています。
仕事をしながら夫が妻に、
「ねえ、年賀状もう買ったっけ?」と聞いたとします。
妻は「うん、もう買ったよ」と即座に答えます。
夫:「○○部長のところは喪中だから出さないんだったよね?」
妻:「そう。喪中葉書が来てたよね」
夫:「頼んどいたスーツ、クリーニングに出してくれた?」
妻:「うん、出しておいたよ。水曜日に仕上がるって」
夫:「今年の正月は、コロナで帰省は無理かなあ」
妻:「あ、それ昨日ちょうどお義母さんと電話で話してね、
もう帰って来ない方がいいって言ってたよ」
しばらくして、仕事を続けながら妻が夫に、
「ねえ、蓮くん(息子)の幼稚園のお迎え、明日行けそう?」と聞いたとします。
夫は、「……ちょっと待って……」
その時片付けていたエクセルの作業をひと通り終え、少し考えてから、
「ああ、そうだった。明日ね。明日は出勤日で、確か定時で帰れるはずだから、
うんうん、行けると思う」と、ようやく返事をします。
このように、集中力を要する仕事をしていて脳がフル活動中であっても、
女性である妻は作業を中断してパッと対応出来るのに対し、
夫はその時集中している物事から離れて他の事柄を考えるのに、
切り替えのための時間が少し必要なようです。
これは男女の脳の構造の違いによるものです。
……と、いうことは、です。
私の考えなのですが、これらの事実から、
女性の方が脳細胞をより多く働かせ、エネルギーを消費していると
考えることは出来ないでしょうか?
男性の方が脳を働かせていてないというつもりは全くありませんが、
脳の右と左をパッパッと切り替えて、いつも物事に臨機応変に対応し続けている女性の脳の方が、
もしかすると、ストレスなどによるダメージを受けやすいのではないかと思うのです。
先ほど書かせていただいたホルモンの影響による神経系統の複雑さも手伝って、
脳疲労という点では、女性の方が男性よりより大きな影響を受けているのかもしれません。
その為、はっきりとした理由のわからない疲労感を覚えたり、抑鬱状態に陥ったり、
わけもなく不安を感じたりといった精神的症状が男性よりも女性に
多く出てくるのではないかと私は推測しています。
そして漢方薬は、このような原因を掴みにくい不調に対しても、
巧みな対応が出来ることがあります。
人それぞれ細かな症状の違いがありますし、漢方薬にも沢山の種類がありますので、
これらの症状にへの対応方法については専門家へのご相談をオススメします。
子供や赤ちゃんに漢方は利用出来るのか
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最近では、医師の指示等により使用される、
いわゆる「医家向けの漢方薬」が増えてきたということもあって、
お医者様の中にも漢方についてしっかりと学び、実際に処方をされる先生方が増えてきました。
そんな流れの中で、子供や赤ちゃんにも処方薬として
漢方を飲ませることも多くなっているようです。
つまり、医師という専門家の指示を前提として、
子供や赤ちゃんにも漢方薬の使用が可能です。
漢方には古くから小児科がある
長い歴史を持つ漢方や薬学(中国では「中医学」と呼びます)では、実は既に古くから、「小児科」という独立した科が立てられていました。
今から1400年前の中国の随や唐の時代の総合医学書である『諸病源候論』、
『千金方』、『外台秘要』などには小児科の病気の項が独立して設けられています。
また北宋時代の『小児薬証直訣』は小児科の専門書として現在でも有名です。
漢方においては、大人とは異なる小児に特徴的な病態や様々な病気が、
古くから専門的に研究されていたのです。
子供の様々な症状に処方されている漢方
現在は、子供の漢方専門医もおられます。たとえば、赤ちゃんにも漢方薬を処方している
神奈川県横浜市の「中野子どもクリニック」では、
主に以下のような漢方薬が処方されているそうです。
・麻黄湯(マオウトウ):風邪のひき始めに効果があります。頭痛、鼻詰まりがある時にも処方します。
・葛根湯(カッコントウ):風邪のひき始めに効果があります。
・小青竜湯(ショウセイリュウトウ):鼻水が多い時などに効き目があります。
・甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ):夜泣き、ひきつけなどに効き目があります。
・五苓散(ゴレイサン):下痢、嘔吐などに効き目があります(嘔吐下痢症など)。
・麦門冬湯(バクモンドウトウ):咳込みが強く、特に痰が切れない時によく使います。
味も良く飲みやすい漢方の代表です。
引用:こどもの漢方薬 中野こどもクリニック
その他にも、私が勉強してきた内容によれば、・葛根湯(カッコントウ):風邪のひき始めに効果があります。
・小青竜湯(ショウセイリュウトウ):鼻水が多い時などに効き目があります。
・甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ):夜泣き、ひきつけなどに効き目があります。
・五苓散(ゴレイサン):下痢、嘔吐などに効き目があります(嘔吐下痢症など)。
・麦門冬湯(バクモンドウトウ):咳込みが強く、特に痰が切れない時によく使います。
味も良く飲みやすい漢方の代表です。
引用:こどもの漢方薬 中野こどもクリニック
おねしょを頻繁にしてしまう子供や虚弱体質の子に効果があると
いわれている「小建中湯(ショウケンチュウトウ)」や、
皮膚の炎症を抑えるとともに、乾燥を改善してくれる嬉しい効果があり、
長く飲み続けていくと、アトピーが完治するという例も多くある
「温清飲(ウンセイイン)」なども、小児によく用いられる漢方です。
赤ちゃんや子供に漢方を上手に飲んでもらうために
苦みや独特な香りがある漢方ですが、ちょっとした工夫次第で、小さな子供でも上手に飲めるようになります。
以下が、その工夫の代表的なものです。
・「服薬ゼリー」を使う:市販の飲みやすい味のものがあります。
かき混ぜずに、ゼリーで顆粒を包み込むだけにするのがポイントです。
・子供が好きな食べ物に混ぜる:ヨーグルトやジャムなど好きな食べ物、
夏にはアイスクリームやシャーベットに混ぜましょう。
冷たいものに対しては味覚が低下するので、すんなり飲んでくれやすいようです。
・酸味が少ない、甘い飲み物に混ぜる
・ココアなどの温かい飲み物に混ぜる:漢方薬はココア以外にも麦芽飲料と味の相性が良く、
飲みやすくなります。冬は体を温める効果も期待できるでしょう。
・チョコレートペースト、ピーナッツバター、練乳、水飴、ハチミツに
包み込んだり、混ぜたりする:
*ハチミツは1歳未満の赤ちゃんには毒性が報告されていますので与えないで下さい。
・リンゴのジャムやジュースに混ぜる:
リンゴは漢方によく含有されている桂枝(シナモン)と相性がよく、
飲みやすくなります。
・ペースト状に潰したサツマイモに混ぜる
・「単シロップ」と混ぜる:
薬局で売られている単シロップは甘い上にトロッとしているので、
漢方薬の顆粒が絡まりやすく使いやすいです。
・熱湯に溶かして与える:
顆粒が大きく溶けにくい漢方薬は、熱湯でしっかり溶かしたり、
水に溶かして電子レンジで熱してた後に冷まして与えてもOKです。この他にも、手間が少々かかりますが、ミニシサイズのシュークリームの上半分を開け、
漢方薬を入れて戻し、食べさせるという方法もあります。
薬を嫌がって飲んでくれない場合に奥の手として覚えておくのもいいでしょう。
かき混ぜずに、ゼリーで顆粒を包み込むだけにするのがポイントです。
・子供が好きな食べ物に混ぜる:ヨーグルトやジャムなど好きな食べ物、
夏にはアイスクリームやシャーベットに混ぜましょう。
冷たいものに対しては味覚が低下するので、すんなり飲んでくれやすいようです。
・酸味が少ない、甘い飲み物に混ぜる
・ココアなどの温かい飲み物に混ぜる:漢方薬はココア以外にも麦芽飲料と味の相性が良く、
飲みやすくなります。冬は体を温める効果も期待できるでしょう。
・チョコレートペースト、ピーナッツバター、練乳、水飴、ハチミツに
包み込んだり、混ぜたりする:
*ハチミツは1歳未満の赤ちゃんには毒性が報告されていますので与えないで下さい。
・リンゴのジャムやジュースに混ぜる:
リンゴは漢方によく含有されている桂枝(シナモン)と相性がよく、
飲みやすくなります。
・ペースト状に潰したサツマイモに混ぜる
・「単シロップ」と混ぜる:
薬局で売られている単シロップは甘い上にトロッとしているので、
漢方薬の顆粒が絡まりやすく使いやすいです。
・熱湯に溶かして与える:
顆粒が大きく溶けにくい漢方薬は、熱湯でしっかり溶かしたり、
水に溶かして電子レンジで熱してた後に冷まして与えてもOKです。この他にも、手間が少々かかりますが、ミニシサイズのシュークリームの上半分を開け、
漢方薬を入れて戻し、食べさせるという方法もあります。
薬を嫌がって飲んでくれない場合に奥の手として覚えておくのもいいでしょう。
赤ちゃんの方が漢方薬をすんなり飲めることも
赤ちゃん=乳児の時期は、味覚がまだ未熟なので、幼児よりも漢方薬をすんなりと飲めることがあります。
その場合は、スプーンの背などで顆粒・粉末をすり潰し、
少量のお湯で泥状になるまでよく練り、清潔な手で
赤ちゃんの口の中、頬の内側に塗りつけます。
溶かしたものを「スポイト」で服用させてもかまいません。
赤ちゃんがナメナメしてくれれば、多少吐き出しても
体に吸収されるので服用出来たことになります。
また漢方薬を与えた後は、すかさず母乳やミルクを与えると
口内に薬を残すことなく、飲ませ切ることができるので
さらに良いでしょう。
冬の不調にこそ、漢方を活用した自然なケアを
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冬の不調の代表的なものといえば、
やはり、肌の乾燥、冷え、原因のわからない咳などではないでしょうか。
そこでここでは、漢方のほかに、運動や食事、生活習慣などでそれらを改善する方法を
ご紹介していきます。
「肌の乾燥」対策に役立つ、漢方薬その他
肌の乾燥を改善する為に、保湿効果のある入浴剤やハンドクリーム、ボディクリームなどを使っている方は多いと思います。
それらももちろん効果的なのですが、乾いた大気により乾燥気味になる身体を
“内側から潤す”ための手助けをしてくれる頼もしい漢方薬が二つあります。
・当帰飲子(とうきいんし)
構成生薬:当帰、芍薬、川芎、地黄、荊芥、防風、
蒺藜子(シツリシ)、何首烏(カシュウ)、黄耆(オウギ)、甘草
・温清飲(うんせいいん)
構成生薬:当帰、芍薬、川芎、地黄、黄芩(オウゴン)、
黄柏、黄連、山梔子(サンシシ)
お気づきかもしれませんが、当帰飲子と温清飲には共通する生薬が入っています。構成生薬:当帰、芍薬、川芎、地黄、荊芥、防風、
蒺藜子(シツリシ)、何首烏(カシュウ)、黄耆(オウギ)、甘草
・温清飲(うんせいいん)
構成生薬:当帰、芍薬、川芎、地黄、黄芩(オウゴン)、
黄柏、黄連、山梔子(サンシシ)
当帰・芍薬・川芎・地黄の4つがそれです。
この4つの生薬は「四物湯(しもつとう)」という漢方薬の材料ですが、
これは「血虚」と呼ばれる血の機能不足を補う代表的な処方です。
そして中医学の考え方では、血虚は現代人の多くが悩まされる乾燥肌の原因。
血虚を改善する四物湯を含む漢方薬を服用すれば、乾燥肌の改善に繋がっていくのです。
「冷え」対策に役立つ生活習慣その他
冷えも又、血流の悪さから来るものです。ですので体内の血の巡りを良くすると、改善されることが多いです。
「四肢の冷え」対策には
1日の間に、少しでも運動をする時間を作りましょう。体が生み出す1日の熱エネルギーの約6割は、
筋肉を動かすことで生み出されると言われています。
ですので、四肢の冷えを改善したい場合に筋肉の強化は必須です。
運動して筋肉が刺激されれば血流が促進され、体温も上がります。
そして体温が上がることによって、細胞が活性化され、
免疫力アップにも繋がります。
「四肢の冷え」解消に役立つ、オススメの軽い運動①:ウォーキング
◆効果的なウォーキングのポイント◆
・腕を90度に曲げて大きく振る。
・普段歩いている歩幅より、気持ち大きく歩く。
・上から何かに引っ張られているように背中を真っすぐ伸ばす。
(10m先に視線を合わせると自然と姿勢が良くなります)
1日に30分のウォーキングを2回行うのが理想的です。
「四肢の冷え」解消に役立つ、オススメの軽い運動②:スクワット
コロナウイルス感染防止の為に、外に出るのはためらわれる……と
お考えの方も多いかもしれません。
そこで、もし屋内で筋肉を鍛えるならば、スクワットがオススメです。
スクワットで最も効果的に鍛えることが出来るのは、太股の筋肉。
太股の筋肉は、体の中で最も大きな筋肉です。
この筋肉を大きくして血流を促すことは、体全体の温めに直結します。
又、太股には体の血管の中で最も太い血管が走っていますので、
この血管内を流れる血液が温まれば、体中に温かい血液が循環していくことになるのです。
1日に20回~30回、立った姿勢で膝の曲げ伸ばしを行うだけでも、
血流不足はかなり改善されます。
「下半身の冷え」対策には
外気温の下降に従って、下半身は最も冷えやすい箇所になります。女性は男性に比べて体内に貯留する水分量が多く、
しかもその水分は重力の関係で、下方向に溜まりがちになります。
そして冬場は特に、下半身の冷えが辛いものです。
対応策としては、
・温熱効果のある下着を着用する
・カイロなどを上手に使う
・面倒でも毎日必ず湯船に浸かる
(39~41℃ぐらいのぬるめのお湯で最低15分は浸かるようにしましょう)
などがオススメです。
「内臓(胃腸)の冷え」対策には
胃や腸を始めとして、内臓から冷えている場合もあります。胃が冷えている場合は食欲が無い、食べても美味しくないなどの症状、
腸が冷えている場合は下痢をしやすかったり、免疫力が落ちたりすることがあります。
対応策としては、温性の食べ物を摂るのがオススメです。
温性の食べ物には、以下のものがあります。
もち米、そら豆、タマネギ、ニンジン、ニラ、シソ、ネギ、ショウガ、ニンニク
鶏肉、アジ、サバ、エビ、イワシ、フグ、タイ、
桃、栗、黒豆、黒砂糖、紅茶、山椒、シナモン、唐辛子
又、気温の低い期間は意識して温かい飲み物を飲むようにしましょう。
冬でもお風呂上がりに「暑い暑い」とつい冷たいお茶を飲んでしまったりすることがありますが、
漢方の見地から言うと、これはあまり良い選択ではありません。
スープや一杯のお茶など、適度に温かい飲み物や食べ物を摂るように心がけると、
体の中を温かく保つことが出来ます。
「肺の乾燥」対策に役立つ、漢方薬
風邪をひいたわけでもなく、他に具合の悪いところもないのに、咳だけが出続ける場合があります。
この場合の咳は、あまり痰がからむことのない、いわゆる〝空咳〟です。
この症状は肺の乾燥によって引き起こされているもので、
肺を潤すタイプの漢方薬を飲むことで改善出来ます。
そして肺を潤す代表的な漢方薬に「麦門冬湯(バクモンドウトウ)」があります。
「麦門冬湯」の構成生薬は麦門冬(バクモンドウ)、人参、大棗(タイソウ)、
甘草、粳米(コウベイ)、半夏(ハンゲ)ですが、
空咳の他に、粘りの強い少量の痰がからむ咳にも効果があります。
また痰が少ない、又は痰が出ない咳には「味麦地黄丸(ミバクジオウガン)」が効果的で、
これは皮膚の乾燥がひどい方にもオススメです。
なお「味麦地黄丸」の構成生薬は、地黄、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、
五味子(ゴミシ)、牡丹皮(ボタンピ)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、
麦門冬(バクモンドウ)となっています。
私は秋冬になると空咳を発症してしまうことが多く、
この「味麦地黄丸」にはよくお世話になっています。
今では身体が馴染んだのか、1回目の服用からよく効いてくれます。
3日から1週間ほど飲むと、咳はすっかり治まってくれて、ぶり返さないので有り難いです。
市販の漢方薬に頼らず、自宅で出来る冬の不調対策
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今回は、漢方薬について幾つかご紹介させていただきましたが、
さらに漢方という医薬品にこだわらず、冬に陥りやすい不調を改善する大きな助けになるものをひとつ、
最後にご紹介したいと思います。
「葛湯(くずゆ)」の持つチカラ
葛湯(くずゆ)というと、体を温めるとろりとした液体を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
葛湯は、日本で昔から用いられてきた民間療法剤のひとつで、
葛粉(くずこ)から作ったとろみのある飲み物です。
葛粉を水で溶いて砂糖などの甘味を加え、
鍋などで緩やかに加熱しながら透明になるまで練って作ります。
とろみがあるために冷めにくく、飲むと体全体が温まります。
そのため、風邪の初期症状や腹痛の緩和に用いられます。
又、消化も良いため、赤ちゃんの離乳食や病人の流動食、介護食、
病み上がりの時の食べ物として重宝されてきました。
漢方で葛は、頭痛や肩こりなどの感冒症状、麻疹、筋肉の緊張、
口渇、下痢などに用いられます。
葛粉に使われる葛の根にはダイゼイン・ダイジン・プエラリンと呼ばれる
イソフラボン誘導体が微量含まれており、発汗・解熱・鎮痙作用などがあります。
これらが風邪の初期の寒気をやわらげ、熱を取り、喉の渇きを潤したり、
下痢などにも効果があると言われ、民間療法として伝統的に用いられています。
又、近年では、これらイソフラボン誘導体が更年期障害、骨粗鬆症、糖尿病、乳がん、
子宮癌、および前立腺癌の治療や改善に効果があると言われて注目されています。
伝統療法剤や漢方薬の成分としての長い歴史を持ち、
現代医療においても新たな効能が研究され続けている「葛湯」。
冷えから来る冬季の不調には、この葛湯が大きな効果を上げてくれることが期待されます。
ただし、葛は「本葛」と呼ばれる混じりっけ無しの、100%ピュアなものを用いて下さい。
本物の葛には自然の力が凝縮されており、驚くほど効果的です。
今冬は、自分と家族の健康をしっかり自分たちで管理しよう!
![](https://macrobiotic-daisuki.jp/cms/wp-content/uploads/family-457235_640-5-e1607604886112.jpg)
今年の冬は、コロナ禍によって家庭で過ごす時間が増えています。
コロナウイルスの感染者数が毎日のように増えている状況から、
体調が悪くなってもなかなか病院に行くこともためらわれてしまいます。
色々な意味で、〝厳しい冬〟になってしまっていますよね。
でも、こんな時だからこそ、家族の健康を、何とか自力で守りたいものです。
その為には、体を冷やさず温める食事と適度な運動を基本に、
自然免疫力を損なうことなく、体が良くなろうとする流れを
後押しする作用を持つ漢方薬もオススメです。
これらのものを上手に活用したセルフ・ヒーリングで、
今年の〝厳しい冬〟を乗り切りましょう!
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