「オーガニック野菜は高い」と感じている方へ。価格の裏にある栽培の苦労や手間を知ると安易に高いとは言えなくなります!
「オーガニック野菜は高い」と感じている方へ。価格の裏にある栽培の苦労や手間を知ると安易に高いとは言えなくなります!
IN YOU journalをご覧の皆さんは、野菜や果物をなどを購入するときオーガニックのものを選びたいと思う方が多いですよね。
でも、「オーガニック野菜は高いな」と思ったことはないでしょうか。
オーガニックでないものと比べると価格が2~3倍することも普通なので、いいとはわかっていてもなかなか手が出せずにいるという方も少なくないと思います。
それでは、なぜオーガニック野菜や果物は高いのでしょうか。
今回は、オーガニック野菜や果物がどのように生産されているのか、その価格の裏側にある生産者の苦労や手間をお伝えします。
野菜・果物が収穫できるまでの長い長い道のりを知っていますか?
今やスーパーで簡単にいろいろな野菜や果物が手に入ります。これらの食べ物がどうやって作られているかご存じでしょうか。
野菜や果物の収穫まではこんなに時間がかかっていた!
農作物を育てるには種や苗が必要です。
苗はある程度大きくなっているので育てやすいというメリットがあります。
種から育てる場合は手間がかかりますが、苗よりもイニシャルコストを低くできるというメリットがあります。
代表的な野菜の栽培期間
種から作物を育てた場合、収穫できるまでどのくらいかかるかご存じでしょうか。
代表的な野菜の栽培期間を紹介します。
【葉野菜】
レタス:25~30日
ホウレンソウ:1~1.5ヶ月
キャベツ:3.5~4.5ヶ月
ハクサイ:2ヶ月~4ヶ月
【根菜類】
ダイコン:約2ヶ月
タマネギ:3~6ヶ月
ニンジン:2.5~3ヶ月
ゴボウ:5~6ヶ月
【穀物】
イネ(お米):5~6ヶ月
ムギ:7~8ヶ月
トウモロコシ:2~3ヶ月
ソバ:2.5~3ヶ月
【果菜類】
ナス:2~3ヶ月
トマト:2~3ヶ月
カボチャ:3~4ヶ月
スイカ:3~4ヶ月
レタス:25~30日
ホウレンソウ:1~1.5ヶ月
キャベツ:3.5~4.5ヶ月
ハクサイ:2ヶ月~4ヶ月
【根菜類】
ダイコン:約2ヶ月
タマネギ:3~6ヶ月
ニンジン:2.5~3ヶ月
ゴボウ:5~6ヶ月
【穀物】
イネ(お米):5~6ヶ月
ムギ:7~8ヶ月
トウモロコシ:2~3ヶ月
ソバ:2.5~3ヶ月
【果菜類】
ナス:2~3ヶ月
トマト:2~3ヶ月
カボチャ:3~4ヶ月
スイカ:3~4ヶ月
これを見て、どのようにお感じになりましたか?
予想以上に時間がかかっていますよね。
特に、我々が主食としているお米は、種をまいてから収穫まで半年もかかるのです。
果樹の場合は、実がなるまで数年がかかるものもあり、1年間ずっと木のお世話が必要になります。
放置で作物ができるわけじゃない!野菜収穫の日まで絶え間なく続く多くの作業
もちろん種をまいてから収穫まで、ほったらかしで作物ができるわけではありません。
作物の成長に合わせてお手入れが必要になります。
【土作り】
まずは育てる作物に適した土壌にする必要があります。
酸性土壌が好きなもの、アルカリ性土壌が好きなもの、作物に合わせて土作りを行います。作物を植えたときに、すぐに栄養を吸収できるようにするため肥料を加えることもあります。
さらに、硬い土壌では植物が根を伸ばすことができないため畑を耕すことも必要です。土作りは短期間でできるものではなく、1年を通して作業を行います。
ちなみに慣行栽培では土壌中の病原菌を殺すために薬剤で土壌消毒を行いますが、すぐに済む反面散布する人には大きなリスクが伴います。
★農薬は植物に撒くだけではない!土の中の生物を皆殺しにする驚異の「土壌消毒」の実態を、慣行栽培経験者がお伝えします
【種まき】
畑に直接種をまくこともありますが、特に夏野菜は寒さが厳しい時期に種まきが必要になる種類もあります。
そのため、育てる作物の種類によっては土を加温して温度管理し、発芽を促す作業が必要です。
【間引き】
多くの場合、発芽しない種があることを見越して多めに種をまきます。
密集して発芽すると互いに栄養を奪い合ってうまく育たないので、小さい芽を間引きます。
【定植】
ポットやトレーで苗を育てていた場合、畑に植える作業が必要です。これを定植といいます。
定植では土の温度を保つため、また、雑草対策としてマルチというフィルムを敷くこともあります。
【整枝】
あまり枝が多すぎると、枝ばかりに栄養が行って花や実が付きにくくなります。
また、葉が茂りすぎると風通しと日当たりが悪くなり実がつきにくくなるため、不要な枝を切り、作物の形を整える必要があります。
【防寒対策】
寒さが厳しい冬場は、ビニールでトンネルを作り作物を霜から守る必要があります。
温かくなると、中が蒸れてしまうので、気温が高くなると外す作業も必要です。
作物の生育途中で栄養不足にならないよう、追加で肥料を与えます。
【害虫・害鳥・害獣対策】
自然界の食べ物が少なくなる冬場は、鳥や獣による農作物被害が多くなりがちです。
暖かくなると虫がつきやすくなるので、ネットや電気柵で害虫、害鳥、害獣対策を行います。
【収穫】
できた作物を収穫する作業は、うれしい反面、かなり手間がかかります。
根菜は掘り出す手間がかかりますし、ホウレン草のような葉野菜は収穫直後は水分が多く優しく扱わないと、葉が折れるので注意が必要です。
モモやイチゴは傷つきやすいので、収穫時は慎重に扱わなくてはなりません。
大まかなものだけでもこれだけあるのですね!
もちろん育てる作物の種類によって、より細かい作業が必要になります。
例えばお米をつくる場合は、田んぼの水位調節が必要ですし、収穫してからも乾燥や脱穀が必要になります。
野菜の慣行栽培とオーガニック栽培ではかかる手間がこれだけ違う!
農作物の栽培方法は大きく分けて2つあるのは皆さんもご存じだと思います。
【慣行栽培】
化学肥料や農薬を使って農作物を栽培する方法です。
日本国内では、ほとんどが慣行栽培で農作物を作っています。
特に、なんとお米や麦は99.9%が慣行栽培で作られています。
【オーガニック栽培(有機栽培)】
化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を使わず農作物を栽培する方法です。
日本国内ではあまり行われておらず、オーガニック野菜の生産量も多くありません。
こちらも是非お読みください。
★経営者から農家に転身した農家一年生が提案する「かかりつけ農家探しのススメ」
★目先の利益ばかりを追う大規模農業が存続できない6つの理由。野菜を生産する大規模農場で9年間働いた私の実体験からお伝えします
オーガニック栽培で一番大変なのは雑草対策!
作物の収穫量に大きく影響するのは、以下の3つです。
気象要因:気温、降水量、日照時間、風、湿度など
土壌要因
土壌の栄養状態、空気、水分、pHなど
生物要因
雑草、微生物、害虫、害鳥、害獣など
土壌要因
土壌の栄養状態、空気、水分、pHなど
生物要因
雑草、微生物、害虫、害鳥、害獣など
気象要因は、慣行栽培でもオーガニック栽培でも条件はほぼ一緒です。
オーガニック栽培で最も手間がかかるのは雑草対策。
農家さんに話を聞くと、みなさん「草との戦いになる」といいます。
雑草が増えると何がいけないのか、考えてみたことがありますでしょうか。
・雑草に栄養を取られるため作物の収量が減る
・雑草が茂ることにより日光が遮られ、農作物の生育が阻害される
・害獣対策として設置した電気柵に雑草が当たると、漏電して電気柵が機能しなくなる
・農作物に雑草が混入する
・雑草が茂ることにより日光が遮られ、農作物の生育が阻害される
・害獣対策として設置した電気柵に雑草が当たると、漏電して電気柵が機能しなくなる
・農作物に雑草が混入する
このように、多くの問題があることがわかります。
オーガニック栽培では、除草剤は使いません。
草刈り機も使用しますが、作物と作物の間は人の手で除草作業するのが主流です。
私も無農薬でお米を作っている農家さんのお手伝いに行ったことがあります。
水を張った田んぼの除草作業は足がとられ、腰をかがめた体勢もきつく、本当に大変なものでした。
作業者の人数が多ければよいのですが、人が増えればもちろん人件費がかさみます。
家族でやっている農家さんも多いため除草作業だけに手間をかけるわけにもいかず、多くの農家さんがやむなく農薬を使ってしまうのでしょう。
特に夏場は雑草の成長スピードも著しく、数日で雑草が生えてしまいますので、本当に日々草との戦いです。
★食べていただければわかります!自然栽培新玉ねぎ(レシピ付き)|丸ごと美味しい!
他にもあるオーガニック栽培の大変なところ
【害虫や病気のロス】
雑草のほかにも、害虫や病気の被害も慣行栽培に比べて多くなってしまうことがあり、収穫しても虫食いや枯れた部分を取り除くと収穫量が減ってしまうリスクもあります。
【収穫までに時間がかかる】
オーガニック栽培では化学肥料を使わないので、農作物の成長も比較的ゆっくりです。
栽培期間が長くなる分、手間がかかってきます。
観光栽培で使われる化学肥料の最大の特徴は、水に溶けるとすぐに効果が出ることで、土壌微生物が住んでいない畑でも野菜は立派に育ちます。
野菜はより早く、より大きくなって収穫できるので次の野菜を栽培することができて畑の回転がよくなり、つまり次々と商品を作れるのでその分儲かるのです。
★なぜ、化学肥料はいけないの? 意外と知られていない化学肥料の害|その使い過ぎは土や生物、野菜や人の体に悪影響を及ぼします
【有機JAS取得の場合、認証コストがかかる】
農林水産省では有機食品の検査認証制度として有機JASの検査承認制度を作っています。
この認証を受けるには、講習会受講料や手数料が必要となるので毎年コストがかかります。
こちらの記事で、現役農家の方が詳しく解説してくださっています。
★【有機農家直筆】“有機農家”は“勇気農家”!消費者が知らない、有機JAS認証農家の実態。
オーガニック野菜、オーガニック果物の価格には相応の理由がある
ここまでお読みになってオーガニック栽培では、慣行栽培よりも手間がかかっていることを分かっていただけたでしょうか。
オーガニック野菜の販売価格はほとんどが1000円以下です。
果物は数千円するものもありますが、それらが商品として我々の手元に届くまでには数か月かかっています。
農機具のメンテナンスや資材、人件費などを考慮すると農家さんの利益はそれほど多くありません。
オーガニック野菜の価格は、生産者が不当な利益を得るために高くしているのではなく、それだけ手間がかかっているからです。
自分で農作業に関わってみて、農作物を栽培することの大変さを身にしみて感じました。
実際に作業してみると、正直、これだけ作業しても1個数百円の売り上げにしかならないのかと思ってしまいます。
農作業を経験して、店頭に並んでいるオーガニック野菜や果物が安易に高いとは言えなくなりました。
皆さんも野菜や果物を選ぶときには、販売価格の裏で頑張ってくれている生産者の方々の苦労を想像してみてください。
そして、あなたが選んだオーガニックの野菜が美味しかったと感じたら、直接生産者に「美味しかった」とぜひ感想を伝えてくださいね。
【編集部より:現役農家の声を集めました!】
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参考:「有機農業をめぐる事情」農林水産省
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